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第68話 いよいよ裁判! 第二夫人ヴィクトリアの見苦しい言い訳

第68話 いよいよ裁判! 第二夫人ヴィクトリアの見苦しい言い訳


「私を誰だと思っているの!」


ヴィクトリアは、兵士たちに連れられ、裁判所へ向かっていた。


これから自分が裁かれる。その事実に、ヴィクトリアは焦りを隠せなかった。


「ちょっと! あなたたち、私を誰だと思っているの!」


ヴィクトリアは兵士たちに怒鳴りつけた。


「私は皇帝陛下の第二夫人なのよ! こんな扱いが許されると思っているの!?」


しかし、兵士は冷たい目でヴィクトリアを見た。


「黙れ。ここでは、身分を理由に特別扱いされることはない」


「なっ……!」


兵士はヴィクトリアの手に手錠をかけた。


「裁判所へ向かうぞ」


「離しなさい! 私は何も悪いことなどしていないわ!」


ヴィクトリアは抵抗したが、兵士たちは取り合わなかった。


やがて、ヴィクトリアは裁判所へと連れていかれた。


そこには、皇帝アレクをはじめ、裁判を見届ける人々が集まっていた。


ヴィクトリアは連れてこられると、すぐにアレクへ視線を向けた。


「陛下! 私は何も悪いことなどしておりません! どうか、このような扱いをおやめください!」


アレクは厳しい表情で告げた。


「ヴィクトリア。これから、お前の行為について審理する。まず、アリア王女が話したことについて尋ねる」


ヴィクトリアの顔がわずかにこわばった。


「アリア王女は、リリアを池に突き落としたのは自分だと話した。そして、お前からそうするように言われ、誰にも話してはいけないと口止めされていたとも証言している。これは事実なのか?」


ヴィクトリアは一瞬黙ったあと、悲しそうな表情を作った。


「陛下……どうか、私の話を聞いてくださいませ」


そして、涙を浮かべながら話し始めた。


「アリアは、妄想がひどい子なのです。普段から、実際には起きていないことを話すので、私も困っておりました」


裁判所の人々が、ざわめいた。


ヴィクトリアは構わず続けた。


「今回も、リリア王女を池に落としてしまったことで、怖くなったのでしょう。それで、自分がしたことを私のせいにしようとしたのです。私が落とすように命じたのだと、妄想してしまったのですわ」


彼女は両手を胸の前で組み、アレクに懇願した。


「陛下、どうかアリアを責めないでくださいませ。あの子はまだ幼く、自分のしたことが怖くなってしまっただけなのです。母親として、私はあの子を守ってあげたいのです」


ヴィクトリアは、まるで娘を心から心配している母親のように振る舞った。


だが、アレクの表情は変わらなかった。



◆◆◆ローレン医師への疑問


「アリア王女が妄想している、というのか?」


アレクが静かに問い返した。


「はい、陛下。私は母親です。あの子のことは、誰よりもよく分かっております」


ヴィクトリアは、涙を拭う仕草を見せた。


「どうか、アリアを責めないでください。あの子は悪くありません。今回のことも、自分がしてしまったことに耐えられず、私が命じたと思い込んでしまったのでしょう」


しかし、裁判所の人々は誰一人として、彼女の話を信じようとはしなかった。


アリア王女は、ヴィクトリアに命じられたことだけでなく、誰にも話してはいけないと口止めされたことまで話していた。


それなのに、ヴィクトリアはすべてを娘の妄想だと言い張っている。


アレクは、冷たい声で告げた。


「お前の主張は分かった。だが、それで疑いが晴れたわけではない」


ヴィクトリアの顔がこわばった。


「陛下……!」


「次に、ローレン医師について尋ねる」


その名前が出た途端、ヴィクトリアは息をのんだ。


アレクは続けた。


「お前は、ローレン医師に脅されていたため、金銭を渡したと説明していたな」


「は、はい……」


「では、なぜアリア王女の診察をローレン医師に任せたのだ?」


ヴィクトリアは目を見開いた。


「え……?」


「お前は、ローレン医師に脅されていたと言った。自分を脅してくる相手を信用できないのなら、普通は別の医師に診察を頼むのではないか?」


アレクの言葉に、裁判所の人々も頷いた。


脅されていたというのなら、なぜわざわざその医師に診察を任せたのか。


誰もが当然の疑問を抱いていた。


ヴィクトリアは慌てて口を開いた。


「それは……ローレン医師は、以前から宮廷で診察をしていた医師です。私は、あの人がそこまで恐ろしいことをするとは思っていなかったのです!」


「脅されていたのに、信用していたというのか?」


「ち、違います! 私は……その……」


ヴィクトリアは言葉を探し、さらに言い訳を重ねた。


「ローレン医師に逆らえば、何をされるか分かりませんでした。だから、できるだけ刺激しないようにしていたのです! 診察を断れば、もっとひどいことになるかもしれないと思ったのです!」


「ならば、なぜ私に報告しなかった?」


「陛下にご心配をおかけしたくなかったからです!」


ヴィクトリアは必死に訴えた。


「私は、陛下とこの宮廷を守りたかっただけなのです!」


アレクは、しばらくヴィクトリアを見つめていた。


「お前は、アリア王女の証言を妄想だと言い、ローレン医師には脅されていたと主張する。だが、その説明には不自然な点が多い」


「陛下、私は本当のことを申し上げております!」


「お前の言葉だけで判断することはできない。契約書や日記、これまでの証言も含めて審理を続ける」


ヴィクトリアは唇を噛んだ。


どれだけ言い訳を重ねても、アレクの疑いを晴らすことはできなかった。


裁判所には、重苦しい空気が流れていた。


アレクは、ヴィクトリアの言葉に惑わされることなく、真実を明らかにする決意を固めていた。


裁判は、まだ続く。


そしてヴィクトリアは、自分の言い逃れが通用しなくなりつつあることを、少しずつ感じ始めていた。


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