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第67話 第二夫人を裁判へ! リリアのいたずら大作戦

第67話 第二夫人を裁判へ! リリアのいたずら大作戦


◆◆◆ヴィクトリアを裁判にかける決断


アレクの執務室。


アレクは、目の前にいるアリア王女を優しく見つめていた。


アリアはリリアを池に突き落としたことを、涙ながらに話してくれた。自分の意思ではなく、ヴィクトリアに言われたこと。そして、誰にも話してはいけないと口止めされていたことも。


アレクは小さなアリアの頭をそっと撫でた。


「アリア王女。話してくれてありがとう。お前がずっと苦しんでいたことは、よく分かった」


「……ありあ、わるいこなのぉ……?」


アリアは涙を浮かべながら、アレクを見上げた。


「いいや。まだ小さなお前が、母親に言われたことを断れなかったのだろう。だが、リリアを傷つけるよう命じたことは、決して許されることではない」


アレクの表情が厳しくなる。


これまで、ヴィクトリアとローレン医師の関係について調べてきた。契約書や金銭のやり取りを記した日記も見つかっている。


そして今、アリアの証言によって、ヴィクトリアがリリアを池に突き落とすよう命じていたことも明らかになった。


「リリアを危険にさらした罪について、ヴィクトリアを裁判にかける」


アレクは、はっきりと告げた。


「証拠と証言をもとに、正式な場で裁く。決して感情だけで判断するつもりはない」


側に控えていた騎士が、深く頭を下げる。


「かしこまりました、陛下」


「裁判の準備を進めろ。これまでの事件についても、関係する証拠をすべて整理するのだ」


「はっ!」


騎士が退出すると、アレクは静かに息を吐いた。


リリアを守るためにも、真実を明らかにしなければならない。


そのころ、神界では――。


「ついに裁判か……」


ゼノが腕を組み、難しい顔をしていた。


アテナも頷く。


「アリアの証言は重要ね。けれど、まだ解決したわけではないわ」


「リリアの周囲には、まだ心配なことが残っているからね」


オルフェがそう言うと、フィオナも心配そうに地上を見つめた。


ところが、その視線の先にいたリリアはというと――。


「ありあちゃぁん! いっちょに、あしょぼぉ!」


アリアが帰ってきたことが嬉しくて、すっかり遊ぶ気満々だった。


リリアにとって、今いちばん大切なのは、大好きなアリアと一緒に遊ぶことだったのだ。




◆◆◆お城が大騒ぎ!


アリア王女が戻ってきてから、リリアは毎日ご機嫌だった。


「ありあちゃぁん、あしょぼぉ!」


「りりあちゃん、あしょぶぅ!」


二人が楽しそうにしているのを見て、ポポとピピも大喜び。


「ポポにおまかせなのだ! 今日はいっぱい遊ぶのだ!」


「ピピもいっしょにやる〜!」


そして、リリアのいたずら心に火がついた。


まずは、お城の階段。


リリアが小さな手を振ると――階段が、つるつるの滑り台に変わってしまった!


「わぁ〜! すべりだいでしゅぅ!」


リリアはポポと一緒に滑り、ピピも後ろから続いた。


「ポポ、いっくよぉ!」


「おおっ! 速いのだぁぁ!」


「ピピもすべる〜! きゃはははっ!」


リリアとポポとピピは楽しそうな声が、お城の中に響き渡る。


通りかかった召し使いたちは、目を丸くした。


「えっ? 階段が……滑り台に?」


「いったい、いつからこんなことに……?」


けれど、滑り台で遊んでいるリリアたちは、そんなことなど気にしない。


次のいたずらは、召し使いたちの頭だった。


リリアが指先をぴょんと動かすと、召し使いたちの頭に、ふわふわのウサギの耳が生えてきた。


ぴょこん、ぴょこん。


召し使いたちが歩くたび、耳が揺れる。


しかし、本人たちはまったく気づいていない。


「今日のお仕事も忙しいですね」


「そうですね。急いで準備をしなくては」


ぴょこん、ぴょこん。


その後ろで、リリアは口元を押さえて笑っていた。


「うしゃしゃしゃ! おみみ、ぴょこぴょこぉ!」


「リリア、いたずらが上手なのだ!」


「ピピもおみみ、ほしい〜!」


さらに、廊下では大騒ぎが起きた。


召し使いが部屋に入ると、カエルがぴょんぴょん飛び回っていたのだ。


「きゃっ! カエル!?」


一匹が椅子に飛び乗り、もう一匹が机の上を跳ね、さらに別のカエルが部屋の中をぴょん!


「どこから入ってきたのですか!?」


召し使いが慌てて追いかける。


その様子を扉の陰から見ていたリリアは、肩を震わせて笑った。


「あはははっ! かえりゅしゃん、ぴょんぴょん!」


ポポも得意げに胸を張る。


「ポポの作戦は完璧なのだ!」


「ポポ、なにもしてないでしょぉ?」


「そ、そんなことはないのだ!」


ピピは二匹のやり取りを聞いて、くすくす笑った。


庭でも、いたずらは続いていた。


召し使いが花壇に水をまいていると、水が突然、きらきら輝き始めた。


そして――。


ぱあっと、色とりどりの虹が広がった!


「まあ! 虹のシャワーだわ!」


花々が虹色の光に包まれ、庭が美しく輝く。


召し使いが驚いていると、今度は水がふわふわのシャボン玉に変わった。


たくさんのシャボン玉が空へと浮かび、風に乗ってお城の上を漂っていく。


「きれい……!」


召し使いが思わず見とれている間に、リリアはポポとピピと手を叩いて喜んだ。


「しゃぼんだま、いっぱいでしゅぅ!」


「ポポも捕まえるのだ!」


ポポがシャボン玉を追いかけ、ピピもぴょんぴょん跳ね回る。


そして、最後のいたずら。


召し使いたちが庭の落ち葉をきれいに掃除したはずなのに、しばらくすると、落ち葉が元の場所に戻っていた。


「えっ!? さっき掃除したのに!」


召し使いは、もう一度落ち葉を集める。


ところが、集め終わったと思った次の瞬間――。


落ち葉は、また元通り!


「ど、どうしてですか!?」


何度掃除しても、落ち葉は元の場所に戻ってしまう。


その様子を見ていたリリアは、とうとう我慢できずに笑い出した。


「きゃはははっ! はっぱ、もどっちゃったぁ!」


ポポもお腹を抱えて笑う。


「これは大変なのだ! お掃除が終わらないのだ!」


「ポポが言うことじゃないでしょぉ!」


ピピの突っ込みに、リリアはまた大笑いした。


その様子を、神界から見ていた神様たちは――。


ゼノは額に手を当てた。


「……ヴィクトリアの裁判が始まろうとしているというのに、あの子は何をしているのだ」


アテナは呆れたようにため息をつく。


「アリアが帰ってきて嬉しいのは分かるけれど、少しは加減を覚えてほしいわね」


オルフェは、階段を滑り台にして遊ぶリリアたちを見つめた。


「この国の未来を左右する力を持っているはずなのだが……」


フィオナは苦笑した。


「でも、リリアが楽しそうでよかったわ。アリアも一緒に笑っているもの」


地上では、リリアがアリアの手を握っていた。


「ありあちゃぁん、あしたも、いっちょにあしょぼぉ!」


「うん! りりあちゃん、あしょぶぅ!」


二人の笑顔が、お城いっぱいに広がる。


その一方で、ヴィクトリアを裁くための準備は、着実に進められていた。


リリアのいたずらが続くお城に、平穏な日々は戻るのだろうか――。

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