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第65話 リリアの願い! 心配なアリア王女

第65話 リリアの願い! 心配なアリア王女


皇帝の悩み


第二夫人ヴィクトリアが逮捕されてから、アレクは彼女の話を何度も思い返していた。


ヴィクトリアは、ローレン医師に脅されていたと訴えた。


セドリックとの関係を疑われ、王宮で問題にされることを恐れたため、金銭を支払っていたのだという。


涙を流しながら語る姿は、まるで自分も被害者であるかのようだった。


しかし、アレクは彼女の言葉を信じきれなかった。


「どうすれば、本当のことを話させることができる……」


執務室で、アレクはひとり考え込んでいた。


ローレンの日記には、ヴィクトリアとの金銭のやり取りが記されている。契約書も残されていた。


それなのに、ヴィクトリアは自分が脅迫されていたと主張する。


本当に脅されていたのか。それとも、何かを隠すための言い訳なのか。


アレクには、まだ判断できなかった。


「無理に問い詰めても、同じ言い訳を繰り返すだけかもしれない……」


アレクは深く息を吐いた。


確かな証拠をもとに真実を明らかにしなければならない。だが、ローレンはすでに亡くなっている。


本人から事情を聞くことは、もうできないのだ。


「必ず真相を突き止める。これ以上、家族を危険にさらすわけにはいかない」


アレクは机の上の書類に目を落とした。


そのころ、別の場所では、リリアがミレと一緒に過ごしていた。


「あうぅ……?」


リリアは、いつもと違う王宮の雰囲気を感じ取ったように、小さな首を傾げた。


大人たちの様子がどこか慌ただしい。


そして、リリアの耳にも、第二夫人ヴィクトリアが逮捕されたという話が届いた。


「リリア王女、第二夫人様は今、陛下の命令で拘束されているのですよ」


ミレが慎重に伝えた。


「……あうぅ?」


リリアは目をぱちぱちさせた。


ヴィクトリアが逮捕された。


そのことを知ったリリアが、真っ先に思い浮かべたのは、アリア王女のことだった。


「ありあ……?」


リリアは小さな手をぎゅっと握った。


ヴィクトリアがいなくなった今、アリアはどうしているのだろう。


ひとりで寂しい思いをしていないだろうか。


リリアはアリアのことが心配になった。



アリアを呼び戻して!


リリアは、すぐにアレクのもとへ向かいたくなった。


「あうぅ! ぱぱぁ!」


「リリア王女、陛下のところへ行きたいのですか?」


ミレが尋ねると、リリアは何度も小さな頭を縦に振った。


「ぱぱ、いくぅ!」


ミレに抱かれて執務室へ向かうと、アレクは机に向かって考え込んでいた。


「パパ!」


リリアの声に、アレクが顔を上げた。


「リリア? どうしたんだ?」


アレクは娘を抱き上げ、優しく頬を寄せた。


「ぱぱぁ……」


リリアはアレクの胸にぎゅっとしがみついた。


そして、心配そうな顔で小さな口を開いた。


「ぱぱ、ありあ、しんぱいなのぉ……」


「アリア王女が心配なのか?」


リリアはこくこくとうなずいた。


「ありあ、よんでぇ……。ありあ、いっしょ、いたいのぉ……」


アレクは娘の言葉を聞き、少し驚いた。


ヴィクトリアが逮捕されたことで、アリア王女の置かれた状況も変わっている。


リリアは、母親が拘束されたアリアが寂しい思いをしているのではないかと心配しているのだ。


「リリアは、アリア王女を呼び戻してほしいのだな?」


「あい! ありあ、さみちい、だめぇ……」


リリアは一生懸命に訴えた。


まだ小さなリリアに、王宮の複雑な事情は分からない。


それでも、アリアが心配だという気持ちは本物だった。


アレクは娘の頭を優しくなでた。


「分かった。アリア王女のことを考えよう」


「ほんとぉ?」


「ああ」


「ぱぱ、だいしゅきぃ!」


リリアは嬉しそうにアレクに抱きついた。


アレクは娘を抱いたまま、静かに考えた。


ヴィクトリアの問題と、アリア王女のことは分けて考えなければならない。


アリア自身に罪があるわけではない。母親の逮捕によって、幼い王女まで寂しい思いをすることは避けたかった。


「アリア王女を呼び戻す手配をしよう」


アレクは側にいた騎士に命じた。


「承知いたしました、陛下」


騎士は一礼して、指示を伝えるために部屋を出ていった。


リリアは、ほっとしたようにアレクの胸に頬を寄せた。


「あうぅ……ありあ、まってりゅねぇ……」


アレクは小さな娘を抱きしめた。


ヴィクトリアの真意は、まだ分からない。


それでも、リリアの願いをきっかけに、アリア王女を王宮へ呼び戻すことが決まった。


一方、ヴィクトリアは拘束されたまま、自分の言い分がアレクに信じられていないことを感じていた。


彼女は、この先どうなるのか分からない不安を抱えていた。


事件の真相も、まだ明らかになっていない。


そして、リリアはただ、アリア王女が戻ってくる日を待ち望んでいた。


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