第63話 第二夫人ヴィクトリア逮捕!
第63話 第二夫人ヴィクトリア逮捕!
ローレンの日記に残された証拠
ローレン医師の死後、アレクは事件の調査を続けていた。
ローレンの部屋から見つかった契約書には、第二夫人ヴィクトリアの名前が記されている。
しかし、契約書だけでは、二人がどのような関係にあったのか、まだ十分には明らかになっていなかった。
そんな中、調査を続けていた騎士から、新たな報告が届いた。
「陛下、ご報告がございます」
「何が分かった?」
「ローレン医師が残した日記が見つかりました」
アレクは顔を上げた。
「日記だと?」
「はい。内容を確認したところ、第二夫人ヴィクトリアからローレン医師へ、金銭が渡されていたことが記されておりました」
「ヴィクトリアから、ローレンへ金が渡っていたというのか?」
「はい、陛下。日記には、金銭のやり取りについて書き残されています」
アレクの表情が厳しくなった。
契約書に記されたヴィクトリアの名前。そして、ローレンの日記に残されていた金銭のやり取り。
これまで疑いにとどまっていた二人の関係に、具体的な証拠が加わったのだ。
「その日記を持ってこい。私自身が確認する」
「かしこまりました」
騎士が日記を差し出すと、アレクは内容を慎重に確認した。
ローレンは、自分が受け取った金について日記に記録を残していた。
ヴィクトリアとローレンの間に、金銭のやり取りがあったことは明らかだった。
アレクは日記を閉じ、騎士に目を向けた。
「契約書だけでなく、日記にも金銭のやり取りが記されていたのだな」
「はい。陛下」
アレクは静かに息を吐いた。
ローレンは、皇帝暗殺未遂事件に関わっていた医師だ。
そのローレンにヴィクトリアが金を渡していたとなれば、もはや見過ごすことはできない。
「ヴィクトリアを呼べ」
アレクの声が、執務室に響いた。
今度は、ただ事情を尋ねるためではない。
新たに見つかった証拠をもとに、事件への関与を追及するためだった。
ヴィクトリアのもとへ、皇帝からの呼び出しが届いた。
「また陛下から……?」
彼女は不安を隠せなかった。
ローレンは亡くなり、契約書も見つかっている。
そして今、アレクが再び自分を呼び出している。
ヴィクトリアは気持ちを落ち着かせようとしながら、騎士たちとともに執務室へ向かった。
「陛下、お呼びでしょうか」
アレクは机の上に置かれた日記を指し示した。
「ローレン医師の日記が見つかった」
ヴィクトリアの顔がこわばった。
「日記……ですか?」
「そこには、お前からローレン医師へ金銭が渡されていたことが記されている」
「……!」
ヴィクトリアは言葉を失った。
アレクは、彼女の様子を見つめながら続けた。
「ローレンの部屋からは、お前の名前が記された契約書も見つかっている。そして、日記には金銭のやり取りが残されていた」
アレクの声は冷静だった。
「これらの証拠を踏まえれば、お前が今回の事件に関わっていた可能性を、これ以上放置することはできない」
「陛下、私は……」
ヴィクトリアは何かを言おうとしたが、言葉が続かなかった。
アレクは騎士たちに命じた。
「第二夫人ヴィクトリアを逮捕せよ。事件への関与について、正式に調べる」
「はっ!」
騎士たちがヴィクトリアのそばへ進み出た。
「お待ちください、陛下!」
ヴィクトリアは声を上げた。
しかし、アレクは命令を撤回しなかった。
「契約書と日記に残された記録について、説明してもらう必要がある。調査には協力してもらう」
騎士たちはヴィクトリアを拘束した。
「第二夫人ヴィクトリア、陛下の命令により逮捕いたします」
ヴィクトリアは青ざめた顔で、アレクを見つめた。
ローレンが亡くなれば、すべての証拠が消えると思っていたのかもしれない。
だが、契約書だけでなく、ローレン自身が書き残した日記も残っていた。
その記録が、二人の金銭のやり取りを明らかにしたのだ。
「連れていけ」
アレクの命令に従い、騎士たちはヴィクトリアを執務室から連れ出した。
こうして、第二夫人ヴィクトリアは逮捕された。
アレクは机の上の日記に目を落とした。
契約書と金銭の記録。
これらは、暗殺未遂事件の真相を明らかにするための重要な証拠だった。
「必ず、すべてを明らかにする」
アレクは決意を固めた。
ヴィクトリアの逮捕によって、事件は大きく動き始めた。
しかし、暗殺計画の全容は、まだ明らかになっていなかった。




