第53話 ポポとピピ、皇宮の見回り大作戦!
第53話 ポポとピピ、皇宮の見回り大作戦!
◆◆◆リリアからの大事なお願い!
朝。
リリアはベッドの上で、ポポとピピに囲まれていた。
「ぽぽ、ぴぴ。おねがい、あるのぉ!」
ポポは、ぴょんっと跳ねた。
「ポポにおまかせなのだ!」
ピピも元気よく手を挙げた。
「ピピもいっしょにやる〜!」
リリアは二匹を見つめ、真剣な顔で話した。
「ぱぱのこと、まもりたいの。だからねぇ、へんなこと、ないか、みてほちいのぉ」
ポポとピピは顔を見合わせた。
「つまり、皇宮の見回りなのだな!」
「そうだねぇ。でも、誰かを勝手に疑ったり、危ないところへ入ったりしちゃだめだよ」
ピピが念を押す。
リリアはこくこくとうなずいた。
「うんっ! あぶないこと、しちゃめぇ!」
ポポは胸を張った。
「任務了解なのだ! ポポ隊長、出動するのだ!」
「ピピも出動〜!」
二匹が張り切る姿を見て、リリアは嬉しそうに笑った。
「えへへぇ!」
もちろん、二匹だけで本当に危険な場所へ行くわけにはいかない。
リリアはミレに抱っこされながら、いつものように皇宮の中を過ごすことにした。
ポポとピピは、その近くで様子を見ながら、気づいたことがあればリリアに伝える作戦だ。
「じゃあ、いってくるのだ!」
「いってきまぁす!」
二匹は元気よく出発した。
ところが、廊下を歩き始めてすぐ、ポポは厨房から漂ってくるいい匂いに気づいた。
「……むむっ。この香りは!」
ピピが目を細める。
「ポポ、まさか……」
「これは、焼きたてのお菓子の香りなのだ!」
ポポの目がきらきら輝いた。
「おやつの調査も必要なのだ!」
「必要ないよぉ!」
ピピがポポの体を引っ張った。
そのやり取りを見ていたリリアは、声を上げて笑った。
「ぽぽ、たべすぎ、めぇ!」
「リリちゃんまで!?」
ポポはしょんぼりした。
それでも、二匹は気を取り直し、皇宮の見回りを続けた。
廊下を通る侍女たち。
仕事に向かう文官たち。
庭を手入れする庭師たち。
どこを見ても、いつもと変わらない日常が広がっていた。
けれど、リリアは油断しなかった。
(ぱぱ、まもりゅの……)
今はまだ、何が起きるのか分からない。
だからこそ、小さな変化を見逃さないようにしたかった。
そのころ、皇帝アレクは執務室で、次の会議に向けた準備をしていた。
側近が近づき、予定を伝える。
「陛下、午後には大臣たちとの会議がございます」
「分かった。予定どおり進めよう」
アレクは書類をまとめた。
いつもと変わらない一日。
しかし、その平穏の裏側では、まだ明らかになっていない陰謀が動いていた。
◆◆◆いつもと違う小さな出来事
昼過ぎ。
ポポとピピは、リリアの部屋へ戻ってきた。
「リリちゃん、報告なのだ!」
ポポが勢いよく飛び込んでくる。
「なにぃ?」
リリアは、おもちゃを握ったまま顔を上げた。
「今のところ、皇宮の中はいつもどおりなのだ!」
「そうなんだねぇ。変なことはなかった?」
ピピが少し考えた。
「そういえば、医務室の近くでローレン医師を見かけたよ。でも、普通にお仕事をしていたみたい」
リリアは首をかしげた。
「ろーれん、せんせい……」
名前は覚えている。
でも、リリアには、ローレン医師が何を考えているのか分からない。
見かけただけで、悪い人だと決めつけることもできない。
リリアは、神様の言葉を思い出した。
見たことと、想像したことを、きちんと分けて考える。
「ふちぎなこと、あった?」
「ううん。見かけただけだよ」
ピピは正直に答えた。
「じゃあ、まだ、わかんないのぉ」
リリアは小さくうなずいた。
そのとき、廊下の向こうから、侍女の声が聞こえた。
「陛下がお通りになります」
アレクが護衛とともに歩いてきたのだ。
リリアはぱっと顔を輝かせた。
「ぱぱぁ!」
アレクは娘の姿を見つけると、足を止めた。
「リリア。ここにいたのか」
「ぱぱぁ、だっこぉ!」
アレクはリリアを抱き上げた。
「今日はご機嫌だな」
「うんっ! ぱぱ、げんき?」
「ああ、元気だよ。心配してくれたのか?」
「ぱぱ、だいじ、だいじなのぉ!」
アレクは娘を抱きしめ、優しく笑った。
「ありがとう。気をつけるよ」
リリアは、パパの顔をじっと見つめた。
元気そうでよかった。
でも、これからも気をつけなければならない。
そのとき、アレクの側近が近づいてきた。
「陛下、会議の準備が整いました」
「分かった。すぐに向かう」
アレクはリリアをミレに預けた。
「またあとで会おうな、リリア」
「ぱぱ、がんばってぇ!」
「ありがとう」
アレクは笑顔で手を振り、会議室へ向かった。
リリアは、その後ろ姿を見送った。
ポポが小さな声で言った。
「パパは忙しいのだな」
「うん。でも、がんばってりゅのぉ」
ピピはリリアのそばに寄り添った。
「リリちゃんも、できることを続けようね」
「うんっ!」
リリアはペンダントをそっと握った。
今のところ、見つかったのは不審なことではなく、いつもと変わらない日常ばかり。
それでも、アレクの調査は続いている。
ヴィクトリアは次の指示を待っている。
ローレン医師も、何事もないように仕事をしている。
誰が何を企んでいるのか、まだ確かなことは分からない。
だからこそ、リリアは焦らずに見守ることにした。
「みんなで、ぱぱ、まもりゅの!」
ポポとピピは、元気よくうなずいた。
「ポポにおまかせなのだ!」
「ピピもいっしょにやる〜!」
小さな王女と二匹の仲間は、今日もパパを守るために頑張るのだった。




