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第52話 ペンダントに映った謎の人影!

第52話 ペンダントに映った謎の人影!


◆◆◆リリア、もう一度神様に相談する!


リリアの部屋に戻ると、ポポとピピは、さっそくペンダントを囲んだ。


「さっきの人影、いったい誰だったのだ?」


ポポが首をかしげる。


「お顔が見えなかったから、分からなかったねぇ」


ピピも心配そうにペンダントを見つめた。


リリアは、小さな手でペンダントを握った。


「だれぇ……? ぱぱ、あぶないのぉ?」


パパを守りたい。


でも、何が起きているのか分からないまま、勝手に動くわけにはいかなかった。


リリアは、神様たちとの約束を思い出した。


「かみしゃまに、きくの!」


ペンダントを胸元に当てると、柔らかな光が広がった。


やがて、目の前に神界の景色が浮かび上がった。


創造神ゼノ、知恵と魔法の女神アテナ、運命と予言の神オルフェ、生命と動物の女神フィオナが、リリアを迎えてくれた。


「リリア、また何かあったのかい?」


ゼノが優しく尋ねる。


リリアは、身振りを交えながら一生懸命に説明した。


「ぱぱのところ、いったの! それでねぇ、ぺんだんとが、ぴかってちたのぉ!」


「光ったのね。それで、何か見えたの?」


アテナが尋ねた。


「うんっ! だれか、いたの! でも、おかお、みえなかったのぉ」


オルフェは静かに考え込んだ。


「人影だけでは、誰なのか判断できないね。映像が短すぎたのかもしれない」


「じゃあ、もういっかい、みりゅ?」


リリアが期待を込めて尋ねる。


アテナは、ゆっくり首を横に振った。


「無理に何度も使おうとしないほうがいいわ。ペンダントが何を映すのか、まだ分からないことも多いから」


「そっかぁ……」


リリアは少し残念そうにうつむいた。


フィオナが、優しく声をかける。


「でも、リリア。あなたは大切なことを覚えていたわね」


「たいせつなこと?」


「そう。分からないことがあったとき、一人で勝手に行動せず、私たちに相談してくれたでしょう?」


リリアの顔が、ぱっと明るくなった。


「うんっ! ちゃんと、そうだんちたの!」


「えらいぞ、リリア」


ゼノが微笑んだ。


ポポも胸を張る。


「リリちゃんは、ちゃんと約束を守ったのだ!」


「ポポも、ちゃんと守ってる?」


ピピが尋ねると、ポポはぴたりと動きを止めた。


「も、もちろん……なのだ!」


「ほんとぉ?」


リリアがじっと見つめる。


「ほんとなのだ!」


三人のやり取りに、神様たちは思わず笑った。


けれど、アテナはすぐに真剣な表情に戻った。


「リリア。アレクの周りで何が起きているのか、私たちにもまだすべては分からないわ。だから、見たことと想像したことを、きちんと分けて考えるのよ」


リリアは、少し考えてからうなずいた。


「みたこと……と、そうぞう……?」


「そう。見ていないことを、勝手に決めつけないということよ」


「うんっ! わかったのぉ!」


リリアは元気よく返事をした。


今は、まだ分からないことばかり。


それでも、パパを守るために、できることを一つずつ探していこう。


リリアは小さな手をぎゅっと握りしめた。


◆◆◆見えない影と、皇帝の決意


神界との話を終えたリリアは、ペンダントを胸元に戻した。


「ぽぽ、ぴぴ。あわてないのぉ!」


「そうなのだ! まずは落ち着いて考えるのだ!」


ポポは大きくうなずいた。


「……ところで、考える前におやつは?」


「ぽぽぉ!」


リリアがほっぺをふくらませると、ピピがくすくす笑った。


「ポポは、やっぱりおやつのことばっかりだねぇ」


「おやつは大事なのだ!」


リリアは、そんな二匹を見て笑った。


けれど、心の中では、先ほど見えた人影のことが気になっていた。


誰だったのだろう。


どうしてペンダントに映ったのだろう。


そして、パパに関係があるのだろうか。


今のリリアには、まだ分からなかった。


一方、皇帝の執務室では、アレクが側近と話をしていた。


「ローレン医師の調査は、引き続き進めております」


「分かった。何か新しいことが分かったら、すぐに報告してくれ」


「承知いたしました」


側近が退出すると、アレクは机に置かれた報告書を見つめた。


今のところ、疑いを裏づける決定的な証拠はない。


だからこそ、慎重に動かなければならなかった。


「焦って相手に警戒されれば、真実から遠ざかることになる……」


アレクは静かにつぶやいた。


彼は、皇帝として国と民を守る責任がある。


誰かを疑うだけで終わらせるわけにはいかない。


必ず真実を明らかにする。


そう心に決め、アレクは再び調査の報告に目を通した。


そのころ、ヴィクトリアもまた、次の指示を待っていた。


彼女は、周囲に悟られないよう、いつもどおりに過ごしていた。


侍女には穏やかに接し、皇宮での務めも普段どおりにこなす。


誰にも疑われないように。


今は、それが何より大切だった。


そして夜。


リリアは、寝台の上でペンダントをそっと握った。


「ぱぱ……まもりゅからねぇ」


小さな声でつぶやく。


ポポは寝台のそばで丸くなり、ピピはリリアの隣に寄り添った。


「リリちゃん、一緒に頑張ろうねぇ」


「ポポもいるのだ!」


「うんっ! みんな、いっしょぉ!」


リリアは、安心したように目を閉じた。


そのころ、皇宮の外では、誰にも知られないまま、次の計画へ向けた準備が続いていた。


ヴィクトリアは指示を待ち、ローレン医師は普段どおりに振る舞い、アレクは慎重に調査を進めている。


それぞれが、自分の知らないところで動いていた。


そしてリリアのペンダントは、静かに胸元で揺れていた。


小さな王女が見た人影の正体は、まだ分からない。


けれど、その影が皇宮の陰謀とつながっているのかどうか――。


真実が明らかになるまでには、まだ時間が必要だった。

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