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第51話 パパを守るための小さな調査!

第51話 パパを守るための小さな調査!


◆◆◆リリア、パパの様子を見に行く!


朝。


リリアは目を覚ますと、ベッドの上でむくりと起き上がった。


「ん〜……ぱぱぁ!」


一番に思い浮かんだのは、大好きなパパのこと。


リリアは胸元のペンダントを小さな手でぎゅっと握った。


昨日、神様たちと約束した。


危ないことを一人でしないこと。

何かあったら、ちゃんと相談すること。


「リリちゃん、きょうもパパを見に行くの?」


ピピが、ふわふわの体を揺らしながら尋ねた。


「うんっ! ぱぱ、げんきか、みりゅの!」


「ポポにおまかせなのだ! パパの様子を調べるのだ!」


ポポは得意げに胸を張った。


ところが、次の瞬間。


ぐぅ〜。


ポポのお腹が鳴った。


「……その前に、おやつなのだ」


「ぽぽぉ!」


リリアは小さな手でポポの頭をぺちぺちした。


「ぱぱ、みりゅのぉ!」


「わ、わかったのだ! おやつは後なのだ!」


ピピは笑いながら、リリアの髪を整えた。


「じゃあ、ミレにお願いして、パパのところへ連れていってもらおうね」


「うんっ!」


しばらくして、リリアはミレに抱っこされ、アレクの執務室へ向かった。


廊下には護衛が立ち、侍女たちが静かに行き来している。


リリアはミレの腕の中から、きょろきょろと周囲を見回した。


「ぱぱ、いるかなぁ?」


「陛下は執務室でお仕事をなさっているはずですよ」


ミレが優しく答えた。


やがて執務室の前に到着すると、ちょうど側近が扉から出てきた。


「おや、リリア王女」


側近は笑顔で頭を下げた。


「陛下にお会いになりますか?」


「ぱぱぁ!」


リリアが両手を伸ばすと、側近は微笑んだ。


「少々お待ちください。陛下にお伝えしてまいります」




◆◆◆皇帝の周囲に残る小さな違和感


アレクに抱っこされながら、リリアは執務室の中を見回していた。


大きな机。

たくさんの書類。

窓辺に置かれた花瓶。


どれも、いつもと変わらない。


けれど、リリアはパパのそばにいる間、周囲の様子をよく見ておこうと思っていた。


(ぱぱ、まもりゅの……)


そのとき、扉がノックされた。


「陛下、医務室からの報告をお持ちしました」


アレクは顔を上げた。


「入れ」


入ってきたのは、側近だった。


側近は報告を机に置き、ローレン医師についての調査状況を説明した。


「現在のところ、陛下にご報告できるほど確かな証拠はございません。ただ、引き続き調査を進めております」


「分かった。引き続き頼む」


アレクは短く答えた。


リリアは、二人の顔を交互に見つめた。


難しい話は分からない。


文字も読めない。


それでも、パパが真剣な顔をしていることは分かった。


「ぱぱぁ……?」


アレクは娘の頭をなでた。


「心配しなくていいよ。大事な仕事の話をしていただけだ」


「おちごと?」


「ああ。みんなが安心して暮らせるようにする仕事だよ」


リリアは、こくんとうなずいた。


「ぱぱ、がんばってぇ!」


「ああ、ありがとう」


アレクは微笑んだ。


やがて、リリアはミレに抱っこされて執務室を後にした。


廊下に出ると、ポポがすぐに話しかけた。


「リリちゃん、パパは元気そうだったのだ!」


「うんっ!」


「でも、パパはまだ何かを調べているみたいだったねぇ」


ピピの言葉に、リリアはペンダントをそっと握った。


「ろーれん……せんせい?」


その名前を聞いて、ポポとピピは顔を見合わせた。


リリアは、ローレン医師が何をしているのか、まだ知らない。


ただ、パパが慎重に調べていることだけは分かった。


「リリちゃん、どうする?」


ピピが尋ねた。


リリアは少し考えた。


勝手にローレン医師のところへ行くのは危ない。

神様たちとの約束もある。


だから、まずはペンダントの力を確かめることにした。


「かみしゃまに、そうだんしゅるの!」


そのときだった。


ペンダントが、ふわりと光った。


リリアは目を丸くした。


「ぴかっ!」


光の中に、ほんの一瞬だけ人影が浮かんだ。


誰かが廊下を歩いているようだった。


けれど、顔までは見えない。


映像はすぐに消えてしまった。


「いまの、だれぇ?」


ポポが首をかしげる。


「分からないのだ……」


ピピも、いつになく真剣な表情だった。


リリアはペンダントを両手で包み込んだ。


(なにか、あるのかなぁ……)


胸が少しだけどきどきする。


それでも、リリアは慌てなかった。


「だいじょぶ。かみしゃまに、きくのぉ」


ポポとピピは、力強くうなずいた。


「ポポも一緒なのだ!」


「ピピもいっしょにやる〜!」


三人は、リリアの部屋へ戻ることにした。


そのころ、皇宮の別の場所では、ローレン医師がいつもどおりに診察の準備をしていた。


誰も、彼が何を考えているのか知らない。


アレクの調査は続き、ヴィクトリアは次の指示を待っている。


そしてリリアは、小さなペンダントに秘められた力を頼りに、パパを守る方法を探し始めていた。


まだ、決定的な証拠はない。


けれど、見えない影は、確実に皇帝の近くへ忍び寄っていた。


側近が中へ入っていく。


その間、リリアはポポとピピに小声で話しかけた。


「ぱぱ、げんき?」


「今から確認するのだ!」


ポポは真剣な顔をした。


ピピも周囲を見渡す。


「でも、ここで大騒ぎしたら、パパのお仕事の邪魔になっちゃうよ」


「うんっ。しずかにしゅる!」


リリアは小さな手で口を押さえた。


しかし、すぐに我慢できなくなった。


「……ぱぱぁ」


ミレは思わず笑みをこぼした。


「陛下も、リリア王女にお会いになればお喜びになるでしょうね」


そのころ、執務室では、アレクが側近から娘の訪問を聞いていた。


「リリアが?」


アレクの表情が柔らかくなる。


「ああ、通してくれ」


扉が開いた瞬間、リリアはパパの姿を見つけた。


「ぱぱぁぁ!」


アレクはすぐに立ち上がり、娘を抱き上げた。


「おはよう、リリア。朝から会いに来てくれたのか?」


「ぱぱ、だいしゅきぃ!」


「ああ、私も大好きだよ」


リリアはパパの頬に、自分の頬をぴたっとくっつけた。


けれど、すぐに真剣な顔になって、アレクの顔をじっと見つめた。


顔色は悪くない。

いつもどおりに笑っている。


リリアは、ほっと胸をなで下ろした。


(ぱぱ、げんきそうなのぉ……)


でも、これだけでは安心できない。


パパの周りで何か起きていないか、注意していなければ。


リリアはアレクの服をぎゅっとつかんだ。


「ぱぱ、むり、めぇよ?」


「ん? 無理をするなというのか?」


「うんっ! ちゃんと、ねんねしてねぇ!」


アレクは笑った。


「そうだな。リリアに心配をかけないようにしないとな」


その言葉を聞いて、リリアはにっこり笑った。


パパは、今日も元気。


それが分かっただけでも、リリアには大きな安心だった。

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