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第47話 パパを守る魔法のお菓子! 神様会議! 暗殺ってなぁに?

第47話 パパを守る魔法のお菓子! 神様会議! 暗殺ってなぁに?


リリアの部屋。


 魔法のペンダントが光を失うと、リリアは慌てて両手で包み込んだ。


「かみしゃまぁ! たいへんなのぉ!」


 ポポとピピも、いつものふざけた様子はどこにもなく、真剣な顔をしていた。


「ヴィクトリア様が、皇帝陛下を暗殺するように命令されたと言っていたのだ!」


「リリちゃん、パパが危ないよ〜!」


 リリアは、うるうるした瞳でペンダントに呼びかけた。


「かみしゃまぁ! あんしゃちゅって、なぁに?」


 しばらくすると、ペンダントが再び輝いた。


『リリア、よく知らせてくれました』


 創造神ゼノの声が聞こえた。


「ゼノしゃまぁ! あんしゃちゅって、なぁにぃ?」


 リリアはもう一度尋ねた。


『暗殺とは、誰かをひそかに殺そうとすることです。今回、ヴィクトリアは皇帝アレクの命を狙おうとしているのでしょう』


「……ころしゅ?」


 リリアの顔から、笑顔が消えた。


「やぁ! ぱぱ、ころしちゃ、だめぇ!」


 小さな手でペンダントをぎゅっと握りしめる。


「ぱぱ、だいしゅきなの! ぱぱ、まもりゅのぉ!」


『もちろんです。私たちも、アレクを危険にさらすわけにはいきません』


 知恵と魔法の女神アテナが、真剣な声で続けた。


『問題は、ヴィクトリアに命令を伝えた謎の男です。そして、魔術師が暗殺に動き出せば、取り返しのつかない事態になる可能性があります』


 運命と予言の神オルフェも、険しい表情で頷いた。


『魔術を使われれば、普通の護衛だけでは防げないこともあります。まずは、魔術師が魔術を使えないようにする方法を考えなければなりません』


「まじゅちゅ、つかえなくしゅるの?」


『そうです。魔術を封じることができれば、アレクを守る助けになります』


 生命と動物の女神フィオナが、リリアを心配そうに見つめた。


『ただし、魔術を封じる力は強力です。相手がどれほどの力を持っているのか分からない以上、簡単にはいきません』


 ゼノが、ゆっくりと口を開いた。


『そこで、一つ考えがあります。リリア、あなたの魔法で、魔術を封じることができるでしょうか?』


「リリの、まほう?」


 リリアは、自分の小さな手を見つめた。


「できりゅかなぁ……?」


「リリちゃんの魔法なら、きっとできるのだ!」


 ポポが胸を張った。


「でも、失敗したらどうするの〜?」


 ピピが心配そうに尋ねる。


「……しっぱい、しないもん!」


 リリアは、ぷくっと頬を膨らませた。


 けれど、神様たちは笑わなかった。


『リリア。あなたはまだ人間の赤ちゃんです。どれほど強い魔法を持っていても、危険な相手に直接立ち向かわせるわけにはいきません』


 ゼノの言葉に、リリアはしゅんとした。


「……でも、ぱぱ、まもりたいの」


『分かっています。だからこそ、あなた自身が危険にさらされない方法を考えます』


 アテナは、しばらく考えたあと、ある提案をした。


『魔術を封じる力を、薬に込めることはできないでしょうか』


「おくしゅり?」


 リリアは首をかしげた。


『見た目は普通のお菓子にして、アレクに食べてもらうのです。魔術師が魔法を使おうとしても、その魔術がアレクに効かないようにする力を込めます』


「おかしぃ!?」


 リリアの目が、ぱあっと輝いた。


「ぱぱに、おかし、あげりゅの?」


「リリちゃん、今はおやつの話じゃないのだ!」


 ポポが慌てて突っ込んだ。


「おかしなら、ピピもたべたい〜!」


「ぴぴ、ちがうよぉ! ぱぱを、まもりゅの!」


 リリアは両手をぎゅっと握った。


「リリ、ぱぱに、おくしゅりのおかし、あげりゅ!」


『ただし、これは私たちが力を込めて作る特別な薬です。あなたが勝手に魔法を使って作るのではありませんよ』


「……あい!」


 ゼノは、さらに念を押した。


『アレクに食べてもらうまでは、決してなくさないように。そして、誰にも正体を知られないようにしてください』


「わかったのぉ!」


 リリアは元気よく返事をした。


 こうして神様たちは、皇帝アレクを魔術から守るため、特別な薬を用意することにした。


 それは、見た目にはかわいらしい、小さなお菓子になる予定だった。


その頃、宮殿の一室では――。


 第二夫人ヴィクトリアが、ローレン医師と向かい合っていた。


「ローレン医師。あなたに、頼みたいことがあります」


 ヴィクトリアの声は穏やかだった。


 だが、その瞳には冷たい光が宿っていた。


「何でございましょう、第二夫人?」


「皇帝陛下を、暗殺していただきたいのです」


 ローレン医師は、わずかに目を細めた。


「……ついに、そこまで進めるのですね」


「ええ。陛下は、あなたの経歴を調べ始めています。このままでは、こちらの秘密が明らかになるかもしれません」


「承知いたしました。しかし、実行する時期は?」


 ヴィクトリアは首を横に振った。


「まだ決まっていません。御主人様から、時期についての知らせが届くことになっています」


「御主人様からのご指示を待つ、ということですか」


「そうです。それまでは、決して目立つ行動をしてはなりません」


 ローレン医師は、静かに頭を下げた。


「かしこまりました。ご指示が届くまで、普段どおりに振る舞います」


「お願いしますわ。陛下に疑われている今、余計な失敗は許されません」


「心得ております」


 ローレン医師が部屋を出ていくと、ヴィクトリアは窓の外を眺めた。


「アレク陛下……。あなたが真実にたどり着く前に、すべてを終わらせなければなりませんわね」


 暗殺の実行時期は、まだ決まっていない。


 ヴィクトリアもローレン医師も、御主人様からの知らせを待っていた。


 そして、皇帝アレクは、彼らが自分の命を狙っていることなど、まだ知らなかった。


     * * *


 一方、リリアの部屋。


「リリちゃ〜ん! できたよ〜!」


 ピピの声に、リリアはぱっと振り向いた。


 神様たちの力によって、小さな包みが用意されていた。


 中に入っていたのは、ころんと丸い、かわいらしいお菓子だった。


 淡い色をしていて、見た目は普通の甘いお菓子と変わらない。


「わぁ〜! おいちしょう!」


 リリアは、思わず手を伸ばしかけた。


「リリちゃん、それはパパのためのお菓子なのだ!」


 ポポが慌てて止めた。


「……あい。ぱぱの、なのぉ」


 リリアは名残惜しそうに、お菓子を見つめた。


『このお菓子には、魔術がアレクに作用するのを防ぐ力を込めてあります』


 アテナが説明した。


『ただし、あらゆる危険を防げるわけではありません。魔術に対する備えの一つです。アレク自身の護衛や調査も、引き続き必要です』


「うん! ぱぱに、たべてもらうの!」


 リリアは、両手で包みを大切に抱えた。


「でも、どうやって渡すのだ?」


 ポポが首をかしげた。


「リリちゃんが直接渡したら、普通のお菓子だと思って食べてもらえるかもしれないね〜」


 ピピが答えた。


「おかし、ぱぱに、あげりゅの!」


 リリアはにっこり笑った。


 けれど、ゼノがすぐに声をかけた。


『リリア。くれぐれも、勝手に宮殿を抜け出したり、無理な魔法を使ったりしてはいけません。安全に渡せる機会を待つのです』


「……あい!」


 リリアは今度こそ、素直に頷いた。


「ぱぱ、まもりゅの! リリ、がんばりゅ!」


 ポポとピピも、リリアの左右に並んだ。


「ポポも協力するのだ!」


「ピピもいっしょにやる〜!」


 小さなお菓子に込められたのは、神様たちの力。


 そして、リリアの大好きなパパを守りたいという願いだった。


 しかし、暗殺の時期はまだ決まっていない。


 ローレン医師は、いつ動き出すのか。


 御主人様とは、いったい何者なのか。


 リリアたちは、迫り来る危険に備えながら、次の機会を待つことになったのだった。


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