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第39話  天界大騒動!?  皇帝陛下の秘密調査と夢の中の再会

第39話  天界大騒動!?  皇帝陛下の秘密調査と夢の中の再会


◆◆◆天界に響く神様たちの悲鳴


ここは、人間たちの世界を見守る天界。


黄金に輝く神殿の奥では、四柱の神々が水晶の鏡を囲んでいた。


鏡に映っているのは、つい先ほどまで宮殿に現れていた大人の預言者――その正体であるリリアだった。


リリアは、ポポとピピに協力してもらいながら、赤ちゃんの姿から大人の預言者へと変身し、皇帝アレクにローレン医師のことを伝えたのだ。


その様子を最初から見ていたゼノは、頭を抱えていた。


「リ、リリア……! とうとう人間の皇帝に直接接触してしまったのか!」


アテナは水晶の鏡をのぞき込み、眉間を押さえた。


「しかも、わざわざ大人の姿に変身するなんて……。あの子、自分が何をしているのか分かっているのかしら!?」


フィオナは困ったように笑った。


「でも、リリアは皇帝陛下を助けたかったのよ。あの子なりに、家族を守ろうとしているのね」


「それは分かっておる! 分かっておるが……!」


ゼノが声を張り上げた。


「人間界で目立ちすぎてはいかんのだ! しかも、あの子はまだ赤ちゃんだぞ!?」


オルフェは静かに水晶の鏡を見つめていた。


「皇帝陛下は、預言者の言葉をすべて信じたわけではないようだ。だが、あの忠告をきっかけに調査を始めるだろう」


「つまり……」


アテナの表情が険しくなった。


「ローレン医師の正体に近づく可能性がある、ということね」


「そうだ。そして、リリアの行動がきっかけになったと知られれば、あの子の秘密にも危険が及ぶかもしれん」


ゼノは深いため息をついた。


そのとき、水晶の鏡の中で、リリアがエレナの腕に抱かれながら、気持ちよさそうに眠っている姿が映った。


「……すやぁ……」


「寝ておるーーーーっ!!」


ゼノの叫びが神殿中に響き渡った。


ピピの変身魔法によって、リリアは無事に赤ちゃんの姿へ戻っていた。人間たちは、先ほどの預言者とリリアが同一人物だとは夢にも思っていない。


アテナは額に手を当てた。


「本人は何事もなかったように眠っているのね……」


フィオナは微笑みながら、眠るリリアを見つめた。


「それでも、あの子が大切な人たちを守ろうとしていることは確かよ。私たちは、見守りながら必要なときに支えましょう」


オルフェはうなずいた。


「ただし、これから先の未来は、少しずつ変わり始めている」


水晶の鏡に映る宮殿。


そこでは、皇帝アレクが静かに動き始めていた。


そして、その動きに気づいていない者が一人――いや、二人いた。


ヴィクトリアと、彼女の背後にいる者たちである。


◆◆◆皇帝陛下が見つけた不審な経歴


その日の午後。


皇帝アレクは執務室に騎士団長を呼び、先日現れた謎の預言者について話し合っていた。


「例の預言者の言葉だが……私は、すべてをそのまま信じたわけではない」


アレクは机の上に置かれた書類を見つめた。


「顔も素性も分からぬ人物だ。どこまで信用できるかは慎重に判断する必要がある」


「陛下のお考えはもっともです」


騎士団長が答えた。


「しかし、宮廷医師の中に他国と関わりのある者がいるという話は、調べる価値がございます」


「そうだ。まずは四人の宮廷医師全員について、経歴を洗い直せ」


アレクは声を低くした。


「生まれた土地、医学を学んだ場所、これまで勤めていた施設、宮廷に採用された経緯。そして、過去にどの国を訪れたかも調べろ」


「承知いたしました」


「ただし、医師たち本人には気づかれるな。特に、預言者が名を挙げた者がいると悟られてはならん」


騎士団長は深く頭を下げ、部屋を出ていった。


数日後。


調査を進めていた騎士団長が、再びアレクの執務室を訪れた。


「陛下。四人の宮廷医師について、最初の調査結果がまとまりました」


「聞こう」


騎士団長は一通の報告書を差し出した。


「ローレン医師について、いくつか不審な点がございます」


アレクは報告書を受け取り、目を通した。


ローレン医師は、他の医師たちと同じように優れた医術の知識を持ち、宮廷でも長く信頼されてきた人物だった。


しかし、経歴を詳しく調べると、いくつか説明のつかない部分が見つかった。


医学を学んだとされる施設の記録が、一部だけ不自然に欠けている。


以前勤めていた場所についても、記録の年代が合わない部分があった。


さらに、宮廷に採用される直前の数年間について、詳しい足取りがほとんど残っていなかった。


「……妙だな」


アレクの目が細くなった。


「腕の立つ医師であることと、経歴に不審な点があることは別の話だ。これだけで裏切り者と決めつけるわけにはいかん」


「はい。まだ、決定的な証拠はございません」


「ローレン医師は、他国で暮らしていた時期があるのか?」


「その可能性はございます。ただし、現在の資料だけでは、どの国で何をしていたのか確認できておりません」


アレクは報告書を閉じた。


頭の中に、あの預言者の言葉がよみがえる。


――宮廷医師の中に、他国から送り込まれた者がいます。


――その者は、魔法を使うことができます。


もちろん、正体不明の預言者の言葉だけを根拠に、人を疑うことはできない。


だが、ローレン医師の不自然な経歴は、無視できるものではなかった。


「騎士団長」


「はっ」


「この調査は、私とお前、それに信頼できる少数の者だけで進める。ローレン医師本人はもちろん、他の医師たちにも、調査していることを悟られるな」


「承知いたしました」


「過去の記録を探し、経歴の空白を埋めろ。誰と接触していたのか、誰の推薦で宮廷に入ったのかも確認するのだ」


「かしこまりました」


騎士団長が退室すると、アレクは窓の外に目を向けた。


「預言者……お前はいったい何者なのだ?」


その人物の正体は分からない。


だが、もし忠告が真実なら、宮廷のすぐ近くに危険が潜んでいることになる。


アレクは机の上の報告書を見つめ、静かに決意した。


「エレナとリリア、そしてアリア王女を守るためにも……真実を突き止めなければならない」


そのころ、ローレン医師は何も知らず、いつもどおり宮廷で診察を続けていた。


自分の経歴が、密かに調べられ始めていることにも気づかずに。


そして、その調査がやがてヴィクトリアの計画を揺るがすことになるとは、まだ誰も知らなかった。


第39話


◆◆◆パパに話せて安心したリリア


夜。


宮殿のリリアの部屋では、エレナが眠ったリリアを優しく寝台に寝かせていた。


「おやすみなさい、リリア。いい夢を見てね」


エレナは小さな額にキスをすると、そっと部屋を出ていった。


部屋が静かになると、リリアはゆっくりと目を開けた。


「……まま、いっちゃったぁ」


リリアは、ふわふわの布団をぎゅっと握った。


今日、リリアは大人の預言者に変身して、パパであるアレクに大切なことを伝えた。


宮廷医師の中に、怪しい人物がいるかもしれないこと。


その人物は、他国から来た可能性があり、魔法を使えるかもしれないこと。


リリアは、全部を知っているわけではなかった。


それでも、パパに伝えることができた。


(ぱぱ、ちゃんと、きいてくれたぁ……)


(ぱぱ、しらべてくれるのぉ……)


リリアの胸が、ぽかぽかと温かくなった。


自分ひとりで何とかしなければと思っていたけれど、パパに伝えられたことで、少し安心できたのだ。


「ぱぱぁ……だいしゅきぃ……」


リリアは小さな声でつぶやき、にっこり笑った。


そのとき、寝台のそばからポポが顔を出した。


「リリちゃん、もう大丈夫なのだ?」


「うん……ぱぱ、きいてくれたぁ」


「そうなのだ! パパに伝えられたのなら、きっと大丈夫なのだ!」


ポポは胸を張った。


すると、ピピが隣から口を挟んだ。


「でも、ポポは何もしてないよねぇ?」


「ポポは、リリちゃんを応援していたのだ!」


「応援してる間、おやつ食べてたよぉ?」


「おやつは、応援に必要なのだ!」


「ほんとかなぁ?」


二匹がいつもの調子で言い合いを始める。


リリアは、くすくす笑った。


「ぽぽぉ、ぴぴぃ、なかよちぃ」


「もちろん、仲良しなのだ!」


「ピピは、ポポがもうちょっとおやつを分けてくれたら、もっと仲良しになれると思うなぁ」


「それは別問題なのだ!」


リリアは、二匹を見つめながら、ふと思い出した。


――アリア。


遠くのお城にいる、大好きなお友達。


今ごろ、何をしているのだろう。


ちゃんと眠れているだろうか。


寂しくて泣いていないだろうか。


リリアは胸の前で、小さな手をぎゅっと握った。


「ありあ……あいたいぃ」


ポポとピピは顔を見合わせた。


「リリちゃん、アリア王女に会いたいの?」


「うん……ありあ、かなちぃ、ないかなぁ……」


リリアは心配そうに眉を下げた。


「ありあ、ひとり、やぁ……」


ピピは、リリアの頭を優しくなでた。


「そっかぁ。アリア王女も、きっとリリちゃんに会いたいよねぇ」


「ポポもそう思うのだ! こうなったら、夢の中で会いに行くのだ!」


ポポが勢いよく立ち上がった。


ピピも、ぽんっと手をたたく。


「いい考え! 夢の中なら、誰にも見つからないもんねぇ!」


リリアの顔が、ぱあっと明るくなった。


「ゆめぇ! ありあ、あしょぶぅ!」


けれど、ピピはすぐに真面目な顔になった。


「ただし、リリちゃん。無理はしちゃだめだよ。アリア王女がぐっすり眠っているときに、そっと会いに行こうね」


「うんっ!」


リリアは元気よくうなずいた。


そして、ふかふかの枕に頭を乗せた。


「ありあぁ……まっててねぇ……」


小さなまぶたが、ゆっくりと閉じていく。


やがて、リリアの呼吸は穏やかになり、寝台の上に静かな寝息が響き始めた。


2 夢の中でアリア王女と再会!


リリアの体から、淡い金色の光がふわりと広がった。


光は小さな花びらのように舞い上がり、部屋の中を優しく包み込む。


ポポとピピは、その光を見守っていた。


「始まったのだ……!」


「うん。リリちゃん、アリア王女の夢を探してるんだねぇ」


金色の光は、やがて窓の向こうへと流れていった。


その光は、遠く離れたヴィクトリアの実家の城へ向かっていた。


城の一室では、アリア王女が小さな寝台で眠っていた。


胸元には、リリアから届いた絵と花が大切に置かれている。


「……リリちゃん……」


アリアは寝言をつぶやいた。


その瞬間、部屋の中に金色の光がふわりと広がった。


アリアの夢の景色が変わっていく。


そこは、色とりどりの花が咲く、広い庭園だった。


柔らかな雲が空を流れ、花びらが風に乗って舞っている。


そして、庭園の真ん中に――。


「ありあぁ!」


小さなリリアが立っていた。


アリアは目を丸くした。


「リリちゃん!?」


「ありあぁ! あいたかったぁ!」


リリアは、よちよちとアリアに駆け寄った。


アリアも両手を広げ、リリアに向かって走り出す。


「リリちゃぁん! ありあも、あいたかったぁ!」


二人は、ぎゅうっと抱き合った。


「ありあ、げんきぃ?」


リリアが顔をのぞき込むと、アリアはにっこり笑った。


「うん! でも、リリちゃん、いなくて、さみちかったぁ……」


「りりもぉ……ありあ、いなくて、さみちぃ……」


リリアはアリアの手を握った。


「いっしょ、あしょぼぉ!」


「うんっ! あしょぶぅ!」


二人は手をつないで、花畑へ走っていった。


リリアが小さな手を振ると、花びらがふわりと舞い上がる。


アリアは目を輝かせた。


「わぁ! おはな、きれぇ!」


「きれぇねぇ!」


二人は花びらを追いかけ、頭に花冠を乗せ合った。


リリアの花冠は少し斜めになり、アリアの花冠は大きすぎて目の上まで落ちてしまった。


「ありあ、みえないぃ!」


「えへへぇ! ありあ、かくれんぼぉ!」


「ありあ、みーちゅけたぁ!」


リリアは笑いながら、アリアの花冠を直してあげた。


その後、二人はふわふわの雲に乗って空を散歩した。


雲の上には、色とりどりのお菓子が並んでいる。


「おやちゅぅ!」


リリアが目を輝かせた。


「たべりゅぅ!」


アリアも嬉しそうに手を伸ばした。


二人が夢の中のお菓子を食べていると、雲がぽよんっと揺れた。


「きゃあっ!」


アリアがリリアにしがみつく。


「だいじょぶぅ! りり、いっしょぉ!」


リリアはアリアをぎゅっと抱きしめた。


やがて、二人は雲から降りて、花畑に寝転んだ。


アリアがリリアの顔を見つめる。


「リリちゃん、しゅきぃ!」


リリアも、満面の笑みで答えた。


「ありあ、しゅきぃ! ずーっと、おともだちぃ!」


「うんっ! ずーっと、おともだちぃ!」


二人はもう一度、ぎゅっと抱き合った。


夢の中では、誰も二人を引き離さない。


誰も秘密を押しつけない。


ただ、大好きなお友達と一緒に遊べる時間が、そこにあった。


◆◆◆ポポとピピ、天界へ呼び出される!


そのころ、リリアの部屋では――。


リリアは夢の中でアリアと遊び続けていた。


ポポとピピは寝台のそばで、静かに見守っていた。


すると突然、二匹の足元に金色の魔法陣が現れた。


「……ん?」


ポポが足元を見た。


「な、なんなのだ、これ!?」


ピピも驚いて飛び上がった。


「ええっ!? この光、天界からの呼び出しだよぉ!」


魔法陣から、ゼノの声が響いた。


『ポポ、ピピ。至急、天界へ来るのだ!』


ポポは耳をぴんと立てた。


「ゼノ様なのだ!?」


『そうだ! 話がある。すぐに来なさい!』


「い、今なのだ!?」


『今だ!!』


ピピは困ったようにリリアを振り返った。


「でも、リリちゃんは今、アリア王女の夢の中にいるよぉ……」


『分かっておる! だから、お前たちだけを呼んでいるのだ!』


ゼノの声には、どこか切羽詰まった響きがあった。


ポポはごくりと唾を飲み込んだ。


「……怒られるのだ?」


『話が終わるまで分からん!』


「それ、絶対怒られるやつなのだーーーっ!」


ピピはため息をついた。


「ポポ、まだ何もしてないでしょぉ?」


「リリちゃんの変身を手伝ったのだ!」


「それは、リリちゃんを守るためだったでしょ?」


「そうなのだ! だから、きっと褒められるのだ!」


ポポは胸を張った。


しかし、すぐに小さな声で付け加えた。


「……たぶん、なのだ」


ピピは苦笑した。


二匹はリリアの寝顔をのぞき込んだ。


リリアは、夢の中でアリアと花冠を交換しているところだった。


「ありあぁ、これ、あげりゅぅ!」


「ありがとぉ! リリちゃん!」


二人の楽しそうな声が、夢の中から聞こえてくるようだった。


ピピはリリアの布団をそっと整えた。


「リリちゃん、ゆっくり遊んできてねぇ。ピピたちは、ちょっと天界に行ってくるからね」


ポポも小さくうなずいた。


「リリちゃんのことは、ポポたちにおまかせなのだ!」


「ポポ、今はリリちゃんのそばにいないんだよぉ?」


「……天界から見守るのだ!」


その瞬間、魔法陣の光が強くなった。


ぽんっ!


ポポとピピの姿が、金色の光に包まれて消えた。


二匹は天界へと転移したのだった。


◆◆◆天界の神様たちが聞きたいこと


天界の神殿では、ゼノ、アテナ、オルフェ、フィオナの四柱が待っていた。


ポポとピピが魔法陣から現れると、ゼノはすぐに二匹へ歩み寄った。


「ポポ、ピピ。リリアは今、アリア王女の夢の中にいるのだな?」


「そうなのだ!」


「うん。今ごろ、二人で楽しく遊んでると思うよぉ」


フィオナは、ほっとしたように微笑んだ。


「そう。それならよかったわ」


だが、アテナは真剣な表情で二匹を見つめた。


「それで、今日のことを詳しく聞かせてちょうだい。リリアが皇帝陛下に何を伝え、どんな様子だったのか」


ピピは、今日の出来事を順番に話し始めた。


リリアが大人の預言者に変身したこと。


皇帝アレクに、宮廷医師の中に怪しい人物がいるかもしれないと伝えたこと。


そして、皇帝が話を聞いている間、リリアが緊張しながらも一生懸命に説明していたこと。


ポポも、何度もうなずきながら話を補った。


「リリちゃん、パパにちゃんと伝えられたのだ! 終わったあとは、すごく安心していたのだ!」


ゼノは腕を組んだ。


「そうか……。リリアが自分から皇帝陛下に伝えたのだな」


「うん。リリちゃん、パパに話せてうれしそうだったよぉ」


フィオナは優しく微笑んだ。


「リリアは、家族を守りたいのね」


オルフェは水晶の鏡を見つめた。


鏡の中には、夢の中でアリアと笑い合うリリアの姿が映っていた。


「そして今は、大切な友達を守ろうとしている」


アテナは静かにうなずいた。


「リリアの行動が、皇帝の調査を進めるきっかけになるかもしれない。でも、私たちが気をつけなければならないのは、リリアの秘密が人間たちに知られないことよ」


ゼノは大きくうなずいた。


「そのとおりだ。ポポ、ピピ。これからもリリアの変身や魔法が人間たちに知られないよう、十分に気をつけてくれ」


「分かったのだ!」


「もちろんだよぉ!」


二匹は元気よく返事をした。


そのとき、ポポのお腹が大きな音を立てた。


ぐぅぅぅ……。


神殿に沈黙が落ちた。


ピピがポポをじっと見つめる。


「……ポポ?」


「ち、違うのだ! これは天界の鐘なのだ!」


「天界の鐘は、お腹から鳴らないわよ」


アテナが冷静に指摘した。


フィオナは笑いをこらえ、オルフェは顔をそらした。


ゼノは頭を抱えた。


「……お前は本当に、緊張感というものがないのだな!」


「ポポにおまかせなのだ!」


「何を任せるのよぉ!」


ピピのツッコミが神殿に響き渡った。


そのころ、夢の中のリリアとアリアは、花畑で手をつないでいた。


「ありあ、また、あしょぼぉ!」


「うんっ! また、あしょぼぉ!」


二人の笑顔が、夢の景色いっぱいに広がる。


リリアは安心していた。


パパに大切なことを伝えられたこと。


そして、大好きなアリアと夢の中で再会できたこと。


今夜だけは、二人とも寂しさを忘れて、楽しい時間を過ごしていた。


けれど、現実の宮殿では、アレクの秘密の調査が少しずつ進み始めている。


そしてヴィクトリアは、何が起きているのか分からないまま、不安を募らせていた。


リリアが守ろうとする大切な人たち。


その未来をめぐる運命は、静かに動き続けていた。

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