第38話 リリア姫が見た映像! パパを苦しめる悪い魔法使い
第38話
リリア姫が見た映像! パパを苦しめる悪い魔法使い
皇帝アレクの執務室では、今日も難しい調査が続いていた。
捕らえられた盗賊たちの不審な死。
厳重な警備をすり抜けた、正体不明の魔法。
そして、毒入りミルクや馬車襲撃、町を襲った盗賊たちの背後にいるかもしれない人物。
調べれば調べるほど、疑問ばかりが増えていく。
「魔力の痕跡は確認できた。しかし、誰が、いつ、どこから魔法を使ったのか……それが分からない」
アレクは報告書を机に置き、深く息を吐いた。
「いったい、誰がこんなことを……」
その頃、リリアはエレナの部屋で、ポポとピピと一緒に遊んでいた。
◆◆◆大人の預言者、宮殿に現る! 第二夫人の落ち着かない夜
「……そうだ!」
しばらく考え込んでいたピピが、ぱっと顔を上げた。
「リリアが直接、パパに話すのは難しいよね?」
リリアはこくこくとうなずいた。
「うん……。りり、あかちゃん……」
「だったら、リリアが大人の姿になって、預言者として伝えればいいんじゃない?」
「よげんしゃ……?」
リリアは首をかしげた。
ポポの丸い目が、ぱちぱちと瞬いた。
「なるほどなのだ! 赤ちゃんのリリアが見たと言ったら不思議がられるけど、大人の預言者なら、未来や秘密を見通せてもおかしくないのだ!」
「そうそう! ピピがリリアに変身して、みんなの目を引いている間に、本物のリリアは大人の姿になって、パパに大事なことを伝えるの!」
ピピは胸を張った。
「ピピ、変身は得意だもん!」
「この前、ヴィクトリアの姿になったときは、歩き方が変だったのだ」
「ポポは黙ってて!」
二匹の言い合いを見ながら、リリアは小さな手を口元に当てた。
「ぴぴが、りりに、なるのぉ?」
「うん! ピピがリリアのふりをして、いつもどおり遊んでいればいいよ。人間たちには、リリアがそこにいるように見えるからね」
「それで、リリアは大人の預言者になって、パパに知らせるのだ!」
ポポが得意げに説明する。
「でも、気をつけなきゃいけないよ。リリアの正体が知られたら、魔法の秘密までばれちゃうから」
ピピの言葉に、リリアは真剣にうなずいた。
「ないちょ、なのぉ……」
「そう! 秘密なの!」
リリアは小さな両手を合わせた。
「ぱぱ、まもりゅ……。わるいまほう、だめぇ……!」
三匹は、作戦を決めた。
翌日――変身作戦、開始!
翌日。
エレナの部屋から少し離れた、人気のない小部屋に、リリア、ポポ、ピピが集まっていた。
人間に見られないよう、扉にはポポが魔法で小さな結界を張っている。
「よーし! まずはピピから変身するよ!」
ピピは小さな胸を張り、リリアの前に立った。
「リリア、ちょっとだけ待っててね!」
「ぴぴ、がんばりぇ〜!」
リリアが両手をぱちぱちと叩く。
ピピは目を閉じ、ふわふわの体に魔力を集めた。
すると、ピピの周囲に淡い桃色の光が広がった。
ぽんっ!
小さな光の粒が、部屋いっぱいに舞い上がる。
丸くてふわふわだったピピの体が、光の中で少しずつ形を変えていった。
短い手足が、赤ちゃんの小さな腕と脚に変わる。
ふわふわの毛並みは消え、柔らかな肌が現れた。
頭には、リリアと同じ髪がふんわりと生え、丸い頬や大きな瞳までそっくりになっていく。
最後に、ピピの体が淡い光に包まれた。
光が消えたとき、そこにいたのは――本物のリリアと見分けがつかない、小さな王女の姿だった。
「できたぁ!」
ピピはリリアと同じ声で言った。
「りり、あしょぶぅ!」
ポポは目を丸くした。
「おおおっ! そっくりなのだ! 声も顔も、まったく同じなのだ!」
ピピは得意げに腰に手を当てた。
「えへへ! これなら大丈夫でしょ?」
本物のリリアは、変身したピピの頬をちょんちょんと触った。
「りり、いるぅ……?」
「それはピピだよぉ!」
「ぴぴぃ!」
リリアは嬉しそうに笑った。
ポポも満足そうにうなずいた。
「よし! これで人間たちの目をごまかせるのだ!」
「じゃあ、次はリリアの番だね」
ピピが言うと、リリアは小さな手をぎゅっと握った。
「りり、おとな、なるぅ!」
「そうなのだ! パパを助けるためなのだ!」
リリアは部屋の中央に立った。
そして、小さな両手を胸の前で合わせる。
「まほう……きらきらぁ……」
リリアの体から、いつもより強い金色の光があふれ始めた。
床に金色の紋様が広がり、空中には小さな光の粒が浮かび上がる。
リリアの足元から光が上へとのぼり、全身を優しく包み込んだ。
ふわり。
赤ちゃんの小さな体が、少しずつ大きくなっていく。
短かった手足が伸び、丸かった頬の輪郭が変わり、幼い顔立ちが大人の女性のものへと変化していった。
髪も長く伸び、金色の光を受けて、さらさらと肩から背中へ流れる。
瞳には神秘的な輝きが宿り、幼い表情は落ち着いた大人のものへと変わっていった。
さらに、リリアが指先を動かすと、光が長衣の形を作り出した。
落ち着いた色の長衣が体を包み、袖や裾には細かな金色の模様が浮かび上がる。
最後に、顔の半分を隠す薄い布が、光の粒から編み上がるように現れた。
「ぽぽぉ! ぴぴぃ! あしょぼぉ!」
「ポポにおまかせなのだ! 今日はこのポポ様が、最高のお遊びを考えてやるのだ!」
「ポポ、さっきおやつを食べすぎて、おなかがぽんぽんなのに?」
「そ、それとこれとは別なのだ!」
ピピの指摘に、ポポはふかふかのおなかを隠した。
リリアは楽しそうに笑った。
けれど、その笑顔はふと消えた。
(あれぇ……?)
リリアの頭に、パパの悲しそうな顔が浮かんだのだ。
盗賊たちが死んでしまったことを知ったときの、アレクの苦しそうな表情。
リリアは、パパのお手伝いができたと思っていた。
盗賊たちに本当のことを話してもらって、パパの調査を進められた。
これで、パパは少し安心できると思っていたのに。
「……ぱぱ、かなちぃ?」
リリアは、小さな手をぎゅっと握った。
「ぱぱ、いじめたら、だめぇ……!」
ポポとピピは、いつもと違うリリアの様子に気づいた。
「リリア、どうしたのだ?」
「ぱぱ……くるちぃの?」
「ぱぱ、いじめたら、めっ! なのぉ!」
リリアは二匹を見つめ、真剣な顔で続けた。
「わるいこ、いるのぉ……。ぱぱ、こまってりゅのぉ……」
「そうなのだ。パパを困らせる悪い奴がいるなら、ポポたちも見つけるのだ!」
「ピピもいっしょにやる〜! リリア、ひとりで悩まなくていいよぉ!」
その瞬間だった。
リリアの瞳が、淡い金色に輝いた。
目の前に、知らない部屋の映像が浮かび上がる。
白い壁。薬草の並んだ棚。机の上には、宮廷医師が使う道具。
そして、その部屋に立っていたのは――。
「……ろーれん、いしぇ?」
リリアは、以前アリア王女を診察した宮廷医師、ローレンの姿を見つめた。
映像の中のローレンは、周囲に誰もいないことを確認すると、懐から小さな黒い石を取り出した。
「……これ以上、皇帝陛下に調べられるわけにはいかない」
ローレンが指を動かすと、黒い石から薄暗い光が広がった。
その光は、まるで生き物のようにうごめき、机の上の紙にまとわりついた。
紙に記された文字が、一瞬だけ黒く染まる。
ローレンは小さく笑った。
「これで、調査は少し遅れるだろう……」
その姿を見たリリアは、目を大きく見開いた。
「……まほう?」
映像はそこで途切れた。
リリアの瞳から金色の光が消える。
「わるいこ……!」
リリアは、ポポとピピにぎゅっとしがみついた。
「ろーれん、せんせ……まほう、ちゅかっちゃ……。ぱぱ、こまらしぇてりゅのぉ!」
ポポは、いつものふざけた表情を消した。
「待つのだ。ローレン医師は、宮廷医師のひとりなのだ。もし本当に魔法を使っているなら、ただの医師ではないのだ……」
「でも、映像だけじゃ、何をしたのか全部は分からないよぉ」
ピピも心配そうに言った。
リリアはうつむいた。
(ぱぱに、おしえてあげたいのぉ……)
けれど、リリアはまだ赤ちゃんだ。
人間たちに、自分が魔法を使えることを知られてはいけない。
それに、見た映像をそのまま話したら、どうしてそんなことを知っているのかと不思議に思われてしまう。
「どうちたら、いいのぉ……」
リリアの目に、涙が浮かんだ。
「ぱぱ、まもりたいのぉ……」
ポポはリリアの頭に、ふわふわの手を置いた。
「大丈夫なのだ! ポポにおまかせなのだ!」
「ポポ、まだ何も考えてないでしょ?」
「……これから考えるのだ!」
「もぉ〜!」
いつもなら笑ってしまうやり取りなのに、リリアは真剣なままだった。
「ぴぴ……ぽぽ……。いっちょに、かんがえてぇ……」
二匹は顔を見合わせた。
今度ばかりは、いたずらでは済まない。
パパを苦しめている誰かがいる。
そして、その人物は宮殿の中にいるのかもしれない。
リリアは、小さな手をぎゅっと握った。
「ぱぱ、まもりゅの……!」
その瞳には、いつものいたずらっ子とは違う、強い決意が宿っていた。
神界の四柱の神々も、神鏡に映るリリアを見つめていた。
「リリアが見たものは、ただの幻ではなさそうですね」
アテナが慎重に言った。
オルフェは予言の水晶を見つめる。
「だが、映像の意味をすべて理解できたわけではない。あの医師が何をしようとしているのか、まだ確かめる必要がある」
ゼノは静かにうなずいた。
「リリアよ。焦るな。真実を知らせる方法は、必ずある」
しかし、神々にも分からないことがあった。
ローレンは誰の命令で動いているのか。
そして、彼が使った魔法は、いったい何のためのものなのか。
その答えは、まだ闇の中に隠されていた。
そして――。
金色の光が、すうっと消えていった。
そこに立っていたのは、二十代ほどに見える、美しい女性だった。
さっきまで赤ちゃんだったリリアの面影は、瞳の奥に残る金色の輝きにだけ感じられる。
「おおおおっ! リリアなのだ! でも、リリアじゃないみたいなのだ!」
ポポは口を大きく開けた。
ピピも、変身したリリアを見上げて目を輝かせた。
「すごい……! とってもきれいな預言者さんだよ!」
大人の姿になったリリアは、ゆっくりと自分の手を見つめた。
「……おてて、おっきぃ」
その声も、赤ちゃんのときとは違う、落ち着いた女性の声になっていた。
けれど、心の中ではいつものリリアのままだった。
(ぱぱ、まもりゅのぉ……!)
リリアは二匹を見つめ、静かにうなずいた。
「ぴぴ、ぽぽ。おねがいね」
「うん! リリアが帰ってくるまで、ピピがちゃんとリリアのふりをしてるよ!」
「ポポも見張っているのだ! おやつを食べながら!」
「おやつは見張らなくていいの!」
ピピのツッコミに、リリアは思わず小さく笑った。
そして、金色の光をまとった大人の預言者は、静かに部屋を出ていった。
皇帝の執務室
皇帝アレクは、いつものように執務室で報告書を読んでいた。
「盗賊たちの死因は、依然として不明か……。魔力の痕跡はあるが、術者も術式も特定できない」
アレクは眉間にしわを寄せた。
そこへ、騎士団長が急ぎ足で入ってきた。
「陛下、ご報告がございます」
「何だ?」
「宮殿の正門に、不思議な人物が現れました。自らを預言者と名乗り、陛下に伝えなければならないことがある、と」
「預言者だと?」
アレクは顔を上げた。
「身元は?」
「分かりません。突然現れたと門番は申しております。ただ、陛下の調査に関わる重大な警告があると……」
アレクはしばらく考えた。
怪しい人物を簡単に信じるわけにはいかない。
だが、今はどんな小さな手がかりも必要だった。
「会おう。ただし、周囲の警備を固めておけ」
「かしこまりました」
ほどなくして、執務室にひとりの女性が通された。
年齢は二十代ほどに見える。
落ち着いた色の長衣をまとい、顔の半分を薄い布で隠していた。声には不思議な響きがあり、瞳の奥には淡い金色の光が宿っている。
もちろん、その正体はリリアだった。
ピピがリリアに変身している間に、リリアは魔法で大人の姿へと変わっていたのだ。
アレクは女性をじっと見つめた。
「そなたが預言者か。私に何を伝えに来た?」
リリアは一礼した。
「皇帝陛下。宮殿の中に、魔術を使う裏切り者がいます」
アレクの表情が変わった。
「……魔術を使う者だと?」
「はい。宮廷医師たちの中に、陛下の調査を妨げようとしている者がいます。その者は、外の国から送り込まれた者です」
アレクは立ち上がった。
「誰だ。名を言えるのか?」
リリアは一瞬だけ迷った。
ローレンの姿は見えた。
けれど、映像のすべてを理解したわけではない。何をしたのか、どこまで関わっているのか、確かな証拠もない。
間違ったことを言って、別の人を傷つけるわけにはいかなかった。
「名を断定することは、まだできません。しかし、医師たちの記録と行動を、慎重に調べてください。ひとりだけ、陛下に伝えていないことを隠している者がいます」
アレクは女性の言葉を聞き逃さないよう、注意深く見つめた。
「なぜ、私にそれを知らせる?」
リリアは、静かな声で答えた。
「陛下を苦しめる者がいるからです。真実を隠す者を見逃せば、陛下だけでなく、この宮殿に暮らす者たちも危険にさらされるでしょう」
アレクは黙り込んだ。
盗賊たちの不審な死。
魔力の痕跡。
そして、今回の預言者の警告。
それぞれが、一本の糸でつながっているように感じられた。
「……分かった。そなたの言葉を、そのまま真実だと決めつけることはできない。だが、調べる価値はある」
アレクは騎士団長に向き直った。
「宮廷医師全員の勤務記録、診察記録、薬品の出入り、そして最近の行動を、極秘に調べろ。誰にも気づかれぬようにな」
「はっ!」
「特定の医師を最初から犯人と決めつけるな。証拠を集め、事実を確かめるのだ」
「承知いたしました」
リリアは、胸の中でほっと息をついた。
(ぱぱ……きづいてくれたぁ……)
けれど、顔には出さなかった。
「陛下。どうか、お気をつけください」
そう告げると、リリアは静かに頭を下げた。
アレクがもう一度質問しようとしたときには、女性の姿は淡い光に包まれ、まるで霧のように消えていた。
「……消えただと?」
騎士団長も驚きを隠せなかった。
アレクはしばらく空になった場所を見つめていた。
「魔術を使う裏切り者……。もし本当なら、宮殿の中に危険な者が潜んでいることになる」
彼は窓の外へ目を向けた。
「必ず真実を突き止める」
リリア、元の姿に戻る!
その頃、別の部屋では、ピピがリリアの姿のまま、おもちゃを転がしていた。
「りり、あしょぶぅ!」
もちろん、声も仕草も本物のリリアそっくりだ。
ポポはその隣で、そわそわと廊下を見ていた。
「リリア、いや、ピピ! まだ戻ってこないのだ?」
「もうちょっと待っててぇ! ピピだって、変身を保つのに集中してるんだから!」
「おやつを食べてもいいのだ?」
「だめぇ! リリアのおやつを勝手に食べちゃだめ!」
「ピピ、今はリリアの姿なのだ。自分のおやつを食べるように見えるのだ!」
「そういう問題じゃないよぉ!」
二匹が小声で言い合っていると、部屋の隅に淡い金色の光が灯った。
光はゆっくりと渦を巻き、その中心に大人の女性の姿が現れた。
リリアは無事に戻ってきたのだ。
「りりぃ!」
ピピが声を上げた。
すると、リリアの体が再び金色の光に包まれた。
長衣の裾が光の粒となってほどけ、顔を隠していた薄い布も、きらきらと輝きながら消えていく。
大人だった手足が少しずつ短くなり、長い髪もふわりと縮んでいった。
大人の顔立ちが幼い輪郭へ戻り、最後には、いつもの丸い頬と大きな瞳を持つ赤ちゃんの姿になった。
ぽんっ!
最後の光が弾けると、そこにはいつものリリアが座っていた。
「ぴぴぃ! ぽぽぉ!」
「リリア! 無事だったのだな!」
「ぱぱに、おはなち、できたぁ!」
リリアは満面の笑みを浮かべた。
「ぱぱ、しらべりゅって!」
ポポとピピも、ほっとしたように体を寄せた。
「よかったねぇ、リリア!」
「これで、パパが真実に近づけるのだ!」
リリアは二匹をぎゅっと抱きしめた。
「ぱぱ、だいしゅきぃ……!」
第二夫人の焦り
その頃、ヴィクトリアの部屋では、落ち着かない時間が流れていた。
彼女は、廊下を通りかかった侍女から、皇帝が宮廷医師たちの記録を秘密裏に調べ始めたという話を耳にしたのだ。
「……宮廷医師たちを?」
ヴィクトリアは、手にしていた扇を強く握った。
ローレン医師は、これまで彼女の指示に従ってきた。
アリア王女の診察について嘘の報告をし、皇帝の疑いをそらすために動いていたはずだ。
それなのに、なぜ今になって医師たちが調べられるのか。
「誰かが、余計なことを話したの……?」
ヴィクトリアの胸に、嫌な予感が広がった。
その夜、彼女は人目を避けてセドリックと連絡を取った。
「皇帝が、宮廷医師たちを調べ始めたわ」
「何だと? なぜ急に?」
「分からないわ。預言者が現れたという話も聞いたの。陛下に、宮殿の中に魔術を使う裏切り者がいると告げたそうよ」
セドリックの表情が険しくなった。
「預言者……。いったい、何者だ?」
「知らないわ。けれど、もしローレンのことが知られたら……」
ヴィクトリアは言葉を切った。
その先を考えるだけで、息が詰まりそうだった。
「落ち着け。まだ、ローレンが疑われたと決まったわけではない」
セドリックはそう言ったが、その声にも焦りがにじんでいた。
ヴィクトリアは窓の外を見つめた。
「……何かが、おかしいわ」
彼女は知らなかった。
預言者の正体が、いつも無邪気に笑っている小さなリリアだということを。
そして、リリアが見た映像の中に、ローレンが魔法を使う姿が映っていたことも。
皇帝の秘密調査は、静かに始まった。
宮廷医師たちの中に潜む裏切り者。
隠された魔術の痕跡。
そして、ヴィクトリアが恐れる、まだ名前のつかない真実。
王宮の見えないところで、少しずつ歯車が動き始めていた。




