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第28話 リリア姫、秘密の大捜索! 小鳥たちが見つけたアリア王女

第28話

リリア姫、秘密の大捜索! 小鳥たちが見つけたアリア王女


王宮の庭園。


リリアは、芝生の上にちょこんと座り、両手をぎゅっと握りしめていた。


「ありあ……どこぉ……?」


大好きなお友達、アリア王女。


いつも一緒に遊んでいたのに、突然会えなくなってしまった。


庭園の入口を何度見ても、アリアの姿はない。


「リリちゃん、そんなにしょんぼりしないでなのだ!」


ポポが、ふわふわの体を揺らしながらリリアの前に立った。


「ここはポポにおまかせなのだ! どんな場所にいるのか、ポポが華麗に見つけてみせるのだ!」


「ほんとぉ?」


リリアの瞳が、ぱっと輝く。


「ほんとなのだ!」


「じゃあ、ぽぽ、いってきてぇ!」


「えっ。ポポひとりで?」


「ぽぽ、すごぉい!」


「うっ……! その期待に満ちたおめめは反則なのだ……!」


ポポは胸を張り直した。


「よし! 行くのだ!」


「待って、ポポ!」


ピピが慌てて呼び止めた。


「ポポだけじゃ道に迷いそうだから、動物さんたちにも協力してもらおうよ!」


「ポポは道に迷ったりしないのだ!」


「昨日、おやつの匂いにつられて厨房の物置に入って、出られなくなったのは誰?」


「……あれは、物置のほうがポポを閉じ込めたのだ!」


「ぽぽ、どじっこぉ!」


「リリちゃんまでぇ!?」


リリアは、きゃっきゃっと笑った。


ほんの少しだけ、寂しさが薄れた気がした。


けれど、すぐにアリアのことを思い出す。


「……ありあ、さみちぃかなぁ」


ポポとピピは顔を見合わせた。


「それなら、ちゃんと探そう」


ピピが優しく言った。


「うん!」


リリアは立ち上がると、庭園の木々に向かって小さな手を振った。


「ことりしゃん! ねこしゃん! うしゃぎしゃん! きてぇ!」


すると――。


枝の上から小鳥たちが飛んできた。


茂みの中から白い猫が現れ、庭の奥からうさぎがぴょこんと顔を出す。


さらに、犬までしっぽを振りながら駆け寄ってきた。


「わぁぁ! いっぱい、きたぁ!」


リリアは大喜び。


「みんな、ありあ、さがちてぇ!」


小鳥たちが、ちゅんちゅんと鳴く。


白い猫は、リリアの足元にすり寄った。


うさぎは耳をぴんと立てる。


動物たちは、リリアが大好きだった。


そして、リリアが大切にしているアリアのことも、見つけてあげたいと思っていた。


「よし! では、捜索隊を編成するのだ!」


ポポが、なぜか偉そうに宣言した。


「ポポ隊長、どこを探すの?」


ピピが尋ねる。


「まずは……あっち!」


ポポは適当に右を指さした。


「そっちは厨房だよ!」


「おやつがあるかもしれないのだ!」


「ありあ、さがすのぉ!」


「もちろん、アリアも探すのだ! おやつはついでなのだ!」


「ぜったい、おやつがついでじゃないよね……」


ピピはため息をついた。


こうして、リリア姫の秘密の大捜索が始まった。


もちろん、人間たちに気づかれてはいけない。


リリアは、動物たちに聞こえる小さな声でお願いした。


「みんな、しーっ、ねぇ」


「ちゅん!」


「にゃあ」


「わん!」


動物たちは元気よく返事をした。


……犬だけは、元気よく吠えすぎた。


「わんわんっ!」


「しーっ!」


ピピが慌てて犬の口元に前足を添える。


「わふ……」


犬はしょんぼりと伏せた。


「あとで、おやちゅ、あげりゅねぇ」


リリアが頭をなでると、犬は嬉しそうにしっぽを振った。


---


そのころ、はるか天空の彼方――神界では。


黄金に輝く神殿の一室で、四柱の神々が神鏡をのぞき込んでいた。


鏡の中には、動物たちを集めて捜索を始めたリリアの姿が映っている。


「……あの子、また何か始めたわね」


知恵と魔法の女神アテナが、額を押さえた。


「今回はお友達を探しているのだろう? 悪いことではない」


創造神ゼノは、少し安心したようにうなずいた。


「ええ。でも、動物たちを一斉に動かしたら、王宮の庭園が大騒ぎになる可能性があります」


運命と予言の神オルフェが、神鏡を見つめながら答えた。


生命と動物の女神フィオナは、心配そうに鏡の中の小鳥たちを見た。


「アリアちゃん、寂しそうね……。リリアが心配するのも無理はないわ」


神鏡には、リリアが動物たちに小さな手を振る姿が映っていた。


「でも、リリア。人間たちに力を見せてはいけない約束は忘れないでね」


フィオナが優しくつぶやく。


その瞬間、神鏡の中でポポが木の枝に引っかかった。


「ポポにおまかせなのだーーっ!?」


枝にぶら下がったポポが、くるくると回っている。


アテナは目を閉じた。


「……どうして、あの子の周りには必ず騒ぎが起きるのかしら」


「ポポだからだろう」


ゼノが即答した。


「ゼノ様、それは説明になっていません!」


神殿にアテナの声が響き渡った。


---


地上では、捜索隊が王宮の庭園から、城門の近くへと移動していた。


小鳥たちは空から道を探し、犬は馬車の匂いを追い、猫は人目につきにくい塀の上を歩いていく。


リリアは、ミレに見つからないよう、庭園の奥でポポとピピを待っていた。


人間のいるところでは、いつもの赤ちゃんらしい言葉しか話さない。


今も、遠くから侍女の足音が聞こえると、リリアはすぐに花を持って遊んでいるふりをした。


「リリア様、こちらにいらしたのですね」


ミレが近づいてくる。


リリアはにこっと笑った。


「あー!」


「ふふっ。今日は小鳥さんと遊んでいらしたのですか?」


「ちゅん!」


ちょうど近くにいた小鳥が鳴いた。


ミレは微笑み、リリアの髪をそっと整えた。


「アリア王女も、早くお元気になられるといいですね」


その言葉に、リリアはぴたりと動きを止めた。


「あ……ありあ?」


「はい。第二夫人のご実家のお城で、静養されているそうですよ」


ミレは、知っている範囲のことを教えた。


「リリア様も、寂しいですね」


「……うぅ」


リリアの目に涙が浮かぶ。


ミレは慌てて抱き上げた。


「大丈夫ですよ。きっと、またお会いできますからね」


「あぅ……」


リリアはミレの肩に顔を寄せた。


けれど、心の中では決めていた。


(ありあ……みつけりゅの。リリちゃん、あいたいのぉ……)


ミレが別の侍女に呼ばれて離れると、リリアはそっと顔を上げた。


そのとき、白い猫が塀の向こうから戻ってきた。


「にゃあ」


リリアはすぐに猫のそばへ寄った。


「ねこしゃん! ありあ、いたぁ?」


猫はしっぽをぴんと立て、城門の外へ向かって歩き始めた。


続いて、小鳥が一羽、空から舞い降りる。


「ちゅん! ちゅちゅん!」


「……おそと?」


ピピが、猫と小鳥の様子を見て目を輝かせた。


「もしかして、アリアの居場所がわかったのかも!」


ポポも、ようやく枝から抜け出して戻ってきた。


「ふっふっふ! ついにポポの名推理が――」


「ポポ、枝に引っかかってたよね?」


「そこは忘れるのだ!」


リリアは二人を見つめた。


そして、小さな手をぎゅっと握った。


「ありあ……まっててねぇ!」


動物たちが、もう一度鳴いた。


捜索隊は、ついにアリアの居場所へつながる手がかりを見つけたのだった。



◆◆◆見つけたアリア王女! 第二夫人の意地悪とリリア姫の決意


王宮の裏門。


人間たちの目が届かない植え込みの陰で、リリアはポポとピピ、そして動物たちに囲まれていた。


白い猫が、前足で地面をちょんちょんと叩く。


小鳥は、城門の外へ向かって飛んでは戻り、同じ方向を示していた。


「えっと……つまり、アリアは馬車に乗って、遠くへ行ったということかな?」


ピピが小鳥たちの話をまとめる。


「ちゅん! ちゅちゅん!」


小鳥は大きく羽ばたいた。


「そして、馬車は森を越えて、大きなお城へ向かったのだ!」


ポポが得意げに胸を張る。


「ぽぽ、わかったのぉ?」


「もちろん! ポポは天才なのだ!」


「でも、さっきまで枝に引っかかってたよねぇ?」


「それとこれとは別なのだ!」


リリアは二人のやり取りを聞きながら、小鳥を見つめた。


「ことりしゃん……ありあ、いたい?」


小鳥は、リリアの手にちょこんと止まった。


そして、遠くのほうを向いて鳴いた。


「ちゅん……」


その声には、どこか心配そうな響きがあった。


リリアは小さな眉を下げた。


「……ありあ、かなちぃ?」


小鳥は、こくんとうなずくように頭を動かした。


リリアの胸が、きゅっと痛くなる。


「ありあぁ……」


ピピが、そっとリリアの手を握った。


「リリちゃん。動物さんたちに、もう少し詳しく聞いてみよう」


「……うん!」


リリアは涙をぬぐい、白い猫に向き直った。


「ねこしゃん、ありあのとこ、つれてってぇ」


猫は、にゃあと鳴いた。


けれど、リリアを抱いたまま城門の外へ出ることはできない。


人間たちに見つかれば、どうして幼い王女がひとりで外へ出ようとしているのかと、大騒ぎになってしまう。


ポポも、さすがに今回は真面目な顔になった。


「リリちゃん。ポポたちだけで、アリアのいるお城を確認してくるのだ」


「ぽぽたち、いくのぉ?」


「そうなのだ! ポポとピピ、それに小鳥さんたちなら、誰にも気づかれずに行けるのだ!」


「ポポ、道に迷わない?」


ピピが念を押した。


「……小鳥さんに案内してもらうのだ!」


「最初からそう言えばいいのにぃ!」


リリアは、ポポとピピをじっと見つめた。


本当は、自分も一緒に行きたい。


でも、ミレやパパ、ママに心配をかけてはいけない。


それに、アリアがどこにいるのか、まずは確かめる必要がある。


リリアは、こくんとうなずいた。


「……おねがい、ちましゅ」


「任せるのだ!」


「ピピもいっしょにやる〜!」


ポポとピピは、動物たちとともに城門の外へ向かった。


リリアは、みんなの姿が見えなくなるまで、小さな手を振り続けた。


「ぽぽぉ、ぴぴぃ……きをちゅけてねぇ!」


---


そのころ、天界では。


神鏡をのぞき込んでいたフィオナが、ほっと息をついた。


「よかった。リリアはちゃんと仲間に任せることを覚えているのね」


「以前なら、自分で飛んでいっていたかもしれんな」


ゼノがうなずいた。


アテナは腕を組み、真剣な表情で神鏡を見つめていた。


「でも、アリアが本当に心配です。ヴィクトリアは、あの子をどうするつもりなのかしら」


「今のところ、リリアの動物たちが見たもの以上のことはわからない」


オルフェが静かに答えた。


「だが、リリアが真実に近づくほど、ヴィクトリアは焦るだろう」


「リリア、無茶をしないでね……」


フィオナは祈るように両手を組んだ。


すると、神鏡の端でポポが大きな木の実を拾い上げた。


「これは……道中のおやつなのだ!」


「捜索中に食べないでください!」


アテナの叫びが神殿に響いた。


ゼノは、深いため息をついた。


「……やはり、ポポには食べ物を持たせるべきではなかったか」


---


翌日の昼過ぎ。


ヴィクトリアの両親が暮らす城。


アリアは、用意された部屋で、ひとり椅子に座っていた。


窓の外には美しい庭園が広がっている。


花壇には色とりどりの花が咲き、噴水からは涼しげな水音が聞こえていた。


けれど、アリアは遊びに行こうとしなかった。


手の中には、リリアからもらった花がある。


「リリちゃん……」


アリアは花を見つめ、小さな声でつぶやいた。


「リリちゃん、あいたいぃ……」


そのとき、扉が開いた。


ヴィクトリアが部屋に入ってきたのだ。


「アリア。ちゃんと休んでいる?」


「ままぁ……」


アリアは顔を上げた。


「ありあ、おそと、いきたいのぉ……」


「今はだめよ。あなたは心を休ませなければならないのだから」


「でもぉ……おはな、みたいのぉ」


「あとでね」


ヴィクトリアは、アリアの手に握られた花を見た。


「また、その花を持っているの?」


「リリちゃんの、おはなぁ……」


アリアは花を胸に抱いた。


「リリちゃん、しゅきぃ……」


その言葉を聞いた瞬間、ヴィクトリアの表情がわずかにこわばった。


「アリア。今はリリア王女のことを考えないほうがいいのよ」


「……どうちてぇ?」


「あなたのためよ。リリア王女と会うと、また心が不安定になってしまうでしょう?」


「ちがうのぉ……」


アリアは首を横に振った。


「リリちゃん、やしゃちいのぉ……。いっちょに、あしょびたいのぉ……」


「アリア!」


ヴィクトリアの声が、少しだけ強くなった。


アリアの肩がびくっと震える。


「今は静養が必要なの。わがままを言ってはいけません」


「……っ」


アリアは口を閉じた。


目に涙が浮かぶ。


「……ごめしゃい」


ヴィクトリアは、自分の声が強くなったことに気づいたのか、表情を整えた。


「いい子ね。今は休みましょう」


そう言うと、アリアの頭をなで、部屋を出ていった。


扉が閉まる。


アリアは、しばらく動かなかった。


やがて、花を胸に抱きしめ、小さく泣き始めた。


「リリちゃん……ありあ、わるいこぉ……?」


もちろん、アリアは悪いことなどしていない。


ただ、大好きな友達と遊びたいだけなのだ。


けれど、母親に強く言われたことで、自分がわがままを言ってしまったのだと思い込んでしまった。


窓の外では、風に揺れた花が、静かに花びらを散らしていた。


---


その様子を、城の屋根近くに止まっていた一羽の小鳥が見ていた。


小鳥は、すぐに空へ飛び立った。


森を越え、丘を越え、王宮へ向かっていく。


一方、ポポとピピも、ようやく城へたどり着いていた。


「つ、着いたのだ……!」


ポポは息を切らしながら、城壁の上にしがみついていた。


「ポポ、途中で木の実を食べてたから遅くなったんだよ!」


「腹が減っては捜索はできないのだ!」


「もう……!」


ピピは呆れながらも、城の中を見渡した。


庭園には花が咲き、召し使いたちが忙しそうに行き来している。


そして、二階の窓辺に、見覚えのある小さな姿が見えた。


「……あっ!」


ピピが声を上げた。


窓辺に座っているのは、アリアだった。


アリアは、花を胸に抱きしめたまま、うつむいている。


「いた……!」


ポポも目を見開いた。


「アリアなのだ!」


二人は、そっと窓辺へ近づいた。


人間たちに気づかれないよう、魔法で姿を隠し、窓の外から部屋の中をのぞく。


すると、先ほどのヴィクトリアとのやり取りが、少しだけ聞こえてきた。


「リリちゃん……あいたいぃ……」


アリアは、涙をぬぐいながら花をなでていた。


「ありあ、いいこ、ちゅるからぁ……。リリちゃんに、あわせてぇ……」


ポポとピピは、顔を見合わせた。


「……アリア、何も悪いことをしていないのに」


ピピが悲しそうにつぶやいた。


「そうなのだ。アリアは、ただリリアと遊びたいだけなのだ……」


ポポの声にも、いつもの勢いはなかった。


さらに二人は、城の召し使いたちの話から、アリアが静養という名目で部屋にいる時間が長く、自由に庭へ出ることも、リリアに手紙を送ることも許されていないと知った。


すべてが、アリアの心を休ませるためなのだろうか。


それとも――。


「ポポ……これ、リリちゃんに伝えなきゃ」


「そうなのだ」


二人は、すぐに城を離れた。


---


夕方。


王宮の庭園では、リリアが心配そうに待っていた。


「ぽぽぉ……ぴぴぃ……」


そこへ、ポポとピピが戻ってきた。


「リリちゃん! 見つけたのだ!」


「ほんとぉ!?」


リリアはぱっと顔を輝かせた。


「ありあ、いたのぉ?」


「うん。第二夫人のご両親のお城にいたよ」


ピピは、できるだけ優しく説明した。


「でもね……アリアは、あまり自由に過ごせていないみたい」


「……?」


リリアは首を傾げた。


ポポが、いつになく真剣な顔で話し始める。


「ヴィクトリアは、アリアにリリアのことを考えるなと言っていたのだ。リリアと会うと心が不安定になる、だから休んでいなさい、と」


「……ありあ、ないない?」


リリアの顔から笑顔が消えた。


「アリアは、リリちゃんと遊びたいって泣いていたよ」


ピピが続けた。


「リリアの花をずっと大切に持っていた。リリちゃんのことが大好きなのに、会うことも、お外で遊ぶことも、自由にできないみたいなの」


「……っ」


リリアは、手の中の花をぎゅっと握りしめた。


「ありあ……ないてりゅのぉ……?」


「そうなのだ……」


ポポはうなずいた。


「ヴィクトリアが、アリアに強く言っていたのだ。アリアは自分が悪い子だと思っているようだった」


リリアの大きな瞳に、涙が浮かんだ。


「ありあ、わるいこ、ないない……!」


小さな声だった。


けれど、その声には、はっきりとした気持ちが込められていた。


「ありあ、いいこぉ……。リリちゃんの、だいしゅきな、おともだちぃ……!」


リリアは、ぽろぽろと涙をこぼした。


アリアは何も悪くない。


ただ、一緒に遊びたいだけなのに。


どうして、そんなに悲しい思いをしなければならないのだろう。


「……まもりゅの」


リリアは涙をぬぐった。


「リリちゃん、ありあ、まもりゅの……!」


ポポとピピは、そっとリリアの両側に寄り添った。


「もちろん、ポポも手伝うのだ!」


「ピピもいっしょにやる〜!」


リリアは、二人を見つめてこくんとうなずいた。


けれど、すぐに飛び出していくことはしなかった。


アリアを助けたい。


でも、人間たちに自分の魔法を知られてはいけない。


そして、アリアを怖がらせることもしたくない。


リリアは、小さな頭で一生懸命に考えた。


「……ありあに、おはな、とどけりゅの」


ピピが目を輝かせた。


「うん! それなら、アリアもきっと喜ぶね」


「でも、ヴィクトリアに気づかれないようにする必要があるのだ」


ポポが腕を組む。


「ポポ、変身の魔法を使えば――」


「前に第二夫人に変身したとき、白い毛が落ちてバレそうになったでしょ!」


「うっ……。今回は、毛が落ちないように気をつけるのだ!」


「そこが問題じゃないよぉ!」


リリアは、二人のやり取りを聞いて、涙の残る顔で小さく笑った。


「ぽぽ、ぴぴ、だいしゅきぃ……」


そして、花を胸に抱きしめる。


「ありあ、まっててねぇ……。リリちゃん、ぜったい、あいにいくからぁ……!」


---


天界。


神鏡を見守っていたフィオナは、胸を押さえた。


「アリアちゃん……。あんなに小さいのに、つらい思いをしているのね」


アテナも、いつになく厳しい表情だった。


「ヴィクトリアの行動は、単なる静養の範囲を超え始めています。ただ、地上の人間たちに私たちが直接介入するわけにはいきません」


「リリアが、自分で考えて行動するのを見守るしかないということか」


ゼノが静かに言った。


オルフェは、神鏡の中で花を握りしめるリリアを見つめていた。


「この小さな友情が、隠された真実を明らかにするきっかけになるかもしれない」


「それなら、なおさらリリアを守らなくては」


フィオナが答えた。


そのとき、神鏡の端でポポが胸を張った。


『ポポにおまかせなのだ!』


ゼノは、ゆっくりと額に手を当てた。


「……あの自信だけは、どこから来るのだろうな」


「神界でも、地上でも、ポポはポポですからね……」


アテナのため息が、神殿に響いた。


けれど四柱の神々は、神鏡から目を離さなかった。


リリアが大切な友達を守ろうとする、その小さな決意を見届けるために。


そして、誰にも知られないまま、王宮の外では新たな秘密が動き始めていた。






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