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第113話 地獄へ続く道! ついに解き放たれた三人の魔術兵士

第113話 地獄へ続く道! ついに解き放たれた三人の魔術兵士


◆◆◆皇帝夫妻を失った宮殿


アレクとエレナが連れ去られたという知らせは、宮殿中に広がっていた。


皇帝夫妻が同時に姿を消した。


それは、セレスティア帝国にとって、国の中心を失うことと同じだった。


それでも、兵士たちは戦いをやめるわけにはいかなかった。


「陛下とエレナ様をお救いするまで、我々は決して倒れるわけにはいかない!」


魔術兵士隊長の声が、戦場に響き渡る。


「ヴェルザーク帝国を、このままにしておくわけにはいかない! 必ず奴らの侵攻を止め、あの帝国を崩壊させるのだ!」


「おおおっ!」


魔術兵士たちは、それぞれの魔法を構えた。


しかし、目の前には倒しても倒しても現れるヴェルザーク帝国の兵士たちがいた。


一人を倒したと思えば、少し離れた場所に黒い霧が立ち上り、そこから新たな兵士が姿を現す。


しかも、以前倒したはずの兵士まで、傷ひとつない姿で再び戦場に戻ってくるのだ。


「また現れたぞ!」


「何度倒せばいいんだ!」


魔術兵士たちは、疲労を隠せなかった。


それでも、退くことはできない。


◆◆◆ガルたちの必死の戦い


そのころ、戦場の前線では、ガル、セレス、アルセリアがヴェルザーク帝国の魔術兵士たちと戦っていた。


「また増えたのか!」


ガルが魔力を集中させる。


目の前には、黒い霧から現れた敵兵士たちが、無言のまま迫ってきていた。


「何度倒しても、きりがないよー!」


セレスは幻影魔術を展開し、敵の動きを一時的に止める。


「幻影魔術――千重幻惑!」


無数の幻影が敵兵士たちを取り囲み、進路を惑わせた。


その隙を逃さず、ガルが封印魔術を放つ。


「魔力を封じよ! 封魔鎖陣!」


光の鎖が敵兵士たちの体に巻きつき、動きを封じた。


だが、次の瞬間。


背後から別の兵士たちが現れた。


「後ろにもいるよー!」


「分かっている!」


アルセリアが前に出る。


「まったく、次から次へと! 封魔禁呪――魔力断絶!」


強烈な封印の光が広がり、迫ってきた敵兵士たちの魔力を断ち切った。


しかし、倒れた兵士たちの向こう側に、また黒い霧が現れる。


「くっ……!」


アルセリアは唇をかんだ。


「こんなことを続けていたら、こちらの魔力が先に尽きてしまうわ!」


ガルも険しい表情で周囲を見回した。


「敵を倒すだけでは終わらない。黒い霧の発生源を突き止めなければ、この戦いは続く一方だ」


セレスは、敵の動きを見ながらうなずいた。


「うん。でも、今はここを突破されないようにしないとねー!」


「そうだ。陛下が戻られるまで、俺たちがこの国を守る!」


三人は再び魔力を高めた。


「行くぞ!」


ガルの声を合図に、三人はそれぞれの魔術を放った。


戦場には、光と闇の魔力がぶつかり合う激しい音が響き続けた。


3 邪悪なエネルギーを追う三人の守護者


一方、エリシア、ルシェル、セラフィの三人は、黒い霧に残された邪悪なエネルギーを追い続けていた。


魔力探知を続けながら進んでいくと、やがて三人の前に奇妙な場所が現れた。


地面には黒い亀裂のようなものが広がり、その奥から、どす黒い光が漏れ出している。


空気は重く、近づくだけで体が押しつぶされそうだった。


「ここから、強い邪悪なエネルギーが流れ出しているわ」


エリシアが、周囲を警戒しながら告げた。


ルシェルは亀裂を見つめ、険しい表情を浮かべた。


「これは普通の魔力ではない。地上に存在する魔術とは、まったく異なる力だ」


セラフィも、ゆっくりと一歩後ろへ下がった。


「この気配……まるで地獄そのものが、こちら側へ口を開けているみたい」


そのとき、亀裂の奥から、低い唸り声のような音が聞こえた。


三人は一斉に身構えた。


「これは……地獄へつながっているのかもしれない」


ルシェルの言葉に、エリシアは息をのんだ。


「何てことなの……。こんな力が地上に流れ込んでいるなんて」


セラフィは、すぐに天界へ連絡するための魔力を集めた。


「このことを、ゼノ様たちに報告しましょう」


三人は互いにうなずき、天界へ緊急報告を送った。


「こちらエリシアです。邪悪なエネルギーの発生源と思われる場所を発見しました」


続いて、ルシェルが報告する。


「こちらルシェル。この場所には、地獄へつながっていると思われる黒い亀裂があります。そこから、極めて強い邪悪なエネルギーが流れ出しています」


最後に、セラフィが緊迫した声で伝えた。


「こちらセラフィ。これは人間と戦える相手ではありません。人間の魔術や兵力だけでは対抗できない存在が関わっている可能性があります。至急、対応をお願いします!」


三人は、黒い亀裂から目を離さなかった。


そこから流れ出す邪悪な力は、今も少しずつ強くなっていた。




◆◆◆天界に届いた三人の報告



エリシア、ルシェル、セラフィからの緊急報告は、すぐに天界へ届いた。


ゼノ、アテナ、オルフェ、フィオナの四柱は、水晶の鏡に映し出された黒い亀裂を見つめていた。


「これは……」


アテナの表情が険しくなる。


「ただの邪悪な魔力ではないわ。地上の魔術とは、根本から異なる力が流れ込んでいる」


オルフェも、未来を映す水晶を見つめながら言った。


「運命の流れが、あの場所を境に大きく乱れている。あそこから何かが地上へ入り込んでいるのかもしれぬ」


フィオナは心配そうに尋ねた。


「エリシアたちは大丈夫なの? あんな場所に近づいて、無事でいられるかしら」


ゼノは、静かにうなずいた。


「まずは、これ以上近づかぬよう伝えねばならぬ。正体の分からぬ力に不用意に触れてはならん」


ゼノは、すぐに三人へ神託を送った。


「エリシア、ルシェル、セラフィ。よく報告してくれた。これ以上、黒い亀裂に近づいてはならぬ。周辺の調査を続ける場合も、決して無理をするな」


「承知いたしました!」


三人の声が返ってくる。


「その邪悪なエネルギーの正体は、我らが調べる。見つけた情報をすべて記録しておくのだ」


アテナも続けた。


「そして、アレクとエレナの捜索も続けてください。あの黒い力が、お二人の失踪に関係している可能性があります」


「かしこまりました」


エリシアが答えた。


神託が終わると、ゼノは水晶の鏡を見つめた。


「もし、あれが地獄へ通じる道ならば……地上に何が現れようとしているのか、慎重に見極めねばならぬ」


神々の表情には、これまでにない緊張が浮かんでいた。


◆◆◆魔術封じの牢獄に走る異変


そのころ、宮殿の地下深く。


ザルヴェイン、バルゼルド、クロウの三人が閉じ込められている魔術封じの牢獄では、奇妙な異変が起きていた。


牢獄を覆っていた封印の紋様が、突然、黒く染まり始めたのだ。


「……何だ?」


牢獄の見張りをしていた兵士が、壁に目を向けた。


封印の紋様から、黒い光が立ち上る。


次の瞬間、床が大きく揺れた。


「な、何が起きている!?」


見張りの兵士たちが、慌てて武器を構える。


牢獄の中では、三人が顔を見合わせていた。


ザルヴェインが、ゆっくりと口元をゆがめる。


「来たか……」


バルゼルドは、楽しそうに笑った。


「ようやく、その時が来たようだな」


クロウも、余裕の表情で立ち上がる。


「待ちくたびれたぞ」


封印の紋様が、次々と砕け始めた。


「封印が破られる!?」


見張りの兵士が叫んだ。


「全員、下がれ! 牢獄から離れるんだ!」


しかし、間に合わなかった。


黒い光が牢獄全体を包み込み、強烈な衝撃が地下に走った。


ドォォォン!!


魔術封じの牢獄が、内側から破壊された。


壁の一部が崩れ、封印の鎖が床に落ちる。


その煙の中から、三人の姿がゆっくりと現れた。


◆◆◆ついに解き放たれた三人


「ははははは!」


ザルヴェインが、大きな声で笑った。


「やっと出られたな!」


バルゼルドは、両腕を広げて身体の感覚を確かめた。


「まったく、窮屈な場所だった。ようやく自由になれたぞ」


クロウは、壊れた牢獄を見回してから、楽しそうに言った。


「皇帝様も、もう少し早く出してくれても良かったのにな」


ザルヴェインは、肩を回しながら笑った。


「まあ、いい。これでようやく動ける」


見張りの兵士たちは、恐怖で身を固くしていた。


「そんな……封印が……」


「魔力を封じていたはずなのに、どうして!?」


ザルヴェインは、兵士たちを見て鼻で笑った。


「お前たちには理解できまい。我々を閉じ込めておけると思っていたのか?」


バルゼルドが、腹を押さえた。


「それより、腹が減ったな」


クロウも、うなずいた。


「確かに。牢獄ではまともな食事もなかったからな」


ザルヴェインは、壊れた牢獄の出口へ向かいながら言った。


「まずは腹ごしらえだな」


「そうだな。食事を済ませてから、ゆっくり動くとしよう」


三人は、まるで何事もなかったかのように歩き始めた。


その余裕に、見張りの兵士たちは動けなかった。


「ま、待て! ここから出すわけにはいかない!」


一人の兵士が、震える声で叫んだ。


ザルヴェインは足を止め、ゆっくりと振り返った。


「まだ分からないのか?」


その目に、冷たい光が宿る。


「もう、お前たちに我々を止める力はない」


三人の周囲に、黒い魔力が揺らめいた。


兵士たちは、すぐに緊急警報を鳴らした。


宮殿中に、警報音が響き渡る。


「緊急事態! 魔術封じの牢獄が破壊された!」


「ザルヴェイン、バルゼルド、クロウの三名が脱獄!」


その知らせは、宮殿の兵士たちだけでなく、戦場にいるガルたちのもとにも届いた。


「何だと!? 三人が脱獄した!?」


ガルの顔色が変わる。


セレスも、敵の攻撃を防ぎながら叫んだ。


「そんなー! あの三人まで出てきちゃったの!?」


アルセリアは、悔しそうに拳を握った。


「これ以上、敵を増やしてどうするのよ!」


三人の視線の先では、黒い霧が再び広がり始めていた。


倒しても倒しても現れる敵兵士。


地獄へつながっているかもしれない黒い亀裂。


そして、ついに解き放たれた三人の上級魔術兵士。


セレスティア帝国を取り巻く危機は、さらに深まっていく。


そのころ、別荘ではリリアがペンダントを握り締めていた。


「……また、こわいちからがうごいたの」


ポポたちも、同時に顔を上げる。


「リリアちゃん、何か感じたの?」


リリアは、小さくうなずいた。


「うん……。ぱぱとままをたすけるために、リリア、もういかなくちゃ」


その小さな決意が、やがて戦場を大きく変えることになる。


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