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第107話 燃え上がる王都! 帰還した三人の魔術師たち

第107話 燃え上がる王都! 帰還した三人の魔術師たち


◆◆◆町を覆う炎と煙


深夜の海辺。


ガル、アルセリア、セレスの三人は、ヴェルザーク帝国の強力な魔術師三人を生け捕りにする作戦を成功させた。


「よし! 三人とも無事に捕らえられたな!」


ガルは、漆黒の結界牢獄を確認してうなずいた。


「きゃはっ! 今度こそ大成功ね!」


セレスは嬉しそうに笑った。


アルセリアも満足そうに胸を張る。


「当然よ! 私の結界解除が完璧だったんだから!」


「はいはい。今は喜んでいる場合じゃない。早く陛下に報告しよう」


ガルがそう言って歩き出した。


三人は捕らえた敵の魔術師たちを安全に管理できるよう、魔術封じの牢獄を維持しながら王宮へ向かった。


ところが、しばらく進んだところで、セレスが足を止めた。


「ねぇ……」


「どうした?」


ガルが振り返る。


セレスは町の方角を指さした。


「あそこ……町が燃えてる。火事?」


三人の視線の先には、夜空を赤く染める炎と、立ち上る黒い煙が見えた。


アルセリアは驚いて目を見開いた。


「えっ……本当だわ!」


ガルは周囲を見渡した。


町の一か所だけではない。


少し離れた場所からも炎が上がっている。


さらに、王宮の近くにも赤い光が見えた。


「火事にしては、範囲が広すぎる。見ろ、宮殿の近くも炎が上がっているぞ!」


セレスの表情から笑顔が消えた。


「まさか……町全体が襲われているの?」


アルセリアも不安そうに尋ねた。


「まさか! ヴェルザーク帝国の兵士が、ほかにもいたということなの?」


「分からない。でも、異常なことが起きているのは間違いない!」


ガルは急いで王宮の方を見た。


「とにかく急ぐぞ! 陛下や騎士たちが危ないかもしれない!」


「分かったわ!」


「急ぎましょう!」


三人は捕らえた敵の魔術師たちを封じた牢獄を維持したまま、王宮へ向かって全速力で走り出した。


◆◆◆王宮で始まっていた戦闘


王宮に近づくにつれ、戦闘の音がはっきりと聞こえてきた。


剣がぶつかり合う音。


魔術が炸裂する音。


騎士たちの叫び声。


そして、建物の向こうから立ち上る黒煙。


三人が王宮前に到着すると、そこではすでに激しい戦闘が始まっていた。


「敵を通すな!」


「王宮を守れ!」


騎士たちが必死に防衛線を守っている。


その向こうでは、ヴェルザーク帝国の兵士たちが黒い魔力を放ち、王宮へ侵入しようとしていた。


「な、何が起きているの!?」


アルセリアは目の前の光景に驚いた。


セレスはすぐに表情を引き締めた。


「アルセリア、何が起きてるかより、今は戦うだけよ!」


その声は、いつものセレスとはまるで違っていた。


普段の彼女は少し天然で、のんびりしたところがある。


しかし、ひとたび戦闘態勢に入ると、その雰囲気は一変する。


上級魔術兵士としての冷静な判断力と、正確な魔術操作。


敵の動きを瞬時に見抜く鋭い目。


今のセレスには、いつもの天然な雰囲気はなかった。


ガルもすぐに杖を構えた。


「アルセリア、戦え! 今は王宮を守ることが先だ!」


「分かってるわよ!」


アルセリアは両手を広げ、魔力を高めた。


「もう! せっかく作戦が成功したのに、どうしてこんなことになっているのよ!」


「文句は後だ!」


ガルの声に、アルセリアは敵兵士へ向き直った。


三人はそれぞれの魔術を発動させる。


ここからは、敵を捕らえるための作戦ではない。


王宮と人々を守るための戦いだった。




◆◆◆三人の魔術師、反撃開始!


最初に動いたのはセレスだった。


敵兵士たちが黒い魔力を集めているのを見て、すぐに杖を掲げた。


「風よ、我が声に応えよ! 敵の魔力を押し返せ! 烈風障壁!」


ゴォォォッ!!


強烈な風が巻き起こり、敵兵士たちが放とうとしていた黒い魔力を押し返した。


「なにっ!?」


敵兵士たちの体が大きくよろめく。


その隙を逃さず、セレスは続けて魔術を放った。


「光の鎖よ、邪悪なる者たちを捕らえよ!」


白い光の鎖が地面から伸び、敵兵士たちの足や腕に絡みつく。


「くそっ! 動けない!」


「今よ! 騎士たち、敵を押さえて!」


セレスの声に、王国の騎士たちが一斉に動いた。


「おおっ!」


騎士たちは敵兵士の武器を弾き飛ばし、次々と拘束していった。


一方、アルセリアも魔力を高めていた。


「私だって負けないわよ! 光の柱よ、敵の進路をふさぎなさい!」


地面から何本もの光の柱が立ち上がり、敵兵士たちの前に壁を作った。


さらに、アルセリアは手を振り下ろした。


「光の檻よ、閉じ込めなさい!」


光の柱がつながり、敵兵士たちを囲む檻へと変わった。


「しまった! 閉じ込められた!」


「まだよ! この程度で終わりじゃないわ!」


アルセリアは次の魔術を準備した。


しかし、敵側の魔術師が黒い魔力を放った。


「闇の刃よ、光を切り裂け!」


無数の黒い刃がアルセリアへ飛んでいく。


「危ない!」


ガルがすぐに反応した。


「大地よ、我らを守れ! 岩壁防御!」


地面が盛り上がり、分厚い岩の壁が現れた。


黒い刃は岩壁に突き刺さり、激しい音を立てて砕け散った。


「アルセリア、敵の魔力を甘く見るな!」


「分かってるわよ! 助かったわ、ガル!」


「礼は後でいい!」


ガルは杖を構え、敵兵士たちへ向けた。


「魔力を縛る光の鎖よ、敵の力を封じよ!」


青白い鎖が地面から現れ、敵兵士たちを次々と拘束していく。


三人の魔術師が力を合わせることで、王宮前の防衛線は少しずつ立て直されていった。


◆◆◆負傷者が次々と運び込まれる


そのころ、町で戦っていた騎士や魔術師たちは、負傷者を王宮へ運び込んでいた。


「負傷者です! 治療をお願いします!」


「こちらにも怪我人がいます!」


王宮の一角に設けられた臨時治療所には、次々と負傷者が運ばれてきた。


医師たちはすぐに治療を始めた。


「こちらの方を寝台へ!」


「傷口を押さえてください! 止血を急いで!」


「次の患者を運んできて!」


騎士の一人が腕を負傷し、苦しそうに顔をしかめていた。


医師は傷の状態を確認し、治療魔術を使った。


「聖なる光よ、傷ついた者に癒やしを与えよ。ヒール!」


柔らかな光が傷口を包み込む。


しかし、負傷者は一人ではなかった。


次々と騎士や町の人々が運び込まれ、治療を待つ人々で部屋はいっぱいになっていった。


「先生! こちらの方もお願いします!」


「分かっています! 順番に治療します!」


医師たちは必死に治療を続けていた。


一人の医師が仲間に声をかける。


「治療魔術を使える者を、もっと集めてください! この人数では追いつきません!」


「分かりました! すぐに応援を呼びます!」


別の医師は、負傷者の状態を確認しながら薬を準備していた。


「この方には回復薬を。こちらの方には魔力回復の薬を用意してください!」


「はい!」


治療所は混乱していたが、誰一人として手を止めようとはしなかった。


騎士たちも、負傷者を運び終えると再び戦場へ戻っていく。


「治療をお願いします。仲間がまだ外で戦っています!」


医師はうなずいた。


「分かっています。必ず治療します。あなたも無理をしないでください!」


しかし、外では戦闘が続いている。


負傷者は増える一方だった。


5 ガルたちが知った王宮の危機


王宮前では、ガルたち三人が敵兵士と戦い続けていた。


セレスは敵の魔術を防ぎながら、周囲の騎士たちに指示を出す。


「右側から敵が来ています! 防御を固めて!」


「分かりました!」


アルセリアも光の魔術を放ち、敵兵士たちの進行を食い止めていた。


「これ以上、王宮へは入れさせないわ!」


ガルは二人の様子を確認しながら、敵の魔術師を警戒していた。


「敵は町にも兵士を送り込んでいる。王宮前だけに集中するな! 周囲にも注意しろ!」


そのとき、一人の騎士が駆け寄ってきた。


「ガル殿! お戻りになったのですね!」


「何が起きている? 敵兵士はどこから現れたんだ?」


騎士は息を切らしながら答えた。


「以前、幻影王都に封じ込めた敵兵士たちです! 彼らが封印を破壊し、王宮と町を襲い始めました!」


「何だと!? あの封印を破ったのか!」


ガルは驚いた。


アルセリアもセレスも顔を見合わせる。


「そんな……。あれほど強力な封印だったのに!」


「敵も必死に魔力を集めていたのでしょう。想定以上の力で封印を破ったようです!」


ガルはすぐに表情を引き締めた。


「分かった。今は敵を食い止めることが先だ。陛下はどこにいる?」


「陛下は護衛の騎士たちとともに、王宮を守るために戦場へ向かわれました!」


「陛下が!?」


三人は驚いた。


「急がなければ!」


ガルはセレスとアルセリアに声をかけた。


「二人とも、陛下と王宮を守るぞ!」


「もちろんよ!」


「はい!」


三人は再び敵兵士たちへ向き直った。


作戦を成功させたばかりの三人だったが、休む時間はなかった。


捕らえた敵の三人とは別に、王宮と町にはまだ多くの敵兵士が残っている。


そして、負傷者の治療も追いついていない。


王宮を守るための戦いは、まだ終わりそうになかった。

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