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第106話 帝国の侵攻! 王宮と町を襲うヴェルザーク帝国の兵士たち

第106話 帝国の侵攻! 王宮と町を襲うヴェルザーク帝国の兵士たち


◆◆◆破られた封印! 王宮に迫る敵兵士


深夜の王宮。


ガル、アルセリア、セレスの三人が、敵の船にいる三人の強力な魔術師を捕らえる作戦を進めているころ、王宮では予想もしなかった事態が起きていた。


以前、幻影王都に閉じ込め、魔力を封じ込めたはずのヴェルザーク帝国の魔術兵士たち。


彼らは、封印の中で魔力を集め続けていた。


「まだだ……。もっと魔力を集めろ!」


「このまま閉じ込められてたまるか!」


「全員で力を合わせろ! 封印を破壊するんだ!」


兵士たちは残された魔力を一か所に集中させた。


すると、幻影王都を覆っていた結界に、小さな亀裂が走った。


ピシッ……。


ピシピシッ……!


「もう少しだ! さらに魔力を放て!」


次の瞬間――。


ドォォォォン!!


凄まじい爆発音とともに、幻影王都の封印が破壊された。


「やったぞ! 封印が破れた!」


「外へ出るんだ!」


魔術兵士たちは次々と幻影王都から飛び出した。


そして、王宮へ向かって一斉に攻撃を開始した。


「敵襲だ!!」


「ヴェルザーク帝国の兵士たちが現れたぞ!」


王宮内に警報が鳴り響いた。


騎士たちは一斉に剣を抜き、魔術師たちは攻撃魔術を構えた。


「全員、戦闘開始!」


騎士団長の声が響く。


「敵を王宮へ近づけるな! 陛下をお守りしろ!」


王宮の正門付近では、騎士たちと敵兵士たちが激しくぶつかり合った。


敵兵士が黒い魔力をまとった剣を振り下ろす。


「邪魔だ! 消えろ!」


騎士が盾を構えて受け止めた。


ガキィィン!!


「ぐっ……!」


「負けるものか! この王宮は絶対に守る!」


別の場所では、魔術師同士の戦いが始まっていた。


「炎の魔術よ、敵を焼き払え! ファイアバースト!」


王国の魔術師が両手を広げると、巨大な炎の球が敵兵士たちへ飛んでいった。


しかし、敵兵士は不気味な笑みを浮かべ、黒い魔法陣を展開した。


「そんな攻撃、通用しない!」


「黒き闇よ、炎を飲み込め!」


黒い魔力が炎を包み込み、あっという間に消し去った。


「なっ……! 炎が消された!?」


敵兵士はそのまま反撃する。


「闇の槍よ、貫け!」


無数の黒い槍が王国の魔術師たちへ向かって飛んだ。


「防御結界!」


王国側の魔術師たちが急いで結界を張る。


ドドドドッ!!


黒い槍が結界に突き刺さり、激しい衝撃が広がった。


「くっ……! なんて魔力だ!」


王宮は、再び激しい戦場へと変わっていった。


◆◆◆町を襲う敵兵士たち


そのころ、王宮の外にある町でも、恐ろしい事態が起きていた。


封印から脱出したヴェルザーク帝国の兵士たちは、王宮だけでなく、町にも攻撃を仕掛けていたのだ。


「町を焼き払え! 抵抗する者は容赦するな!」


敵兵士の命令とともに、黒い炎が町へ放たれた。


ゴォォォォ!!


家々の屋根に炎が燃え広がり、通りには黒い煙が立ち込めた。


「きゃあああ!」


「火事だ! 逃げろ!」


「子どもを連れて地下へ向かうんだ!」


町の人々は突然の襲撃に混乱した。


逃げ遅れた人々の前に、敵兵士たちが立ちはだかる。


「この町はヴェルザーク帝国が支配する!」


「嫌だ! ここは私たちの町よ!」


「黙れ!」


敵兵士が黒い魔力を放つ。


町を守ろうとした騎士たちが駆けつけ、剣を構えた。


「町の人々には手を出させない!」


騎士たちは住民をかばいながら敵に立ち向かった。


しかし、敵兵士の数は多く、攻撃も激しかった。


「こちらへ! 地下へ避難してください!」


騎士たちは町の人々を地下の避難場所へ誘導した。


母親が小さな子どもを抱きしめながら走る。


「大丈夫よ。もう少しで地下に着くからね!」


「ママ、こわいよぉ……」


「大丈夫。絶対に守るからね!」


逃げ切れた人々は、次々と地下へ向かった。


一方、町の広場では、王国の魔術師たちが敵兵士を食い止めていた。


「水よ、渦となりて敵を包め! ウォーターサイクロン!」


巨大な水の渦が敵兵士たちを包み込む。


しかし、敵は黒い魔力で水の流れを切り裂いた。


「そんな魔術で我々を止められると思うな!」


「ならば、これでどうだ!」


別の魔術師が地面に手をついた。


「大地よ、壁となれ! アースウォール!」


地面が盛り上がり、敵兵士たちの進路をふさいだ。


だが、敵の魔術師が杖を掲げる。


「黒炎よ、すべてを焼き尽くせ!」


黒い炎が壁を包み、岩を赤く焼きながら崩していった。


王国の魔術師たちは必死に応戦したが、敵の攻撃は止まらなかった。


町は一瞬にして焼け野原のようになり、あちこちから煙が立ち上っていた。


◆◆◆アレクへの避難命令


そのころ、王宮では騎士団長がアレクのもとへ駆け込んできた。


「アレク陛下! 大変です!」


「どうした?」


「閉じ込め、封印していたヴェルザーク帝国の兵士たちが封印を破壊しました! 兵士たちは王宮だけでなく、町にも攻撃を仕掛けています!」


「何だと!?」


アレクは驚き、すぐに立ち上がった。


「封印を破ったというのか……!」


「はい! 町では火災が発生し、住民たちが地下へ避難しています。王宮にも敵兵士が押し寄せています!」


騎士団長は周囲を確認してから、アレクに告げた。


「陛下、どうかお逃げください! こちらから別荘へ向かってください!」


「別荘へ?」


「はい。陛下がここに残れば、敵に捕らえられる危険があります。陛下はこの国を治めるお方です。陛下が捕まってしまえば、この帝国は滅びてしまいます!」


アレクは騎士団長を見つめた。


そして、はっきりと答えた。


「私は逃げない。君たちと戦う」


「陛下!」


「町の人々が襲われている。王宮の兵士たちも命懸けで戦っている。そんなときに、私だけが安全な場所へ逃げるわけにはいかない」


騎士団長は必死に訴えた。


「しかし、陛下が捕らえられれば、国を守る者がいなくなります! どうか、この帝国のためにもお逃げください!」


アレクは首を横に振った。


「君たちと戦う。皆と一緒に、この国を守る。団長は指揮に戻ってくれ」


騎士団長は、アレクの強い決意を見つめた。


やがて深く頭を下げた。


「……了解いたしました。では、君たち! 陛下をしっかりお守りするように!」


護衛の騎士たちが一斉に返事をする。


「はっ!」


騎士団長はアレクに向き直った。


「では、陛下。どうかご無事で!」


そう言い残すと、騎士団長は再び戦場へと駆け出していった。


アレクは護衛の騎士たちとともに、王宮の正門へ向かった。


「私も戦う。町の人々と、この王宮を守るために」


その声には、皇帝としての強い決意が込められていた。



◆◆◆王宮前で始まる魔術戦


王宮の正門前では、騎士たちが敵兵士の侵入を必死に食い止めていた。


「これ以上、王宮へ入れるな!」


「陛下をお守りしろ!」


敵兵士たちは黒い魔力をまとい、次々と攻撃を仕掛けてくる。


王国の魔術師たちも負けじと魔術を放った。


「聖なる光よ、我らを守る盾となれ! ホーリーシールド!」


青白い光の結界が王宮の正門を包み込む。


敵兵士が放った黒い炎が結界に激突した。


ドォォン!!


激しい衝撃が広がり、結界に亀裂が入る。


「くっ……! このままでは持たない!」


「全員、魔力を結界に集中させろ!」


王国の魔術師たちが一斉に手をかざした。


「光よ、重なり合え! 守護の壁を強化せよ!」


結界が再び輝きを増す。


しかし、敵側もさらに魔力を高めた。


「黒き雷よ、我らの敵を打ち砕け!」


空に黒い雲が広がり、無数の雷が王宮前へ落ちてくる。


バリバリバリッ!!


騎士たちは盾を構え、魔術師たちは防御結界を張った。


「耐えろ! 絶対に突破させるな!」


王宮の前では、魔術と魔術の激しい戦いが繰り広げられていた。


そのとき、別の方向から強い光が差し込んだ。


「聖なる守護よ、我らの前に壁を築け!」


エリシアが両手を広げると、巨大な聖なる盾が現れた。


彼女の盾は王宮前の騎士たちを包み込み、敵の黒い雷を受け止めた。


「今のうちに、負傷した騎士たちを後方へ!」


エリシアの声に、騎士たちは負傷者を運び始めた。


その隣では、ルシェルが剣を抜いていた。


「邪悪な魔力よ、我が剣の前に道を開け!」


剣が白く輝く。


ルシェルは敵兵士の放った黒い魔力を斬り裂き、そのまま前へ踏み込んだ。


「はああっ!」


光の斬撃が敵兵士たちの魔術を打ち消す。


さらに、セラフィが両手を合わせた。


「清らかな光よ、邪悪なる力を浄化せよ!」


彼女の周囲から柔らかな光が広がった。


黒く染まった魔力が光に触れると、煙のように消えていく。


「なっ……! 我らの魔力が消えていくだと!?」


敵兵士たちは驚き、後ずさった。


エリシア、ルシェル、セラフィ。


天界から送り込まれた三人の守護者が、ついに本格的に戦いへ加わったのだ。


しかし、敵兵士たちは一人ではなかった。


別の通りからも、さらに別の通りからも、次々と敵兵士が現れていた。


「まだ来るのか……!」


ルシェルが周囲を見渡した。


「敵の数が多すぎる。こちらだけで全員を止めるのは難しいわ」


エリシアも表情を引き締めた。


「それでも、ここを突破させるわけにはいかない!」


セラフィは再び光を放った。


「一人でも多くの人々を守りましょう!」


三人は力を合わせ、王宮を守るために戦い続けた。


◆◆◆リリアが感じた戦場の苦しみ


一方、別荘では――。


リリアが突然、胸のあたりを押さえた。


「……いたい……」


ポポたち四匹がすぐに近づく。


「リリア、どうしたのだ!?」


リリアの目には、再び涙が浮かんでいた。


遠く離れた王宮や町で起きている苦しみ。


人々の叫び声。


兵士たちが傷つき、倒れていく姿。


そして、パパが危険にさらされている感覚。


それらが、リリアの小さな心に流れ込んできた。


「ぱぱが……」


ピピが心配そうに顔をのぞき込む。


「リリちゃん?」


リリアは涙をこぼしながら、必死に話した。


「ぱぱ、つかまる……。ままも……」


「リリア……」


「リリ、たしゅける! ぱぱ、たしゅけるの!」


リリアは小さな手をぎゅっと握った。


「リリ、たたかう! ぱぱ、まま、まもる!」


ポポたちは驚いた。


「リリア、待つのだ!」


「でも、リリちゃんはまだ小さいんだよぉ!」


リリアは首を横に振った。


「だめぇ! へいたいしゃん、にげてぇ! ポポたち、へいたいしゃん、たしゅけて!」


リリアの瞳が強く輝いた。


いつものいたずらっ子の笑顔は消え、家族や人々を守りたいという強い気持ちがあふれていた。


ポポはリリアの前に立った。


「分かったのだ。でも、リリアを危険な場所へ行かせるわけにはいかないのだ」


ピピも続けた。


「そうだよぉ。兵士さんたちを助ける方法を考えようね」


リュリュは小さな翼を広げた。


「リュリュも守るりゅ! リリちゃんも、みんなも守るりゅ!」


ノクスは真剣な表情でうなずいた。


「俺たちが行く。リリアはここで待っていろ」


「でもぉ……」


「必ず守る。約束する」


リリアは涙をぬぐった。


「……ほんと?」


「ああ」


四匹はリリアを守ることを最優先にしながら、王宮と町の人々を救う方法を考え始めた。


6 天界からの祈り


そのころ、天界では神々が水晶の鏡を囲んでいた。


映し出されているのは、燃え上がる町と、王宮を守るために戦う騎士たちの姿だった。


ゼノは険しい表情で戦場を見つめていた。


「とうとう、恐れていたことが起きてしまったか……」


アテナも心配そうに答えた。


「幻影王都の封印が破られるとは……。あれほどの兵士が一度に解放されてしまったら、守りきるのは簡単ではないわ」


オルフェは水晶の鏡を見つめた。


「守護魔術も応戦している。しかし、敵兵士はあちらこちらに現れている。戦っても、戦っても追いつかない」


フィオナは、別荘にいるリリアを見た。


「リリアは、すべてを感じ取っているわ。パパを助けたいと願っている……」


ゼノは深く息を吐いた。


「エリシア、ルシェル、セラフィ。なんとしても王宮と人々を守るのじゃ!」


そして、別荘にいる四匹にも神力を通じて命じた。


「ポポ、ピピ、リュリュ、ノクス! リリアを守れ。何があっても、なんとしても守るのじゃ!」


四匹は天界からの声を受け取った。


「分かったのだ!」


「ピピたちに任せてぇ!」


「絶対に守るりゅ!」


「俺たちが守る」


神々は再び水晶の鏡を見つめた。


ゼノは祈るように両手を組んだ。


「頼む……。リリアと国王を守りきるのじゃ……!」


王宮では、アレクが騎士たちとともに戦い続けていた。


町では、避難した人々が地下で不安な夜を過ごしていた。


そして別荘では、リリアがパパとママを助けたいと願い続けていた。


敵兵士たちの侵攻は止まらない。


王国を守るための戦いは、さらに激しさを増していこうとしていた。


リリアが感じ取った恐ろしい未来は、少しずつ現実になり始めていた。


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