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第105話 深夜の反撃作戦! 捕らえられた三人の邪悪な魔術師

第105話 深夜の反撃作戦! 捕らえられた三人の邪悪な魔術師


◆◆◆今夜、作戦決行!


王宮の地下シェルターでは、ヴェルザーク帝国との戦いに備えた準備が続いていた。


アルセリア、セレス、ガルの三人は、敵の船を攻撃する作戦について、何度も手順を確認していた。


敵の結界を気づかれずに解除するアルセリア。


船を音もなく破壊するセレス。


そして、敵の三人を魔術封じの牢獄に閉じ込めるガル。


三人の魔術が一つでも失敗すれば、作戦全体が危険にさらされる。


ガルは二人を見ながら言った。


「作戦は夜に決行する。敵が油断している時間を狙うんだ」


アルセリアは自信ありげにうなずいた。


「分かっているわ。私の魔術なら、敵に気づかれることなく結界を解除できるもの」


セレスも真剣な表情で答えた。


「私も準備はできています。船を破壊する魔術は、何度も確認しました」


「よし。あとは実行するだけだ」


三人は作戦の内容を隊長に報告するため、会議室へ向かった。


隊長は三人の報告を聞き、すぐにアレクへ伝えた。


その報告を受けたアレクは、しばらく考え込んだ。


「今夜、決行するのか……」


「はい。三人とも準備は整っているとのことです」


アレクはゆっくりとうなずいた。


「分かった。三人を信じよう。作戦が成功することを祈る」


そして、隊長に命じた。


「作戦が始まったら、いつでも対応できるようにしておけ。敵の動きにも注意を怠るな」


「畏まりました!」


アレクは窓の外に広がる夜空を見つめた。


どうか、三人が無事に任務を果たしてくれますように。


そして、この国の人々がこれ以上傷つかずに済むように。


皇帝として、ただ成功を祈るしかなかった。


2 深夜の海辺


深夜。


辺りは静まり返り、空には無数の星が輝いていた。


ガル、アルセリア、セレスの三人は、海の見える高台へと向かっていた。


そこからは、ヴェルザーク帝国の船が停泊している場所を見渡すことができる。


三人は周囲に人影がないことを確認し、作戦を始める準備を整えた。


ガルが二人を見つめる。


「今度こそ失敗は許されない。相手は強力な魔術師だ。絶対に油断するな」


アルセリアは腕を組んだ。


「分かっているわよ。ガル、セレスも失敗しないでよ!」


「了解!」


セレスがうなずいた。


「了解」


ガルも短く答えた。


三人はそれぞれの位置についた。


最初に動くのはアルセリアだった。


彼女は両手を前にかざし、敵の船を覆っている結界に意識を集中させた。


「さあ、始めるわよ……」


アルセリアの指先に、かすかな光が灯る。


その光は、まるで細い糸のように夜の空気へ溶け込んでいった。


彼女が使うのは、結界そのものを攻撃する魔術ではない。


結界を構成している魔力のつながりを、外側から静かにほどいていく秘術だった。


影縫いの術(かげぬいのじゅつ)


外側から見ても結界に変化は現れない。


術者でさえ、結界が解除されたことに気づかないほど静かに、その守りを崩していく。


魔力の残滓もほとんど残さない。


ただし、強固な結界ほど解除には時間がかかる。


アルセリアは息を整え、静かに呪文を唱えた。


「境界を結ぶ糸よ、我が指先にほどけよ。光にも影にも知られることなく、その守りを静寂の中へ還したまえ。」


指先から伸びた光が、海上の船を覆う結界へと届いた。


結界は何も変わらない。


敵の船から見ても、異常は感じられなかった。


しかし、その内側では、結界を構成する魔力の糸が一本ずつ静かにほどけ始めていた。


アルセリアは集中を続ける。


「もう少し……あと少しよ……」


ガルとセレスは息をひそめ、彼女の作業を見守っていた。


やがて――。


アルセリアの指先から伸びていた光が、ふっと消えた。


「……終わったわ」


ガルが小声で尋ねる。


「結界は?」


アルセリアは船を見つめた。


「解除できたわ。外からは何も変わって見えないけれど、もう結界は機能していないはずよ」


ガルは慎重に周囲の魔力を確認した。


敵が気づいた様子はない。


「よし。次はセレスだ」


セレスは静かに前へ進み出た。


「分かりました。今度は私の番ですね」


彼女の周囲に、黒い光がゆっくりと集まり始めた。



◆◆◆禁忌魔術・無音崩船


セレスは両手を広げ、海上に停泊する敵の船を見つめた。


これから使うのは、通常の破壊魔術とは違う。


音も、爆発も、魔力の痕跡も残さず、船そのものを消し去る禁忌の魔術だった。


禁忌魔術・無音崩船(むおんほうせん)


邪悪な魔術兵士たちの船を葬る、究極の破壊魔術。


セレスは深く息を吸い、呪文を唱え始めた。


「深淵に眠る古代の力よ。邪悪なる者どもの船を見定めよ。黒き虚無よ、その船を包み、悪しき魔力をすべて封じよ。


海に響く音もなく、空に残る痕跡もなく、邪悪なる船に終焉を告げよ。


禁忌魔術――無音崩船!」


その瞬間、海面に漆黒の魔法陣が浮かび上がった。


魔法陣はゆっくりと広がり、敵の船全体を包み込んでいく。


船室では、ザルヴェイン、バルゼルド、クロウがそれぞれ休んでいた。


誰一人として異変に気づいていない。


やがて、船全体が黒い光に包まれた。


そして――。


一瞬のうちに、船は無数の光の粒子となって消え去った。


爆発音もなければ、海面が大きく揺れることもない。


まるで最初から船など存在していなかったかのように、海は静かなままだった。


ガルは目を見開いた。


「……成功したのか?」


セレスは少し驚いた顔をした後、笑顔になった。


「船が消えました! 成功です!」


アルセリアも嬉しそうに声を上げた。


「やったわ! 私の結界解除も成功したわよ!」


しかし、まだ終わりではない。


船は消えたが、三人の邪悪な魔術師を捕らえなければならない。


ガルは二人に向き直った。


「最後は俺の番だ。二人とも、少し離れていてくれ」


ガルの周囲に、重々しい魔力が集まり始めた。


4 三魔封獄・アビスプリズン


ガルが使うのは、三人の邪悪な魔力を同時に封じ込める究極の捕縛魔術だった。


三魔封獄・アビスプリズン


相手を殺すことなく、魔術能力を封じたまま捕獲する魔術。


三人の魔力を一度に封じ込め、漆黒の結界牢獄へ閉じ込める。


ガルは両手を高く掲げた。


「闇に染まりし三つの魂よ。その力を天に返し、その魔力を地に沈めよ。逃げ道なき三重の鎖よ、今ここに顕現せよ。


三魔封獄――アビスプリズン!」


すると、海上に巨大な漆黒の魔法陣が現れた。


その魔法陣から、三本の黒い鎖が伸びていく。


鎖はザルヴェイン、バルゼルド、クロウの三人をそれぞれ包み込んだ。


「何だ、これは!」


ザルヴェインが驚き、魔力を放とうとする。


しかし、魔力がまったく反応しない。


「くっ……魔術が使えないだと!?」


バルゼルドも鎖を引きちぎろうとした。


「ふざけるな! こんなもので俺を捕らえられると思うな!」


だが、どれほど力を込めても鎖はびくともしなかった。


クロウは冷静に状況を見極めようとしたが、彼の魔力もすでに封じられていた。


三人の足元に、漆黒の結界牢獄が形成される。


鎖が三人を包み込み、そのまま逃げ道のない牢獄へと閉じ込めた。


こうして、三人の邪悪な魔術師は、魔術能力を封じられたまま捕らえられた。


ガルは魔術を解除し、二人を振り返った。


「……成功したな!」


セレスは嬉しそうに両手を合わせた。


「きゃは! 今度こそ成功ね!」


アルセリアも満足そうに笑った。


「成功したわ! 陛下に報告しなくちゃ!」


三人は顔を見合わせた。


今度の作戦は、最初から最後まで成功したのだ。


誰も傷つけず、敵の三人を生け捕りにすることができた。


「すぐに陛下へ報告しよう」


ガルの言葉に、二人もうなずいた。


◆◆◆王宮で起きた新たな危機


しかし、そのころ――。


王宮では、三人の作戦成功とは別に、恐ろしい事態が起きていた。


以前、幻影王都に閉じ込められ、魔力を封じられていたヴェルザーク帝国の魔術兵士たち。


彼らは、アルセリアたちが最初の作戦で封じ込めた敵兵士だった。


ところが、彼らはまだ諦めていなかった。


幻影王都の内部で、複数の魔術兵士たちが力を合わせ、封印を破ろうとしていたのだ。


「このまま閉じ込められてたまるか!」


「全員で魔力を集中させろ! この結界を壊すんだ!」


兵士たちは、残された力を振り絞って魔力を放った。


すると、幻影王都を覆っていた封印に、少しずつ亀裂が入り始めた。


ピシッ……。


ピシピシッ……!


そして――。


ドォォォン!!


大きな音とともに、幻影王都の一部が崩れた。


封じ込められていた魔術兵士たちが、次々と外へ飛び出していく。


「出られたぞ!」


「王宮を襲え!」


「今度こそ、この国を支配してやる!」


兵士たちは王宮の中へと侵入し、周囲にいた騎士や兵士たちに攻撃を仕掛けた。


「敵襲だ!!」


「幻影王都から敵兵士が脱出したぞ!」


王宮内に警報が鳴り響く。


騎士たちは剣を抜き、魔術兵士たちは迎撃の準備を始めた。


「陛下をお守りしろ!」


「敵を王宮の奥へ進ませるな!」


王宮のあちこちで戦闘が始まった。


せっかく黒雷の攻撃を止め、反撃の作戦を成功させたばかりだった。


それなのに、今度は以前封じ込めた敵兵士たちが、王宮を襲い始めたのだ。


三人の強力な魔術師を捕らえたことを、まだ誰も知らない。


そして、王宮で新たな戦いが始まったことも、ガルたちはまだ知らなかった。


王国を襲う危機は、終わっていなかった。


むしろ、さらに大きな戦いへと変わろうとしていた。


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