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第104話 リリアが感じた恐ろしい未来! パパとママに迫る危機

第104話 リリアが感じた恐ろしい未来! パパとママに迫る危機


◆◆◆王宮で進む反撃作戦


王宮の地下シェルターでは、アレク皇帝を中心に、ヴェルザーク帝国との戦いに向けた会議が続いていた。


先ほど決まった作戦を実行するため、騎士団長や魔術師たちは、それぞれ準備を進めようとしていた。


「アルセリアが敵の船を守る結界を破り、セレスが船を破壊する。その後、ガルが三人の魔力を封じ込める。これが今回の作戦だ」


アレクは、もう一度作戦の手順を確認した。


「三人がそれぞれの役割を確実に果たせば、敵を生け捕りにできる可能性がある。しかし、相手は強力な魔術師だ。決して油断してはならない」


騎士団長たちは真剣な表情でうなずいた。


「陛下、ご安心ください。私たちも三人を全力で支援いたします」


「頼んだぞ。敵が次の攻撃を仕掛けてくる前に、こちらから動く必要がある」


アレクは海の向こうにいる敵を思い浮かべた。


黒雷によって王宮を襲った三人。


彼らが次に何をするのか、まだ分からない。


王国の人々を守るためにも、これ以上、敵に好き勝手させるわけにはいかなかった。


そのころ、敵の船では――。


ザルヴェイン、バルゼルド、クロウの三人が、船室で静かに過ごしていた。


「さっきの黒雷を止めた魔術師たち、なかなかやるじゃないか」


バルゼルドが面白そうに笑った。


ザルヴェインは窓の外を眺めながら答えた。


「だが、あれだけで我々を止められると思っているのなら、甘いな」


クロウは腕を組み、静かに口を開いた。


「次に何を仕掛けてくるか、少し様子を見よう。こちらから動くのは、それからでも遅くない」


三人は、王国側が反撃の作戦を立てていることなど知らない。


いや、知ったとしても、恐れる様子はなかった。


彼らにとって、この戦いはまだ始まったばかりだった。


2 別荘で感じたリリアの異変


一方、そのころ。


リリアとアリアが過ごしている別荘では、いつもと変わらない穏やかな時間が流れていた。


アリアはおもちゃで遊び、リリアはその隣でポポたちと一緒に過ごしていた。


人間たちの前では、ポポ、ピピ、リュリュは普通のぬいぐるみ。そしてノクスは小さな黒猫の姿をしている。


しかし、誰もいないリリアの部屋では、四匹はいつもどおり自由に話していた。


「ポポ、今日は何して遊ぶのだ?」


「おやつ探しゲームなんてどうかなぁ?」


「また食べ物なのだ?」


「だって、おやつは大事だもん!」


ピピが楽しそうに笑う。


リュリュも小さな翼をぱたぱたさせた。


「リュリュも、おやつがいいりゅ!」


「お前たちは本当に食べ物のことばかりだな」


ノクスは呆れたように言った。


いつもなら、リリアも一緒になって笑うはずだった。


ところが、そのとき――。


「……あっ」


リリアの顔から、突然笑顔が消えた。


胸の奥が、ぎゅっと締めつけられるような感覚。


体の中を、何か冷たいものが通り抜けていくようだった。


「……いたい……」


リリアは小さな手で胸のあたりを押さえた。


「リリちゃん?」


ピピがすぐに近づいた。


「どうしたの? どこか痛いの?」


リリアは首を横に振った。


けれど、痛みは消えない。


それどころか、悲しみや恐怖が次々と押し寄せてきた。


まるで、遠くで誰かが苦しんでいるような感覚。


そして、その先に待っているものまで、ぼんやりと感じ取っていた。


「……こわい……」


リリアの目に涙が浮かんだ。


「こわい、こわいことがあるの……」


ポポたちは顔を見合わせた。


「リリア、何が怖いのだ?」


ポポが優しく尋ねる。


リリアは震える声で答えた。


「パパと……ママが……」


「パパとママ?」


ピピが心配そうに聞き返した。


リリアは涙をぽろぽろとこぼしながら、二人の名前を繰り返した。


「ぱぱ……つかまるの……。ままも……つかまるの……」


「えっ……?」


四匹の表情が一斉に変わった。


リリアは小さな手をぎゅっと握りしめた。


「ぱぱぁ……ままぁ……。つかまっちゃうのぉ……」


そして、とうとう大きな声で泣き出してしまった。


「いやぁぁ……! ぱぱぁ! ままぁ!」


その声は、いつもの甘えた声とは違っていた。


本当に何か恐ろしい未来を見てしまったかのような、悲痛な泣き声だった。




◆◆◆四匹の必死な励まし


「リリア!」


ポポが慌てて駆け寄った。


ピピもリリアのそばに座り、小さな手をそっと握る。


「リリちゃん、だいじょうぶだよぉ。ピピたちがいるからね!」


「そうなのだ! ポポたちがいるのだ!」


ポポは胸を張った。


「ポポにおまかせなのだ! パパもママも、きっと大丈夫なのだ!」


しかし、リリアの涙は止まらなかった。


「ぱぱぁ……ままぁ……」


リュリュはどうしたらいいのか分からず、リリアの周りを小さく飛び回った。


「リリちゃん、えがおになってほしいりゅ! えっと、えっと……」


すると、リュリュは突然、自分の体をくるりと回転させた。


「りゅりゅりゅ~ん!」


そのまま空中で一回転し、勢い余ってクッションの上にぽすんと落ちた。


「いたた……りゅ……」


ピピが思わず笑いそうになる。


けれど、リリアはまだ泣いていた。


「リリちゃん、見て見てぇ!」


今度はピピが、ふわふわの毛を大きく膨らませて、まんまるの毛玉のようになった。


「ピピ、まんまるになっちゃったぁ!」


ポポも負けじと、お腹を突き出して得意げに言った。


「ポポはもっと大きなまんまるになれるのだ!」


「ポポ、そんなことしなくていい」


ノクスが呆れたように言った。


しかし、ポポは気にしない。


「見ているのだ! ポポの必殺、ころころ大回転なのだ!」


ポポは床の上をころころ転がり、最後には壁にぶつかってしまった。


「ぽふっ!」


「ポポ、大丈夫?」


ピピが声をかける。


「だ、大丈夫なのだ……。ポポは強いのだ……」


リュリュも一緒になって、ぴょんぴょん跳ね始めた。


四匹は何とかリリアを笑わせようと、必死だった。


ノクスも普段なら呆れて見ているだけだったが、今は違った。


リリアのそばに寄り、そっと頭を差し出す。


「……泣くな。俺たちがついている」


リリアはノクスの頭をなでた。


「のくすぅ……」


「そうだ。怖いことがあっても、一人じゃない」


四匹はリリアを囲むように寄り添った。


リリアは少しずつ泣き声を小さくしたが、その目にはまだ不安が残っていた。


◆◆◆天界を揺るがすリリアの預言


そのころ、天界では――。


神々が水晶の鏡を囲み、リリアの様子を見守っていた。


先ほどまで楽しそうに遊んでいたリリアが、突然泣き出したのだ。


ゼノは驚いた表情で水晶を見つめていた。


「今のは……未来を感じ取ったのか?」


アテナも真剣な顔でうなずいた。


「ええ。リリアはまだ幼いけれど、神力によって未来の危険を感じ取ったのかもしれないわ」


オルフェは水晶の鏡に映るリリアを見つめた。


「パパとママが捕まる……。あの子は、これから起こる出来事を感じ取っているようだ」


フィオナは心配そうに胸に手を当てた。


「かわいそうに……。あんなに小さいのに、恐ろしい未来を感じてしまったのね」


ゼノは腕を組み、難しい顔をした。


「先ほどの作戦会議では、アルセリア、セレス、ガルの三人に作戦を任せたはずじゃが……」


アテナが答える。


「アルセリアが敵の結界を壊し、セレスが船を破壊する。そしてガルが三人の魔力を封じ込める。三人が協力すれば、成功する可能性はあるわ」


「それに、我々は人間界へ三人の守護者も送り込んでおる。エリシア、ルシェル、セラフィがいるのじゃ。簡単に王国が危機に陥るとは思えぬが……」


ゼノの言葉には、いつもの余裕がなかった。


オルフェは静かに目を閉じた。


「しかし、リリアがこれほど強く未来を感じ取るということは、何かが起きる可能性がある」


「三人の作戦は失敗するのかしら……?」


アテナがつぶやいた。


「まだ分からぬ。じゃが、リリアが感じ取った未来を軽く考えることはできぬ」


フィオナは水晶の鏡を見つめた。


そこには、ポポたち四匹に囲まれながら、涙をぬぐうリリアの姿が映っていた。


「リリア……どうか、怖がらないで」


◆◆◆まだ見ぬ未来


別荘では、リリアがようやく少し落ち着きを取り戻していた。


ピピがそっと頭をなでる。


「リリちゃん、もう大丈夫?」


リリアは小さくうなずいた。


けれど、まだ不安そうに四匹を見つめている。


「ぱぱと……まま……だいじょうぶ?」


ポポは力強く答えた。


「もちろん大丈夫なのだ! ポポたちが守るのだ!」


「ピピも守るよぉ!」


「リュリュも、ぜったい守るりゅ!」


ノクスも短く答えた。


「俺たちがいる。心配するな」


リリアは四匹を見つめ、少しだけ笑顔を見せた。


「……ありがとぉ」


しかし、四匹はまだ安心していなかった。


リリアが感じ取った未来。


それは単なる不安や想像ではない。


神力によって、これから起きる出来事の一部を感じ取っている可能性が高かった。


そして天界の神々も、リリアが見た未来の意味をまだ理解できていない。


王宮では、アルセリアたち三人が反撃作戦の準備を始めている。


一方、敵の船には、恐ろしい力を持つ三人の魔術師が待ち構えていた。


果たして、王国側の作戦は成功するのか。


そして、リリアが感じ取った「パパとママが捕まる」という未来は、本当に訪れてしまうのか。


誰もまだ、その答えを知らなかった。


ただ一つ確かなのは、リリアの小さな胸に、これまでにないほど大きな不安が生まれていたことだった。

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