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第102話 三人の力を合わせて! 黒雷を打ち破る魔術師たち

第102話 三人の力を合わせて! 黒雷を打ち破る魔術師たち


◆◆◆地下室へ避難するアレク


宮殿では、黒い雷による攻撃が続いていた。


ドオオオオオン!!


激しい雷鳴が響き、建物が大きく揺れる。


「アレク陛下! 地下室にお逃げください!」


騎士たちがアレクのもとへ駆け寄った。


「こちらです! 急いでください!」


「分かった。負傷者の救助を続けるように伝えてくれ!」


「かしこまりました!」


アレクは騎士たちに守られながら、地下室へと避難した。


地下室には、すでに何人かの兵士や宮殿の関係者が避難していた。


「陛下、ご無事で何よりです!」


「ああ。外の状況はどうなっている?」


「黒い雷はまだ続いております。負傷者も出ていますが、医師たちが救護にあたっています」


アレクは険しい表情でうなずいた。


「そうか……」


そして、先ほどの預言者の言葉を思い出した。


(あの預言者の言うことは正しかったのか……。やはり、船には三人の魔術兵士が残っていたのだろうか)


アレクは拳を握りしめた。


敵の攻撃は始まってしまった。


もう迷っている時間はない。


◆◆◆三人の魔術師が再び集結


そのころ、ガルとセレスは、ようやく宮殿にたどり着いた。


二人はすぐに魔術兵士の隊長を見つけ、報告した。


「隊長! 大変です!」


「どうした、ガル!」


「船の内部を遠視幻映魔術で確認しました。三名の魔術兵士がいることを確認しました!」


「やはり……!」


セレスも続けた。


「映像は結界で乱れていたけど、確かに三人いたよ!」


隊長は険しい顔になった。


「分かった。すぐに陛下へ報告しなければ!」


「陛下は地下室へ避難されています!」


「私が報告に向かう。君たちは攻撃を止める方法を考えてくれ!」


隊長はそう言うと、地下室へ向かった。


ガルとセレスは宮殿の外へ出た。


空は黒雲に覆われ、黒い雷が次々と落ちている。


「このままじゃ、宮殿が持たないぞ!」


ガルが空を見上げた。


「うん! 何とかして雷を止めないと!」


二人が魔術を唱えようとした、そのとき――。


「ちょっと待ちなさい!」


後ろから声が聞こえた。


振り返ると、そこにはアルセリアが立っていた。


「アルセリア!」


セレスが声をかけた。


「あのね、私たち、封じ込めに失敗していたみたいなの。船に三人残っていたんだよ」


「……セレス、あんたねー!」


アルセリアは不機嫌そうに顔をしかめた。


「今はそんなことを言っている場合じゃない!」


ガルが強い口調で言った。


「この雷を止めないと、宮殿も町も危険だ!」


アルセリアは空を見上げた。


「……分かったわ。私が消す!」


◆◆◆アルセリアの魔術


アルセリアは両手を空へ向け、魔力を集中させた。


「聖なる光よ、天より降り注げ、邪悪な雷を包み、その力を鎮めよ!

黒き稲妻を封じたまえ!」


「聖光雷封印!」


アルセリアの手から、まばゆい光が放たれた。


光は黒雲へと伸びていく。


しかし――。


バリバリバリッ!!


黒い雷が光を押し返し、空中で激しく弾けた。


「きゃっ!」


アルセリアは思わず後ろへよろめいた。


「なぜ効かないの!? 私の魔術は完璧なのに!」


ガルはすぐに彼女のそばへ駆け寄った。


「落ち着け、アルセリア!」


「でも!」


「相手の魔術が相当なものだということだ。単独では効かない。三人で力を合わせて、もう一度やるぞ!」


アルセリアは悔しそうに唇をかんだ。


セレスも水晶をしまい、二人の隣に立った。


「うん! 三人なら、きっとできるよ!」


ガルは二人を見渡した。


「いくぞ!」


三人は同時に両手を空へ向けた。


アルセリアが呪文を唱える。


「聖なる光よ、天より降り注げ、邪悪な雷を包み、その力を鎮めよ!

黒き稲妻を封じたまえ!」


「聖光雷封印!」


続いてセレスも声を合わせた。


「聖なる光よ、天より降り注げ、邪悪な雷を包み、その力を鎮めよ!

黒き稲妻を封じたまえ!」


「聖光雷封印!」


最後にガルが力強く唱えた。


「聖なる光よ、天より降り注げ、邪悪な雷を包み、その力を鎮めよ!

黒き稲妻を封じたまえ!」


「聖光雷封印!」


三人の魔力が重なり、巨大な光の柱となって空へ伸びた。


まばゆい光が黒雲を包み込む。


すると――。


ゴロゴロゴロ……。


激しかった雷鳴が、少しずつ遠ざかっていった。


黒い稲妻も消え、空を覆っていた雲がゆっくりと薄くなっていく。


やがて、宮殿の上空に明るい光が戻った。


「おさまったかぁ……」


ガルは大きく息を吐いた。


「良かったぁ。雷さん、怖い!」


セレスは胸をなで下ろした。


アルセリアは納得できない様子で、二人を見た。


「どうして邪魔するのよ? 私一人でできたのに……!」


ガルは静かにアルセリアを見つめた。


「アルセリア。戦争は魔術を競うためにあるんじゃない。国を守るために、我々は魔術を使うんだ」


「……」


「みんなと協力して戦わなくてはならない。それができないなら、魔術兵士を辞めるんだな」


アルセリアは何も言わなかった。


そして、二人に背を向けると、その場から走り去ってしまった。


「アルセリア!」


セレスが呼び止めようとしたが、ガルが首を横に振った。


「ほっとけ。あいつ自身が考えて、答えを出さないといけない」


ガルは去っていくアルセリアの背中を見つめた。


「プライドだけでは戦いには勝てない。だが、あいつは大丈夫さ。心配するな。ただ素直になれないだけだ」


セレスは少し考えてから、にやりと笑った。


「そっかー。でも、ガルはアルセリアのこと、よく分かってるね~。さては……好きなのかな? きゃは!」


「バカなことを言うな!」


ガルの顔が少し赤くなった。


「陛下に報告に行くぞ!」


「えー、顔が赤いぞ~! 好きなんだ~!」


「うるさい!」


二人は地下室へ向かって歩き出した。



◆◆◆陛下への報告


地下室では、アレクが隊長たちから報告を受けていた。


「船に三名の魔術兵士が残っていたのだな?」


「はい。ガルとセレスが遠視幻映魔術で確認しました。間違いありません」


アレクは険しい表情でうなずいた。


「やはり、全員を封じ込められていなかったか……」


そこへ、ガルとセレスが戻ってきた。


「陛下!」


「ガル、セレス! 無事だったか!」


「はい。ご心配をおかけしました」


ガルが一歩前に出た。


「陛下、ご報告があります。宮殿を襲っていた黒い雷を、三人の魔術で消すことができました」


「何!? 本当か!」


「はい。三人で力を合わせたところ、黒い雷と黒雲を鎮めることができました」


アレクは安堵の表情を浮かべた。


「そうか! よくやってくれた。怪我はないか?」


「大丈夫です。ありがとうございます」


セレスも笑顔でうなずいた。


「私たち、三人で頑張ったんだよ!」


アレクは二人をねぎらった。


「よくやってくれた。君たちの働きに感謝する」


そして、少し表情を引き締めた。


「隊長から報告を受けた。やはり三名いたのだな」


「はい。全員の封じ込めに失敗いたしました」


ガルは深く頭を下げた。


「申し訳ありません」


しかし、アレクは首を横に振った。


「君たちが悪いわけではない。敵の魔術が我々の想像を超えていたのだ」


アレクはその場にいる魔術師たちを見渡した。


「これからが本当の戦いだ。戦闘準備をしてくれ!」


「はっ!」


◆◆◆敵の三人の余裕


一方、ヴェルザーク帝国の船では――。


黒雷の魔術が鎮められたことに、ザルヴェインたちは気づいていた。


「なかなかやるな!」


ザルヴェインは、船の外を眺めながら笑った。


「まあ、このくらい止められないと、戦うのがバカバカしくなるよ」


バルゼルドも余裕の笑みを浮かべる。


「上陸しなくとも、ここから攻撃するだけで滅ぼすことができそうだな」


クロウは椅子に座り、面倒そうに二人の話を聞いていた。


「さて、次はどうする?」


ザルヴェインは腕を組んだ。


「慌てる必要はない。相手がどれほどの力を持っているのか、もう少し楽しませてもらおう」


三人は、まるで戦いを遊びのように考えているかのようだった。


彼らにとって、黒雷の魔術はほんの挨拶にすぎなかった。


◆◆◆始まる戦略会議


宮殿の地下室では、アレクが緊急の戦略会議を始めていた。


集まったのは、隊長たち、上級魔術兵士、ガル、アルセリア、セレス。


先ほどまで別の場所にいたアルセリアも、会議には戻ってきていた。


しかし、表情は硬く、ほとんど口を開かなかった。


アレクは地図を広げ、海に停泊する敵の船を指さした。


「ヴェルザーク帝国の魔術兵士たちは、戦闘能力が高い。これまでの戦いにも慣れている」


隊長たちは真剣な表情で地図を見つめた。


「先ほどの黒雷を見ても分かるとおり、敵の魔術は非常に強力だ。こちらが守りに徹するだけでは、いずれ押し切られてしまうだろう」


アレクは一度、全員を見渡した。


「相手が動く前に、こちらから仕掛けて封じ込めるしかない。何か良い方法はないか?」


その問いかけに、会議室はざわついた。


「敵は船から攻撃してきました。こちらから船へ近づくのは危険です」


「海上で戦うとなれば、相手の魔術をまともに受ける可能性があります」


「遠距離から封印魔術を使う方法はないでしょうか?」


「しかし、相手の結界を突破できなければ意味がありません」


次々と意見が飛び交う。


ガルは地図を見ながら考え込んでいた。


セレスも水晶を手に持ち、何か方法がないか考えている。


アルセリアは腕を組んだまま、黙っていた。


アレクは全員の意見に耳を傾けながら、再び口を開いた。


「我々には、民を守る責任がある。敵の三人を自由にさせるわけにはいかない。必ず方法を見つけよう」


会議室に緊張が走った。


三人の強力な魔術師を相手に、どう戦うのか。


王国の命運をかけた作戦会議が、続いていった。


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