模試
ラルクの全てのステータスは15万である。
それは彼が生まれる時に人のステータスを司る天使たちによって定められた上限であり、それを超えることはできない。
魔王を倒した時点で全ステータス15万に達していたラルクはこれ以上、成長することはない。
が、それはステータスに限った話である。
魔王を倒してからの半年間で、ラルクにはひとつだけ得意になったことがあった。
(ガルチェ&ドッバーナを着て以来、服に興味を持ったおかげで着替えも早くなったものだな。)
ラルクは自分が洋服を着るのが早くなったことを実感し、満足していた。
(半年前は服を着るのに手間取って、魔王を待たせてしまったからな。)
※プロローグ1参照
(だが、今の俺は違う……服を脱いで魔獣を倒してから服を着直しても誰にも気付かれることはなかった!)
だから、もう裸で人前に出ることはない。
もちろん、裸を見られることも。
(それなのになぜだ。この胸にぽっかりと穴が開いてしまったような寂しさは!?)
ラルクは自分が露出狂だったのかもしれないと疑い始めたのだった。
※ここまでは筆者がプロローグ1の内容を忘れていて、前回の話をアップした時点でそんな設定を思い出したため慌てて付け加えた辻褄合わせです。
※ラルクが露出狂になってしまったかもしれませんが(元々そんな感じだったし)本編に影響はないと思います。
※そもそも本編ってどれ?
***
50匹以上いた魔獣を一瞬で倒してしまったラルクを見てカブトムシみたいな霊獣アイコーがあることに気付く。
「おい、ラルク。ズボンの前後ろが逆じゃないか?ずっと一緒にいたのに気付かなかったが、朝から逆だったのか?」
「あ、ああ。本当だな。ちょっと穿き直すから待っていてくれ。」
ラルクはアイコーやサンマに似た霊獣アカシヤ、そして敵である水のアクアが見守る中、ゆっくりとズボンを脱いで、前後ろを確認してから穿き直した。
なぜかその顔は嬉しそうだった。
問1 なぜ「その顔は嬉しそうだった」のか理由を6文字で答えなさい。(句読点含まず)
模範解答 「露出狂だから」
「なあ、ラルク。」
ズボンを穿き直したラルクにアイコーが話しかける。
「なんだ?」
「お前が強いのは分かった。おそらく、お前ならあの水色女も楽勝なのだろう。だが、あいつの相手はアタシにやらせてくれないか?」
アイコーは怒っていた。
自分の守護する山に魔素を振りまき、動物たちを混乱させた魔族に。
そして、動物たちを守れなかった自分に。
目の前にいる魔族、水のアクアがその原因のひとりというなら、彼女を倒すことが自分にできる責任の取り方なのだ。
アイコーはそう考えていた。
「分かった。俺は手を出さない。」
「足もだぞ?」
「分かった。俺は足も出さない。」
「ち〇こもやで!」
アカシヤが茶化すように言う。
「ば、ばか!そそそそんなもの出すワケないだろ!!」
「なんで、そんなに焦っとんのや。図星をつかれた露出狂やないんやから。」
「あ、ああそうだ!俺は露出狂などではない!断じてな!」
そう言いながらもラルクは珍しく自分が嫌な汗をかいていることを感じていた。
問2 なぜラルクは「嫌な汗をかいて」いたのか理由を15字以内で述べなさい。(句読点含まず)
模範解答 「露出狂がばれたと思ったから」(13文字)
※この物語は全国の受験生を勝手に応援しています!
「では、水のアクアよ……アタシが相手だ!」
メスのカブトムシのような姿の霊獣アイコーが大魔王の配下である四将軍のひとり、水のアクアに向かって2本足で走り出す。
ちなみにアイコーはオスであり、たぶんカブトムシではない。
「ワタクシの可愛い魔獣たちに何をしてくれたのですか!?あなたたちは絶対に許さなくてよ!!」
自分の生み出した魔獣をあっさりと葬られた水のアクアも怒りの表情でアイコーを迎え撃つ。
「木の聖霊よ。聖なる山の守護者たるアイコーが命じる。悪しき者の動きを封じよ!」
アイコーがそう唱えるとどこからか大量の木の葉が舞ってきて水のアクアを包み込む。
さらに、地面から無数の木の根が伸び水のアクアの手足を拘束する。
「カブトムシアッパー!」
身動きの取れなくなった水のアクアに向かって、アイコーは自分の右腕をカブトムシのツノに見立てたアッパーを放つ。
バシャァッ!!
しかし、手応えは小さい。
まるで水を掬うような感触だけが手に残る。
水のアクアを包んでいた木の葉が落ちる。
そこには水のアクアの形をした水の塊があった。
その水の塊は腕や脚に巻き付いた木の根を無視するように一歩前に出る。
「言い忘れていましたが、体を自由に水に変えられるワタクシに物理攻撃は効きませんわ。」
水の塊はそう告げると水のアクアに戻ったのだった。
大事なところの矛盾は気にしないけど、どうでもいい矛盾は気にします。




