牛乳少年
サンマに似た霊獣アカシヤ。
彼は今、自分の背中の肉をラルクに振る舞った際に、背中の痛みを肩代わりさせたことをメスのカブトムシのような姿の霊獣アイコーに平謝りしている。
「すまんかった!」
「実はちょっと困ったことがあってな。相談に乗ってくれたら水に流してやってもいい。」
「ホンマでっか!?なんや、相談って。」
「あたしのオカンなんだけどな。」
「アイコーのオカンの話な。」
「あたしが何の姿の霊獣か忘れたって言うのよ。」
「自分の子供が何か忘れたってそんなことある?じゃあ、俺がアイコーが何の姿の霊獣か一緒に考えてあげるから。何かヒントになること言ってなかった?」
「オカンが言うにはあたしは昆虫の王様の姿の霊獣らしいのよ。」
「そんなん、カブトムシに決まりやないの!昆虫の王様言うたらカブトムシにしかないんやから!」
「あたしもな、カブトムシと思うてオカンに言うたんだけどな。カブトムシ違うらしいのよ。オカンが言うにはな、動物のう◯こを転がしてる昆虫らしいのよ。」
「それはカブトムシ違うな。確かにメスのカブトムシはフンコロガシに似てるけど、カブトムシはフンなんか転がさないからね!ほな、カブトムシちゃうな。オカン、他に何か言うとらんかった?」
「オカンが言うには、あたしのモデルになった昆虫にはヘラクレスって呼ばれてる種類のやつもいるらしいのよ。」
「やっぱりカブトムシやないか!ヘラクレスオオカブト言うたら、大人も子供もみんな大好きな、ロマンの塊なんやから!カブトムシで決まりや!」
「でも、分からんのよ。」
「何が分からんのよ?」
「オカンが言うにはその昆虫は鳴き声が風流らしいのよ。」
「ほな、カブトムシちゃうな!カブトムシは鳴かないからね!耳を澄ましてるとたまになんかギィギィ音してるけど、あれはなんなんやろね!?関節が何かの音なんかな?あの音は風流からはいちばん遠い音やからね!オカン、他に何か言ってなかった?」
「オカンが言うにはその昆虫はオスにだけ立派なツノが生えてるらしいのよ。」
「やっぱりカブトムシで決まりやないか!ツノのある昆虫といえばカブトムシ。街頭アンケートでもダントツの1位や!まあ、アイコーはメスやからツノないけどな!」
「あたし、オスだよ。」
「ほな、カブトムシちゃうな!お前、フンコロガシやわ!」
「でも、オトンが言うにはな。」
「オトン、急に出てきたな!」
「アイコーは本当はニンゲンなんじゃないかって」
「そんなワケあるか!」
そんな霊獣2体を見ながらラルクは思った。
(霊獣って子供を生むんだ。こんなのが何体もいるのか……えぐいな。)
アイコーの怒りが落ち着いたところで、ラルクとアカシヤがこの山にやってきた理由を説明する。
「なるほどな。魔界の入り口があった場所を見にきたのか。」
「ああ、そうなんや。アイコー分かるか?」
「この山に住む精霊たちから報告は受けているから場所は分かるぞ。」
「案内してもらってもええか?」
「門は閉まっているから何もないとは思うけど、危険があったら自分の身は自分で守れるのか?特にそこのニンゲン。」
「俺か?」
アイコーがもしはぐれた魔獣などがいた時に自衛できるのかとラルクに問う。
ラルクの代わりにサンマのような霊獣アカシヤが答える。
「そんなん楽勝や。ラルクは魔王も倒せる実力者やで。邪魔するやーつは指先ひーとーつでーダウンやー。」
「うん、だから歌を歌うのはやめような。」
全ステータス15万で大魔王の約150倍あるラルクだが、幼い頃に両親に刷り込まれた音魔王デスラックへの恐怖には勝てないらしい。
「へえ、ラルクってそんなに強いのか。見た目はどこにでもいる村人Aっていうカンジなのに。でも、洋服はオシャレかもしれないな。ニンゲンのセンスはよく分からないが。」
「ふっ、これはガルチェ&ドッバーナの服だからな。」
「ガルチェ&ドッバーナのその香水のせいだよ?」
「えーと……そんなことは言ってないが。」
「よう分からんけど、さっさと魔界の入り口があったっちゅうところ行こうや。俺もあんまり自分のテリトリーから離れたくないんや。」
霊獣であるアカシヤやアイコーは自分の守るべき自然の側にいなければならないし、離れると生命力が弱まり、ステータスも落ちてしまう。
そのため、サンマに似た霊獣アカシヤがこうして自分のテリトリーでないこの山で活動するにも限界があった。
「じゃあ、案内してあげるからついてきて。」
こうして、ラルクとアカシヤはこの山を守護する霊獣アイコーに魔界の入り口があったという場所まで案内してもらうことになった。
乗れる限りの流行に乗ってみた。(1年後とかに読むとめちゃくちゃ恥ずかしいやつ)




