【余談】中国にとっての1991年以降
中国にとっての1991年以降を記述する。
おそらく1991年当時の中国人は自分の国が覇権国家に届く一歩手前まで来たことを想像出来なかったのではないか。碌に上下水道はなくニーハオトイレで下手すると電気も無い。あるのはやる気だけ。この時代は万元戸になったら金持ちと言う国。国民のほとんどが最貧困状態で常に飢餓に苦しむ国。国民の大半が人民服を持つのが精いっぱいの国。天安門事件(1989)に象徴されるように自由も無く弾圧される国。奥地に行くと電気すら通ってない国。さてそんな国へ手を差し伸べた者がいます。
日本の巨大な資本です。特にバブル崩壊で行き詰まったジャパンマネーは国内へ再投資せず巨大な人口に投資したら儲かるという超近視眼的発想で氷河期世代を見殺しにしたあげくに中国本土に巨額の投資をしたのです。特に満蒙開拓を行った息子や本人の中国への熱というのは尋常じゃありませんでした。万死に値します。
――どうせ文明水準が3段も劣る国だ。我が国日本の技術に追い付けるわけがない。
それが幻想で1995年のIT革命でもって模倣が容易になったのです。日本人は「デジタル」というものの本質が分かって無かったのです。デジタルというものはすべて模倣を容易に出来るのです。日本は1997年に金融危機となるのですが日本の衰退をしり目に未曽有の発展を開始することになります。
さて漢民族にとってもう一つの悲願がやって来ました。植民地香港の返還(1997)と植民地マカオの返還(1999)です。中国は形の上だけ一国二制度となったのですが事実上失った領土、それも植民地を返還してもらったのです。中国史というのは1999年を持って「支配される側」としての歴史に終止符を打ちました。もう20世紀が終わる寸前と言う時の出来事でした。そして中国と言う国は21世紀に本格的な躍進を遂げます。この時点でもう中国人の服装は人民服ではなくなり手に持っているのは携帯電話となって電気も中国全土に通じるようになっていました。
この時点で中国は清帝国中期からの「失われた300年」を取り戻したうえで21世紀に入っていきます。まだこの段階ではただの地域大国にしてただの中進国に過ぎません。
マカオ返還から25年後。気が付けば液晶テレビで世界トップ。汚れた空はEVで浄化。充電式ドローンシェア90%。そして一人っ子政策による人口減少を見越した無人工場に無人宅配。2010年に日本のGDPを追い抜いた時にはもう誰も立ち向かえない国になっていました。2005年頃には日本の新幹線技術「はやて」車両「E2系」を基に中国新幹線を作りあっという間に日本のオリジナル技術を抜き中国本土に高速鉄道網を完成させることになります。2011年には東日本大震災によって日本は再起不能に陥ります。2023年には最高時速350km/hで走る貨物新幹線を実現しました。高度成長期にありがちな汚れた空気は共産党の鶴の一言でEV化を促進し中国は青い空を取り戻すことに成功します。2023年には「空飛ぶクルマ」が実現しドローン宅配に無人工場を完成させました。もう中国の上を行く技術の国は世界中どこにもなくなりました。
――そしてアジアの盟主は完全に中国のものになりました。
そして中国こそが21世紀の文明誕生国家となるのですが……。
ほとんどの人類にとってそれは「自由と民主主義の敗北」を意味します。そんな中国は今……アメリカ合衆国が1929年に襲った世界恐慌と同じ境遇となっています。実は1930年代に生きる人類は誰もアメリカ合衆国が世界の覇者になるだなんて思ってなかったのです。アメリカは終わった国扱いだったのです。むしろ経済が絶好調なソビエトや植民地を多数持っている大英帝国こそが21世紀の覇者だと思っていたのです。残念ですが近視眼な人は「文明」での栄枯盛衰を見てれないのです。そもそも覇権国家になろうとする国は新文明と恐慌がセットで試練としてやってくるものなのです。なので『世界史』という授業を学校で教わる理由がまさにこれなんです。
気が付けば1991年からたった30年で中国のGDPは米国ドル換算で約25倍にもなりました。日本は逆に1992年水準とほぼ同等なのでなんと2025年現在でGDP額がマイナスになったのです。もう平成以降日本人がやったことはただの「自殺行為」です。日本は本来なりえたはずの「世界覇権国家」という身分を自分で捨てて中国にあげてしまったと言ってよい。平成日本や令和日本の政治家は「世界屈指の無能政治家集団」と後世の歴史家が刻むことだろう。
中国が世界覇権国家になった時にたしかに人類はほとんどの労苦から解放されAIやロボットが仕事をするというある意味ではユートピア社会の実現となる事でしょう。しかし同時に世界中で『1984』ばりのディストピア社会も同時にやって来るのです。人類は快適さと引き替えに自由と民主主義を失うのです。大半の国がね。嘘だと思うのなら中国の国民スコア制度と無人文明とそこらじゅうにある監視カメラを見た方がいい。
さて、実は覇権国家だったスペイン、イギリス、アメリカにはあって中国にはないものがあります。ソフトパワーです。スペインはキリスト教文化やカトリックを世界中に広め、英国は様々なスポーツを世界中に伝搬しアメリカはハリウッド映画や洋楽を世界中に広めました。今のところ中国にそれらしき文化はないのです。強いて言えばドローンショーでしょうか? ドローンショーではまだまだソフトパワー大国とは言えないのでそろそろ新・中国文明の世界的文化伝搬、ユニバーサル化が必要です。国民総背番号制や無人文化がおそらく中国が広め行く世界文化となるのでしょう。
たぶんですがいつかきっと今の中国は経済危機を脱します。そのときは1940年代以降のアメリカのように誰も勝つことが出来ない超大国となっている事でしょう。そのころには基軸通貨も「中国・元」となっているはずです。
――そして日本人・韓国人にとって最も悲劇なのは中国に下手すると土地ごと飲まれるという危険性大という事である。深紅の巨竜「中華人民共和国」に我々は高確率で飲まれるのだ。
世界史は「ジャパン・アズ・ナンバーワン」とはならなかった。結局「チャイナ・アズ・ナンバーワン」となったのである。




