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異世界のんびり漫遊記  作者: カイ
第12章 新しい土地へ

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579、魔力枯渇を防がなきゃ!

ラドゥガによって、森の中を広範囲にわたって『隷属の魔法』の解除をしてもらった俺たち。


おかげで俺たちは身体が軽くなって戦いやすくなり、そして俺達を認識することのなかった魔物達は、解除された途端に俺達の存在を認識して突進してくるようになった。

それに合わせて俺達も先ほどの連携技を使ってどんどん魔物を屠っていく。



しばらく勝手に自滅しに来る魔物の為にその魔法を維持していたのだが、あまりにも突進してくる魔物が多すぎて、魔力量がかなり多い俺たちですら残り魔力量が半分を切るほどに消耗してしまった。

このままでは魔力切れまではいかなくても、意識が混濁するほどの状態にはなってしまいそうな気がする。


「グリーさんっ!このままでは魔力量がほとんどなくなりそうな勢いなんですけど、どうしたら良いんですかっ!?」


俺はまだ魔力に余裕があるうちにグリーさんに相談をした。

どうやらグリーさんもそのことに関しては気にしていたらしく、「なんか方法を考えんならんな!」と焦った顔で俺に言った。

困ったなぁ……魔力量を回復する物、かぁ……。


俺がまず頭に思い出したのは『エミリーさんの自作魔力回復薬』だったが、あれは俺の中で即座に却下された。……あれは飲んだらあかん奴だ。


もしグリーさんが飲んだら、それこそ魔法ではなく元の姿に戻って魔物を一匹残らず踏み潰してしまいかねない。

……あれ?それでも良かったりして?

いや、駄目だ。俺まで踏み潰されかねない。


俺は思わず頭をプルプルと横に振ってその考えを頭から追い出す。

それを見たグリーさんは少し首を傾げた。


「グリーさん、何か魔力量を回復させる薬って知りませんか?」

「ん?なんや、人はそないなもんを飲むんかいな?」

「ええ。人は一度失った魔力量を回復するのにかなり時間が必要になりますからね。……俺はそうでもないですけど。」


俺がそう答えると、グリーさんは「まぁ、確かにな」と言って笑い出した。


「シエルさんは普通の人とはちゃうねんで。そら種族がちゃうとかやあれへんねや。『特別仕様』ってやつやな。」

「……特別仕様?」

「そうや。『特別仕様』や!」


俺がグリーさんの言葉に黙ってしまうと、彼は首を傾げて「あれ?もしかしてよう分かっとれへんかったんかな?」と呟いた。


「シエルさん、自分、この世に一柱しかおらん『神の依代』である神竜の親代わりやねんで?そないな人物が『特別仕様』やのうてなんだっちゅうんや?」


確かにグリーさんの言葉にあるように、俺はもしかすると本当に『特別仕様』である可能性もあり得ると思い始めた。

たがそれでも、この魔力量の減り方を考えると、回復薬は飲んでおきたいところ。

俺が眉間に皺を寄せて悩んでいると、グリーさんは何かを思い出したようにハッとした顔で俺を見た。


「シエルさん!そういえば今朝方セバスが君に飲ませた物って何やったん?あれ飲んだら魔力量が回復して身体が軽なったって言うてましたやん?」


俺はそれを聞いてハッとすると、即座にラドゥガを避けて腕輪に手を突っ込むと、腕輪から今朝セバスがくれた『世界樹の雫』を集めた飲み物を取り出す。

実はセバスが何本も作っておいてくれたのだ。


セバスに聞いたところ、これの原材料となるものは2つ。

1つは『世界樹の雫』で、もう1つは蜂蜜ならぬ『蟻蜜』である。

『蟻蜜』は一番最初に探索に行ったダンジョンで討伐したフォレストアントの所で手に入った物だ。

使い道がなかったところをセバスが使ってみたのだそうだ。

効能はこれ単体でも魔力回復薬となるらしい。


俺はその回復薬を2本取り出すと、1本は俺が飲み、もう1本はグリーさんに渡してその場で飲ませた。


この回復薬はかなりの即効性で、すぐさま回復していく。

……俺の場合は量が半端ないから、全回復するには時間がかかるんだよね。


とりあえず俺たちは消費する魔力量より回復する魔力量の方が何倍も速いので、攻撃魔法を維持しながらもどんどん元気になっていった。



それからしばらくして俺の索敵魔法でも確認したが、どうやら予定していた量の魔物の数よりも相当多く討伐できたようだ。

これならしばらくは問題にはならないなと、グリーさんと顔を見合わせてにやりと笑う。


そしてすぐにその場を離脱したのだが……急に体が重く感じる様になった。

何が起きた!?と思って辺りを見渡したが、俺たち以外には誰もいない。魔物すらいないのだ。


俺はすかさず索敵魔法を改めて使う。

すると俺たちのいる場所を囲むように4つの赤い点があった。

改めて周りを見るが、そんな気配はない。

すると急にグリーさんが翼を出して頭上の木々の上へ出ていった。

それを見て俺もハッとして、すぐさま結界を階段状にしてグリーさんを追いかける。


やはりこれは奴らなのだろうと予測しながら、焦りつつも安全に上に登っていった。

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