577、魔物を討伐しよう! 1
俺がそう考えていると、グリーさんが胸を張ってドンと叩いた。
「私が他の人の分もきばるで!自分は風魔法が得意やからな!」
「……グリー、それって森林破壊も辞さないって言ってる?」
グリーさんのその発言に、ユーリがジト目でそう言った。
すると少しビクッ!と体を震わせたグリーさんが、エヘヘ!とおちゃらけた笑い方でユーリの方を振り向いた。
「かめへんよ!私、風魔法のエキスパートやから、安心したってや!」
「その言葉、ホントだね?本当に大丈夫なんだね?」
「ユーリ様〜、そないに心配せんかて、万が一大規模に破壊してもうたとしても、シエルさんがなんとかしてくれまっせ!」
グリーさんは焦ったようにそうユーリに説明をして、後始末を俺に押し付けようとしてきた。
……俺、森を再生する魔法なんて使えたか?
俺は呆れた顔で思わずため息をついた。
「まぁ何にせよ、魔物を討伐しに行くのは変わりない。みんな、気を引き締めて行くぞ!」
スコットさんがみんなを真剣な表情で見渡しながら、気合を入れた。
それから俺達は魔物に気づかれないように忍び寄りながら、こっそりと、着実に討伐していく。
俺も気配を消しながら討伐し、すぐさま俺の腕輪に収納していく。
それなら討伐した魔物の姿が残らないから、他の魔物には気づかれないようだ。
もちろん他のメンバーでマジックバッグを持っている人も同様の事をして、できるだけ魔物をパニックにさせないようにしているのだ。
おかげで今のところはまだ魔物には何も気づかれていないようだった。
しばらくの間、皆で討伐していたのだが、その間に俺たちの行動に気づいた魔物はいなかった。
俺達はこっそりと討伐しているとはいえ、かなりの数を間引いたはず。
それでも一切気づかれないところを見ると、もしかすると普通の状態じゃないのかもしれない。
それに神官たちも現れることはなかった。
俺の索敵魔法ではあまりの魔物の多さに赤い点が無数に重なっているせいで、広範囲が赤く染まっている状態だ。
この状態では流石に個体識別は不可能で、神官達が何処にいるのかは流石に判別がつかない。
「……こんなちまちまやっていたら埒が明かないぜ?」
リッキーが周りに魔物がいないことを確認して大きなため息をつくと、少し休憩の為に集まっていた俺たちを見回してそう言った。
……そうだよね。
俺の索敵魔法の結果でも、それはわかる。
ほとんど赤い範囲が減ってない。
「やっぱり私の魔法でがっつり数を減らしたほうがええんやないですか?」
グリーさんも魔物のあまりの数の多さに、その顔には疲れが溜まっているのがよく分かる。
他のみんなの顔にも疲労の色が見えるので、とりあえず俺は皆に回復魔法をかけて疲れだけは取ってみた。
「ありがとう、シエル。おかげでもうひと踏ん張りできそうだ。」
スコットさんはまだ疲れの残っている顔で俺に向かって微笑むと、次の瞬間にはすぐに真剣な顔になった。
「とにかく、このままでは大した数を減らす前に向こうが行動を起こしてしまうかもしれない。それでは意味がないと思うんだ。みんなはどう思う?」
「俺もそう思う。だからもうこっそりなんてしないで、一気にかたをつける気で打って出ても良いんじゃないか?」
リッキーはスコットさんの言葉にそう答えた。
まぁね……それもありっていえばありだ。
その時は皆には結界を張って安全を確保した上で、俺とグリーさんの2人で広範囲攻撃魔法で一気にいく気でいないとだ。
俺も今ならまだそんなに魔力を消費していないから、大量の魔力で殲滅魔法を放てる。
俺がそれをみんなに告げると、皆も覚悟を決めた顔をした。
「……やるか。」
スコットさんのそのひと言に、みんなが頷く。
……了解。
俺が皆に強固な結界を張って、みんなの安全を確保したら、作戦開始だ。
俺は1人1人に『無事にみんなで帰れますように』と祈りながら強固な結界を張った。
それはいつもの結界に、更に『隷属の魔法』に対抗できるようにもしておいた。
森の中はその魔法か充満しているとラドゥガが言っていたからね。
みんなに張ったその結界は、俺のその祈りが込められているからなのか、いつもと違って淡く光っている。
暗い森の中では少し目立つほどだったが、それでももの凄く目を引くほどではないので、俺とグリーさんが連携して殲滅作戦をしている間は隠れることはできるだろう。
ともかく、彼らには俺たちの作戦行動中はしっかりと隠れていてほしいと頼んできたけど……なんか不安だなぁ。




