575、対策を考えよう!
ラドゥガが『隷属の魔法』を使った人物まで辿れる能力があり、自分の頭で魔法の無効化を行なったり、元凶を探しに行く事を考えたりする事が出来るのには驚かされた。
俺が事前にそれをやれと命令していたわけでもないので、確実に自分の意志なのだろう。
俺はふと思った。
ラドゥガがひとりぼっちで体育座りをしていたことを考えると、ラドゥガは『隷属の魔法』を使った者を見つけることができなかったのでは?と。
「ラドゥガ。もしかして昨日『隷属の魔法』を使用した者を見つけられなかったからここにいたの?」
俺はラドゥガの目(?)を見ながらそう聞いた。
するとラドゥガは俺を見上げながら首を横に振る。
……えっ?じゃあ見つけたの?
俺は気になったのでそう聞いてみると、首を縦に振った。
じゃあ……なんで体育座りをしていたんだ?
俺は「こんな時、ラドゥガが話せたら良いのに」と、つい思ってしまった。
そうすれば一体あの時に何があったのかを知ることができる。
俺はなんとか身振り手振りで伝えようとしているラドゥガを見て苦笑いをした。
すると急に、一瞬だけラドゥガが光った。
……なんか、嫌な予感がする?
『ご主人様!』
急に小さな男の子の声が頭に響いた。
俺は思わず目の前のラドゥガを見やる。
ラドゥガはまるでキラキラした目で俺を見るかのようにこちらを見上げていた。
「今の声、ラドゥガなのか?」
俺の問いに、ラドゥガは大きく頷く。
『はいっ!僕です!彼の御方からこの能力を授けていただきました!』
彼は小さな両腕を振り回して、俺に喜びを訴えかけていた。
「なるほど、それは良かったな。俺の方もお前に聞きたいことがあったんだ。」
『何でしょう、ご主人様!』
ラドゥガはまるで敬礼でもしそうな勢いでピシッと姿勢を正した。
「さっきも聞いたが、昨日の夜の襲撃の時、お前はどうして部屋を飛び出して行ったんだ?」
俺のその言葉にラドゥガは1つ頷く。
『はい。それはですね、「隷属の魔法」を使用されたことを即座に感知したので対処した後、その使用者を確保するために向かったのです。』
「なるほど、やはりそうなんだな。それはセバスが言っていた。だけど、それなら何でそこのベンチの下で体育座りなんてして顔を隠していたんだ?」
『……。』
俺の言葉を聞くと、ラドゥガは急にしょんぼりとしだした。……何があった?
『……実はですね、一生懸命痕跡を辿って追いかけたのですが、僕は空を飛べるわけでもなく、ましてこんなに小さいので……すぐに見失ってしまったんです……。』
それを聞いた俺は何とも言えない気持ちになったしまった。
そうだよね、身長30センチにも満たない人形が、一生懸命追いかけたとしても追いつかないよね……。
俺は軽くため息をつくと、ラドゥガの頭を優しく撫でたやった。
「それはしょうがないさ、小さく作ってしまった俺が悪い。……すまなかったな。でも、『隷属の魔法』を無効化して街の皆を守ってくれてありがとう。」
俺が申し訳なさそうに謝ると、ラドゥガは首と手をブンブンと振ると『そんな事ありません!』と言った。
『僕はこうして命を吹き込んでもらえたことをとても嬉しく思っています!こうしてただの「道具」だったものを「1人の人格」として扱ってもらえているのですから。』
ラドゥガはとても嬉しそうな声音で俺にそう言った。
……それなら良いんだけど。
それからラドゥガが言うには、自分があまりに情けなくて、それでベンチの下に隠れて反省していたのだそうな。
それを聞いて俺は、なんとかラドゥガの『足』になるものを作れないか?と思っていたのたが、そこへリッキーが1つのアイデアを提案した。
「なぁ、リリーの側にはゼフィアがいるだろ?あいつなかなか出てはこないが、ラドゥガの『足』代わりにはなるんじゃね?フェンリルだけあって足はめっちゃ速そうだし。それに戦闘力もありそうだから、ラドゥガを守ることもできるだろ?」
リッキーはそう言うと、俺にパチンとウインカをしてきた。
……まぁ、確かにそれは名案だと俺も思う。
あの子なら性格も穏やかだし、この子ともすぐに意気投合するはずだ。
俺達は一応皆と話し合いをし、今回の件でゼフィアをラドゥガと引き合わせることにした。
それにはもちろん契約者であるリリーさんの同意も必要で、もちろん彼女は理由が理由なので全く反対はなかった。
街中ではあるが、ゼフィアとラドゥガをこっそりと引き合わせてみた。
最初はお互いに戸惑っていたのだが、少し話をしたりしているうちに仲良くなり、ゼフィアもラドゥガの『足』代わりになってくれることを了承してくれた。
よし、これでまた森の中に行って例の神官の残党が現れても対処はできそうだ。
今日はまだ時間が早いので、今日のうちに向かったりするのかな?




