322、彼らの目的は?
「王妃の2人目の子供が国王の子供じゃなく幼馴染の貴族だった」っていう話にも驚いたのだが、その「幼馴染の貴族が王城の隣に建てられている教会の神父だった」という話にもすごく驚いたよ。
なんかそれを聞くと、王妃が公費を使って想い人の援助をしている気がしてちょっとあの祭りが楽しめなくなっちゃうよね。
「でも2人は一体何をしたいんだろうな?」
スコットさんが首を傾げてそんな事を言う。
俺はあの時の鑑定結果を知らせることにした。
「リッキー、あの時の鑑定結果だけど……実は神父の方は俺の鑑定レベルでは妨害されていて見ることができなかったんだ。」
それを聞いてリッキーは意外そうな顔をする。
「お前の鑑定でも見れなかったのか?」
「ああ、俺は人に対する鑑定ってほとんどしないんだよ。個人情報の塊だからな。だから『鑑定』のスキルからも『もっと使ってレベルを上げないと必要な時に見れないですよ?』なんて注意をされちゃったよ。」
「それ、マジか!」
俺が王妃の鑑定結果の時にスキルに言われたことを話すと、みんな驚いていた。
特にリーシェさんは「人によって『鑑定』のスキルは違うものなんですね!」と少し嬉しそうに言った。……何故に?
「じゃあ神父の方は良いとして、王妃の方はどうだった?」
リッキーからそう言われたので、皆にも鑑定結果を伝えた。
「……なんか一気にきな臭くなってきたな?」
スコットさんが眉をひそめてそんな事を言う。
確かに「国王の挿げ替えを狙っていて、その事によって下手をすると神聖法国と同じような状態へと陥る可能性がある」なんていう鑑定結果が出ればちょっと考えてしまうよね。
いや……まさかねぇ?
あの神父、ミストさん達の親だったヘイスさんの様に、『神聖法国』と繋がりがあったりしないよね……?
俺がそんなことを考えていると、リッキーが「それ、あり得るんじゃないか?」なんて言った。
「ん?どういうことだ?」
俺とリッキーの話にスコットさんが反応する。
俺は自分の予想をみんなに話してみた。
すると、この考えは案外みんなも考えていた事らしく、あの「隷属の魔法」というのが元々神聖法国の高位神官が使っていたものらしいのだ。
なるほど、そういえば「先代神竜を隷属させるために使った」って言ってたね!
でもあそこの高位神官って確か魔物が変化した神官じゃなかったっけ?
ってことは、その神官並みに魔力や能力がある……?
俺はなんだか頭の中が混乱してしまったが、リッキーが「ちょっと落ち着けよ」と言って考えをストップさせた。
「……シエルじゃないけど、あの神父……本当に人間なのか?って感じたんだよな。なんかさぁ……考え方がおかしいっていうか……まぁ、そんな事言ったら俺の叔父のヘイスもおかしかったがな。」
リッキーがそう言って肩を竦める。
「一体、奴は何を考えていたんだ?」
「あの時のあいつの頭の中はシエルとユーリの事しか考えてなくて、『憎い』『絶対に従える』って事しか伝わってこなかったんだ。頭の中でそれしか呟いてないんだぜ?なんか気持ちが悪かったんだよ。それに、考えてみれば隣に自分の子を産んだ王妃がいるのに、その存在を全く気にもとめてないんだよ。本当に『関心がない』って感じだった。逆に王妃の方は『神父一筋』って感じの感情しか伝わってこなくて、部屋に残してきた子供のことはほんの少ししか考えてなかったようだしな。」
スコットさんの問いにリッキーはそう答えた。
な…なるほど……。
あの気持ち悪い目線はそれの表れだったんだね?
それにしてもその『憎い』は、やっぱり女神を消滅させてあの国をほぼ壊滅させた事を指しているのかな?
でもさ、それに関してはあの女神の自業自得な気がするから逆恨みだと思うんだよね。
……っていうか、そこまで来ると間違いなくあの国と繋がりのある人ってことになるよね。
ヘイスさんのこともあるから一概に言えないけど……魔物じゃないよね?途中で入れ替わった、とか?
俺がそんな事をつらつらと考え込んでいると、ポンと肩を叩かれた。
「……ちょっと良いかな?私も神聖法国が壊滅したのは知ってるけど、なんだかその言い方だとあの国に魔物がいたかのようだね。一体、あの国で何があったんだい?」
リーシェさんは訝しそうな顔で俺たちを見回している。
代表して俺が『あの時見たこと』を伝えた。
するとリーシェさんはそれを聞いて考え込みだす。
「なるほど……神聖法国の神殿の中はほとんど神官がいなかった、というんだね?」
「ええ、そうなんです。セバスの話だと高位の魔物は会話もできるし、姿も人に化けることができるそうです。その能力で神聖法国の高位神官は全て魔物だったようで、神聖法国の女神はその神官たちを元の姿に戻してスノービークに向けて転移させて襲ってきたんです。でも俺達が殲滅させたので、誰一人として高位神官が戻ってこなかった結果、神殿の中の神官の数がほとんどいなくなることになったようです。」
俺の話を聞いて、リーシェさんはため息をつく。
「とんでもない事になっていたんだね、神聖法国は。そうか、それで先ほどの『人間なのか?』の言葉になる訳だ。確かにあの国と繋がってそうな神父ではそう思うのも仕方ないだろうね。それで、神父は鑑定できなかったんだっけ?」
「ええ、何らかの妨害があるようで、俺の鑑定レベルでは見れませんでした。」
「なるほど……。今度機会があったら鑑定してみるかな。でも君もたくさん使ってレベル上げをするようにね?」
リーシェさんにもそんな事を言われ、俺は少し反省する。
もう少し『鑑定』スキル、使ってみようかなぁ……。




