300、ラブさん達の家に到着!
俺達は学校から出た後、真っ直ぐ王都にあるリッキーの家に帰った。
途中、万が一にもつけられていたら困るとのリッキーの提案によって、少し遠回りはしたけれども。
そんな事があったが無事に屋敷へと到着すると、玄関にはスコットさん達3人が揃って待っていた。……どうしたんだろう?
その3人を見つけたリッキーは、同乗していたミストさん達に「この後に行く所あるから、2人は降りてもらえるか?」と頼んだ。
どうやらこの後どこかに行くらしい。
ミストさん達が降りると、入れ替わりに馬車へ3人が乗ってくる。
「意外と遅かったな?」
スコットさんがリッキーにそう聞いてくる。
リッキーは苦笑いをして「ちょっといろいろあってな」と答えた。
3人が乗り込んだのを確認してから馬車は動き出す。
行き先を告げてないところを見ると、御者さんも話は聞いていたんだろう。
馬車が走り出したところで、おもむろにスコットさんが話を切り出してきた。
「ところで……なんだ、その『いろいろ』って?何か問題でもあったのか?」
「ああ、『問題があった』というより、『問題に気づけた』っていうところだな。実は今年度、シエル達と一緒に入学してくる学生の中に現国王の第一王子、第二王子、第一王女の3人がいるらしい。」
リッキーのその報告に、3人は驚く。
……えっ、そんな驚くこと?
俺がそっちに驚いていると、リッキーから「そりゃ驚くだろう、王族が3人もいたら」と呆れられてしまった。
ちなみに俺は、今のうちに鞄からセバスとユーリに出てきてもらった。
これから行く場所がどこかは分からないとしても、2人がいつまでも鞄の中に居続けるのはなんか嫌だったのだ。
その間にみんなはリッキーの話を聞いている。
「……なんか入学早々災難だったな?」
俺の左隣に座っているスコットさんは、まるで小さい子を労るような感じに頭を撫で、そんな事を言う。
……いや、そんな子供じゃないよ!
「でも心配ねぇ、目をつけられなきゃいいけど……。」
心配そうな顔で、俺の向かいに座っているリリーさんがそう言った。
そんなリリーさんにリッキーは「いや、もう目をつけられている」なんて言っている。……マジで!?
「どうやらあの3人の王族の中で問題児の王女がお前の事を気になっているっぽいんだよなぁ。だからお前もガード固めにして気をつけろよ?」
「……分かってるよ、リッキー。だけどどう気をつければ良いのさ?俺、そんな偉い人となんて接したこと無いぞ?」
「……だよなぁ。お前、そういう所あるんだよな、知ってる。会社では無口で無表情だったから同僚達は話しかけづらかったし、お前も気づかなかったから良いけど、その代わりそれを躱すための方法は身につかなかったもんな〜。いや、マジでどうする?誰を護衛に付ければ良いんだ?」
リッキーがそんな事を言って悩んでいた。
……リッキー、俺よくわからないけど、なんか俺のこと貶してる?
そんな俺たちを見てスコットさんが口を開いた。
「じゃあ先生に事情を話して、俺達をシエルがいる間の『臨時講師』として雇ってもらうってのはどうだろう?」
「……っ!それだ!その手で行こう!俺たちほど実技の授業の講師にうってつけの冒険者いないからな。ちょうど当時の担任が教頭やってるって言ってたから、頼みを聞いてもらえそうな気がするぞ。」
スコットさんの提案にノリノリのリッキー。
……えっ、それ、本当に実行に移す気?
本当に臨時講師で来てくれるの?
あの先生、OKって言ってくれると思う?
っていうか、リーシェさん達がどうなったかの方が俺は気になるんだけど?
「……話は変わるんだけど、リーシェさんがまだダンジョンにいるってあの先生言ってたけど、まだ王都に帰ってきてないのかな?あの後なんかあったのかな。」
俺の問いでそのことに気がついたリッキー。
皆も「それはおかしいな……。」と言って訝しがっている。
「じゃあ帰りにちょっと冒険者ギルドに寄ってみるか。ほら、今の目的地に到着したぞ?」
外を見ていたリッキーがそんな事を言う。
ん?一体、どこに着いたんだろうね?
門が開く音がして、少しすると馬車が停まった。
皆が次々と降りていき、最後に残ったユーリと俺が馬車から降りると……そこは今朝来たばかりのラブさん達の家だった。
そっか、朝はラブさん達に挨拶しないでリッキーの家に行ったんだったっけ。
俺たちがみんな降りると、馬車は屋敷の馬車置き場へと向かった。
すると玄関から朝方会った執事さんが出てきた。
「おや、みなさんお揃いでどうされましたか?」
「朝方こちらに到着した時はメンバーじゃない者もいたので、せっかくこっちに来たのにラブさん達の所に顔を出せなかったから出直したんですよ。ラブさん達のところも赤ちゃんが産まれたって聞いたんですが、ラブさん達に会えますか?」
執事さんにスコットさんがそう返答すると、執事さんは目をパチクリとさせ「旦那様方にも……ってことは、どなたか赤ちゃんを産んだ方がおられるのですか?」と聞いてきた。
「……久々に帰郷したら俺の両親の間に弟が産まれたんですよ。それもつい先日。ちょうどラブさん達の赤ちゃんも同じくらいに産まれたんじゃないですかね。」
リッキーのその言葉に、執事さんは驚いたようだ。
「身近な方だろうとは思っていましたが、まさかご両親がとは思いもしませんでした。おめでとうございます、でよろしいんでしょうかな?」
「はい、そうですね。おかげで俺は次期領主の座を継がなくて済むんで。これで肩の荷も下りたって感じですかね。」
「なんと!貴方様は次期領主様でしたのですね?知らなかったとはいえ、ご無礼を働いて無ければよろしいのですが……。」
「いや、継ぐのは産まれたばかりの弟ですから気にしないでください。俺はこうやって皆と冒険者をやっているのが性に合っていますので。」
リッキーは、恐縮してしまった執事さんにそう言った。
そうだよね、これでリッキーも心置きなく俺達と旅ができる。
俺はこうやって家族や友人と旅ができるのが嬉しいよ。
「……そうおっしゃられるのでしたら、それで良いのでしょう。では旦那様方のおられる部屋へと案内をいたしますので、ついてきてもらえますでしょうか?」
気を取り直した執事さんはそう言うと、俺たちの先を歩いて先導する。
さあ、これからラブさん達の赤ちゃんとご対面だ。
どんな赤ちゃんなんだろうなぁ。楽しみだね!




