295、さあ、王都へ出発だ!
俺がスノービークの街のために結界を完成させてから数日が経った。
そろそろリッキーの従兄弟であるミストさんとフォグさんを国立学校へ通うために王都へと送らなければならない時期が来ている。
今回は普通に向かうのではなく転移で向かうから移動時間がかからないということで、ギリギリまで俺たちの用事を優先させてもらったのだ。
ウォールさんからの依頼である結界の魔導具も完成し、しばらくはこの街も安全に過ごせると思う。
それにリッキーの弟も無事に産まれ、スコットさん達の結婚式も無事に終わったので思い残すこともないよね!
そういう事で、王都へ向かうことになったのだ。
現在、俺たちはリッキーの家の庭へと来ている。
そこには王都へ向かう俺たちの他に、見送りとしてスノーホワイトのメンバーの家族とこの屋敷の使用人さん達が集まっていた。
「準備は良いかい?忘れ物はないかな?」
「……もうミスト達も小さな子供じゃないんだから大丈夫だって。」
心配そうにそわそわしているウォールさんに向かってリッキーがツッコミを入れた。……そりゃ、そうだね。
言われた当の本人たちは「大丈夫ですよ。昨日のうちに全部用意してありますから。」と返答した。
「じゃあミストたちの方は大丈夫だとして……フロー、王都の屋敷の方の準備は整っているのか?まぁ、これだけ時間をかけていたんだから大丈夫だと思うが。」
ウォールさんが今度は執事さんの方を見てそう言った。
……執事さん、『フロー』って名前だったんだね?
「大丈夫でございます、旦那様。あちらは私の息子が取り仕切っておりますので、もし万が一不手際があった場合は厳しくお願いいたします。」
すました顔でフローさんはそんな事を言った。
それだけ自信があるんだろうね!
「ほら、行くぞ。転移する心の準備はできたか?ミストは2回ほど経験したことあるが、フォグはまだだろ?まぁ、シエルにしっかりつかまっていれば問題ないから安心しろよ。」
「わかっているよ、リッキー。」
青くなっているフォグさんに、リッキーはそうアドバイスをした。……うん、それは間違いない。
「それにもし忘れ物したって一瞬で戻ってこれるんだから、気にしなくても大丈夫だよ。じゃあ向こうに行く皆は俺にしっかりと捕まってね?」
俺はそう言うと右手をユーリ、左手はフォグさんと手を繋ぐ。これが一番安全だからね!
皆がしっかりと俺の腕や頭、身体につかまったのを確認すると、王都のフォードさん宅を思い浮かべる。
それから見送り組にバイバイをすると早速転移した。
一瞬で王都のフォードさん宅の庭の一角へ転移すると、ミストさんとフォグさんはホッとした顔をした後に『ここ、どこだ?』って顔をした。
その数分後、フォードさんの執事さんがこちらへと歩いてくる。
「いらっしゃいませ、シエル様がた。そして初めましての方もいらっしゃるようですが、その方々はこの前おっしゃっていた学校に通われる方ですね?」
「はい、そうです。本当はフォードさん達にも挨拶をしたいところなんですが、この2人もいるので後で来ます。」
「了解いたしました、旦那様にはその様にお伝えいたしますね。旦那様方にお子様がお産まれになられたので、是非とも顔を見にいらっしゃってくださいね。」
執事さんはとてもニコニコしてそう言った。
そっか、こちらもやっぱり産まれていたんだね!
とりあえず俺たちは取り急ぎ、王都にあるリッキー一家の屋敷へと向かう。
到着したリッキーの屋敷は貴族区画の中でもどちらかというと王城に近い方にあった。
ここから学校までは徒歩で10分程らしい。
リッキーの屋敷の見た目は屋敷までの距離が短いだけで、建物自体はスノービークとあまり変わらない作りをしていた。……もしかして中も同じかな?
門の前に立つと門番はリッキーを見て敬礼をする。
「おかえりなさいませ、坊ちゃま。大きくなられましたね!」
門番の1人で年嵩の兵士さんは、リッキーに向かってそんな事を言った。
「……アドニス、俺ももうとっくに成人しているんだぜ?大きくなったって言われてもなぁ。」
そんな事を言われたリッキーは少し顔を赤らめつつそう言い返す。
「私にとっては、いつまでも『リッキー坊ちゃま』なんですよ。」
その兵士さんはそう言ってリッキーに微笑んだ。
それから俺たちの方を見て、懐かしい顔を見たような顔をし、スコットさん達にも挨拶をした。
「……それで、こちらの5人の方はお初なんですが、どちら様ですか?」
そのアドニスさんという兵士は俺たちの方を見てそう聞いてきた。
「こっちの2人は俺の従兄弟のミストとフォグだ。で、こっちの3人は俺の冒険者仲間のシエル、ユーリ、セバスだ。よろしくな。」
「なるほど、従兄弟の方とチームメンバーの方ですね?了解しました。ではここでの立ち話もなんですので、屋敷の方へと行きましょう。」
アドニスさんはそう言うと俺達を先導して屋敷へ向かう。
屋敷の玄関へと着くとドアを開けて中の人に声をかけた。
すると中から執事服を来たスコットさんよりは年上の男性が1人出てきた。
「リッキー様方、お待ちしていました。皆さんのことは父から聞いていますので、まずは中には入りそれぞれの部屋へご案内いたします。……アドニス、君も皆さんを連れてきてくれてありがとう。持ち場へ戻って大丈夫ですよ。」
その執事さんがそう言うと、アモニスさんは敬礼をして門の方へと戻っていった。
「では、参りましょう。」
そう言った執事さんに連れられて屋敷の中へと入る。
俺達は少しドキドキしながら揃って屋敷の中へと足を踏み入れたのだった。




