296、えっ、マジで!?
執事さんの先導で各部屋へ案内されている俺たち。
リッキー達4人には前回使っていた部屋を割り当てられた。
つまり、学校に通っていた頃に使っていたってことだね!
みんな懐かしそうにはしゃいでいたから、学校生活は楽しかったんだろう。
その後はミストさん達の部屋に行ってそこで別れると、残ったのは俺達3人と執事さんだけ。
この4人で廊下を歩いているのだ。
部屋の一つ一つが広いらしく、扉から扉までの距離が長いんだよね。
それにしても疑問が1つある。
何故に一時的な滞在のはずなのに部屋割りが決められているのか……?
しばらく王都にいる予定があって、宿に泊まるよりは良いってことなんだろうか?
最後に残った俺達3人がミストさんたちの部屋の隣に着いた時、俺は思い切って執事さんに聞いてみた。
「あのぉ~……俺たちスノーホワイトはミストさん達を送っていただけで、滞在する予定はないはずなんですけど、なんで部屋が決まっているんでですか?」
俺のその言葉に「何も聞いてないんですか?」と首を傾げる執事さん。……え?何か聞いてるの?
「てっきりシエル様も知っているのかと思っていました。実は旦那様から『シエル君はミストたちと一緒に短期間の体験入学をする事になったから、その間使えるように用意しておいてくれ』と連絡がありまして。どうやらシエル様も短期間ではあるようですが学生体験をするようですよ?」
執事さんはそんな驚きな事を言った、聞いてないよ、俺!
……あれ?
でもみんな部屋割りの時に何も疑問持たずに受け入れていたよね?
ってことは、皆は知っているのかな?
俺の頭にはその事がぐるぐる回っている。
「さあご使用になられる部屋に到着いたしました。少しの間、中でお休みください。後で入学の手続きにミスト様たちと一緒に学校へ参りますので、いつでも出られる準備だけはしておいてくださいませ。」
執事さんはそう言うと俺たちを部屋前に残して一礼して去っていった。
俺達も立ったままなのはなんだからと部屋に入る。
中にはベットが3台、廊下に対して垂直方向に並んでいた。なるほど、だから扉までの距離が長かったんだね。
とりあえず俺はベッドに座って、そのまま仰向けに寝転がる。
……おや?かなりふかふかのマットレスだ。
マットレスはなんだか身体が包みこまれるようなソフトタイプだね。
俺がベッドでまったりと横になっていると、子竜姿になったユーリが腹の上に乗ってきた。
『にぃに、学校に行っちゃうの?』
ユーリは寂しそうにそんな事を言う。
……俺だってお前と離れるのは寂しいよ。
ユーリの頭を撫でていると部屋をノックする音が。
声からしてリッキーのようだ。
部屋に入ってきたリッキーに先ほど執事さんから聞かされたことを話すと、「あぁ、聞いたんだな」と言って苦笑いをした。どうやらリッキーは知っていたらしい。
「実は父さんからお前を短期的にでも学校に入れないか?と聞かれていてな。みんなとも話し合って、お前にとってもいい勉強になるだろうと、ミスト達と一緒に入れることになったんだよ。まぁ夏休み前までの短期間だから、俺達もあのダンジョンがどうなったのか気になるから良いかな?とな。別に寮に入るわけじゃないから、まぁ気楽に行ってこいよ。」
リッキーはそう言って横になっている俺の頭をクシャッと撫でた。
その後ユーリの頭を撫でたら嫌がられてたのは御愛嬌だ。
それからしばらくして執事さんが呼びに来ると、リッキーも一緒に学校に来てくれることに。
どうやら3人の『保護者』的な立場らしい。
部屋を出る前にユーリとセバスは俺の鞄の中に入る。
ユーリは俺と離れたくないらしく、セバスは1人で部屋にいてもしょうがないかららしい。
玄関に向かう途中で一緒に向かうミストさん達と合流した。
その時に不思議そうな顔をされたので、2人にも俺が一緒に通うことは話していないんだろうと理解した。
みんな揃って向かうと、玄関にはもうすでに馬車が停まって俺たちが来るのを待っていた。
リッキーから中には入り、ミストさん、フォグさん、俺と続く。
中に入ると俺はリッキーの隣で、出入り口とは逆の方に座らされた。
出る時にリッキーが保護者として先に出る必要があるんだそうな。
「……それで、なんで君も学校への入学手続きに一緒に来ることになったんだい?」
ずっと気になっていただろうミストさんが、俺の方に顔を向けて話しかけてきた。
俺は苦笑いして話し出そうとすると、先にリッキーが俺にしたような説明をしてくれた。
「なるほど、伯父上のご意向だったのか。まぁ確かにフォグと同じくらいの年齢だろうし、知り合いがいるならなお安心だな。」
ミストさんはそう言って頷くと、フォグさんも頷く。
……フォグさんとはそんな話したこと無いけどね?
それから徒歩10分の学校へと馬車で向かうので、あっという間に着いた。
……なんで馬車?やっぱり見栄なのか?
到着したのは、門に囲まれた広大な土地の中に歴史のありそうな雰囲気の巨大な建物が建っている場所だった。
そうか、ここが国立学校なんだね。
確かに歴史のありそうな建物だ。
馬車はそのまま門から中へと入り、玄関前の一時的な馬車停めの所で停まった。
馬車のドアを御者が開けると、まずリッキーが降り、ミストさん、フォグさんと降りた後、俺が降りる。
俺が降りる時にリッキーが手を差し伸べて「ほら、つかまって」と言ったので、そういうものかと手につかまると何故かミストさんとフォグさんが複雑そうな顔をした。……何故に?
みんなが馬車から降りると、馬車はお客さん用の馬車を停める場所へと移動し、俺達は玄関から建物の中へと入る。
建物の中をよく知っているらしい足取りでスタスタと歩いていくリッキー。
俺達はそれについてぞろぞろと移動する。
歩いていくうちにちょっとずつドキドキしてきた俺。
久しぶりの学園生活なんて……どんな事が起こるんだろう?




