233、10階層のフロアボス戦 2
みんなと一緒にやってきたこの10階層のフロアボスの部屋が、今、目の前にある。
……これ、ダンジョンの中に『ダンジョン』があるわけじゃないよ……ね?
そう、いま目の前にあるのは地球でもお馴染み、『ピラミッド』だ。
結構巨大な建造物なんだが、ここにフロアボスがいるらしい。
「ねえ、ピラミッドって『あの国』では内部は迷路みたいだって聞いたことあるんだけど、これは違うんだ?」
俺はもっともな疑問をうちのメンバーに問いかける。
だって5階層のフロアボスの部屋は石造りの巨大な四角い部屋だったから『中は四角い』というのは理解できた。
だけど……これはどう見ても中の想像が出来ない。
すると苦笑いしたリッキーが俺の疑問に答えてくれた。
「そりゃあそう思うのも分からないでもない。今の俺なら、お前の言いたいことがよく分かる。とりあえず結論から言うと、あの中は特に迷路にはなってない。外側は単なる見かけだけだな。中には一直線の通路と突き当たりに巨大な部屋があるだけだ。ただ、今回のフロアボスは元々一匹?ではなくて複数出現する。だから中はかなりの広さがあるんだが、ここも5階層のボス部屋と同じだとしたら相当だな……。考えただけでうんざりしてしまう。」
リッキーはそう言って深い溜息をついた。
俺は他の3人に目線を移すと、3人とも苦笑いをしている。
えっ、どんな魔物なんだろう?
「ここのフロアボスってどんな魔物なの?」
「ここはな、外の建造物から想像できると思うが、ミイラが出てくる。それだけじゃなくて、ゾンビも出てくる時がある。元々複数出ててくるのがデフォだから、次々と襲ってくるから討伐が大変だったんだが……どうだろうな。嫌な予感がする。」
俺の質問に今度はスコットさんが答えてくれた。
なるほどねぇ……。なら大丈夫かな?
俺がそんな事を思っていると、リッキーが「ゾンビとかはなかなか手強いぞ?」と言った。
「ゾンビやミイラなんかには物理攻撃による致命傷はないんだ。だがここに出てくるのはいわゆる「成仏できていない存在」だから、お前やユーリの神聖魔法は有効的だと思う。」
なるほど……使う魔法も考えないと、なんだね。
前回のボス戦のように入り口から魔法をぶっ放すってわけにはいかないのか?試してみるか?
リッキー達に相談してみると「とりあえず試してみれば?」ということになった。
「……ねぇ、ここもチラッと中を見るだけなら気づかれないのかな?」
「多分あれくらいなら大丈夫だと思うぞ?」
「じゃあちょっと見てみようかな!」
俺達はそんな風に話しながらピラミッドにある入り口から中に入り、人が3人並んで通れるほどの横幅がある通路を通って、ボス部屋の目の前まで歩いてきていた。
その扉を少しだけ開いて中を見てみると、中の広さは体育館2つ分……いや、4つ分くらいはあるかな?
その位の広さがある、ただの四角い部屋だった。
もちろん床や壁、天井もみんな石でできていた。
そして、やはり中は蟻の時と同様に魔物が積み重なっている。
……こりゃあ、あの魔法はダメかな?
一応ダメ元でも1度くらいやってみるかと魔法を発動させる。
まずはジャブ程度に小さな球状にした神聖魔法を、あちこちのミイラに打ち込んでみる。
すると、当たったミイラは青白い炎に包まれて煙のように消えていった。
たがしかし、数が多すぎて全然減った気がしない。
そこで俺は、イメージとしては『天井にスプリンクラーがあって、そこから神聖魔法のシャワーが出てくる』感じを頭に思い浮かべる。
そして練っていた魔力を、シャワーのように降り注がせた。
「……お前、さっきから何やっているんだ……って、覗くだけじゃなかったのかよ!」
俺の後ろから中を覗いたリッキーがびっくりしたようだ。
「えへへっ、ちょっと試してみちゃった!」
俺は誤魔化すように「テヘッ!」とペ◯ちゃんスマイルをする。
それを見たリッキーは呆れたように脱力した。
「まぁ、別に良いけどな。とりあえずフロアボスのドロップ品を回収しようか。消せたってことはうまくいったんだろう?あとはササッと回収しちまおうぜ!」
リッキーはそう言うと、自分がみんなに声をかけに行った。
リッキーと一緒に来た皆は、もうすでにフロアボスの魔物を退治したことを知るとリッキー同様驚いていた。
「まぁ詳しい事は良いから、さっさと皆でドロップ品を回収しようぜ。」
リッキーのかけ声でハッとした一同は、慌てて回収に向かった。もちろん俺も向かったよ!
流石に皆で拾えば短時間で済んだので、一旦部屋の入り口に集合した。
「なぁ、ドロップ品の中に転移石ってあったか?」
みんなが集まったと思ったら、おもむろにアインスさんがそんな事を聞いてくる。
……あれ?そうだね、確かになかったな、俺の拾った分には。
たまたまかと思っていたけど、違うのかな?
すると次々にみんなの口から「確かに転移石はなかった。」と報告が。あれ?1つもなかったの!?
「……もしかすると、いつものフロアボスはもうフロアボスじゃなくなっていたというのか?」
スコットさんがそう言うと、みんなハッとしたような顔になって互いの顔を見る。
そうだよね、それしか考えられないよね?
じゃあ……一体、どんな魔物が新しいフロアボスになったんだろう……?




