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異世界のんびり漫遊記  作者: カイ
第6章 王都近くのダンジョン編〜

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223、聖剣って……?

「一体、何をしたら『勇者』に認定されるんだろうな?」


俺はそんな事を呟きながら、気絶している『自称勇者』の側へと歩いて行く。

彼の側には薄っすらと光り輝いて見える、少し細身の剣が落ちていた。

俺は何の気なしにその剣を拾おうとする。


「っ!その剣に触るなっ!」


俺のその行動を見てハッとしたリッキーが、俺に向かってそう叫ぶ。

俺はすんでの所で剣には触らずに済んだが……一体どうしたんだろう?


慌てたリッキーが俺の側に駆け寄り、剣から遠ざける。


「どうしたんだ、リッキー?」


俺が不思議そうにリッキーを見上げると、呆れたようにリッキーは俺を見る。


「あれは聖剣だ。その意味、分かるか?」

「聖剣って……勇者しか扱えない剣、とでもいうんだろう?それくらい『あの国』にいた俺なら分かるさ!」


俺がリッキーに「どうだ、当たってるだろ?」と聞くと、ため息をついたリッキーが真剣な顔で俺に言った。


「……いいか、それは間違ってはいないが、この聖剣は主を選ぶ。今までも結構頻繁に変わっているんだ。今の主はコイツだが、お前がこれを触ったらどうなるか分からないか?」

「……。」


……なるほど、なんとなくだが……次の主に俺を選ぶ可能性が高い、かな?

俺があまりピンときてないところを見て、リッキーは再度ため息をついた。


「ほれ、見てみろよ。あっちの方はお前が触るのを今か今かと待っている感じだぞ?」


そう言ってリッキーは嫌そうな聖剣を見る。


聖剣は点滅を繰り返して……あれ?気のせいか……何だかこっちに動いてきてないか?

俺が訝しげな顔で聖剣を見ていると、明らかにこちらへ動いてきている動きが早くなった気がする。


「やっべぇ、逃げるぞ、シエル!結界張れ!」


俺はリッキーの言葉に反応して俺とリッキーに、すかさず体に膜を貼るような結界を張った。

その瞬間、俺に向かって聖剣が飛んでくる。

なんだ、それ!?そんな現象、ホラーじゃない!?


聖剣は俺に向かって飛んできたが、俺の張った結界よりも外側で別な結界に阻まれた。

そう、例のお婆さんから貰ったブレスレットの結界だろう。

俺はすっかり発動しないから忘れきっていたけど、こういう時には役に立つね!


聖剣は悔しそうに何度も何度もぶつかってくる。

周りで見ている人達は「勇者を叩きのめしたから仕返しを受けている」と思ってくれていて、怖がってかなり遠い所に避難しているから本当の現状を知らない。


それはそれで助かるけど、この人たちが起き出すとこの出来事のおかげでまた変な噂が立っちゃって偉そうな感じになったら目を当てられなくなるような気がする……。


俺がどうしたら良いのか悩んでいる間に、聖剣は俺を次の主にすることを諦めたようで地面へと落下した。

……これでもう大丈夫……かな?

俺はまだ少し不安が残るので、自分で張った結界もそのまま残した状態で皆のところへと戻った。



「……なあ、あれは一体どういうことだったんだ?ギャラリーの話では『勇者を倒したから聖剣が怒った』なんて言っていたが?本当のところはどうなんだ?」


戻ってきた俺にスコットさんがそう聞いてくる。

俺は先ほどのやり取りや出来事をスコットさん達にも話してきかせた。



「危なかったな、あの結界がなければお前があの聖剣の持ち主になってしまうところだった。もしお前が聖剣の主になってしまうと、俺たちのチームもお前も国の所属になって自由に行動できなくなるんだ。それはお前の望むところではないし、もちろん俺たちの望みでもない。これこらは変なものは拾ったりするなよ?」


スコットさんはそう言って苦笑いすると、俺の頭を梳くように撫でてきた。


「分かっているよ。これからは気をつける。それよりもこれからどうしたら良い?あの人たちをここに置いていってもいいけど、それだと彼らが危険じゃない?」


俺はスコットさん達にそう聞いた。


そうなんだよ、こんな事があったからここにいる人達は皆……とは限らないけど、ダンジョンを出る方向で考えているらしい。

俺たちと一緒に行動するほうが安全に出られると考えているようだ。

だから大集団でここのフロアボスを目指すことになったんだが……そこで問題になったのが、そこに気絶している『至高の頂』たちの存在だ。

彼らは気絶しているので無防備の状態。

そんな状態でここに放置しておけば確実に魔物の餌になってしまうだろう。

そうでなくても、彼らは俺たちのチームよりかなり弱い。

……まぁ、普通のチームよりは強いのかもしれないけど。


とりあえず彼らには魔物対策に俺が結界を張っていくことになり、残りの人達は皆、俺達と一緒にダンジョンを出ることになった。

彼らには全員を一緒に覆えるほどの、自由に出入りのできる結界を張っておいた。

これならば自分達が帰りたい時に帰ることができるからね。



結界を張り終わると、残った皆で大移動を始める。

総勢100人以上。相当な大集団だ。


フロアボスへの行き先はみんなが知っていたので、俺はついていくだけ。

途中の魔物もみんなで倒せば案外楽に行ける。



そんなこんなで、朝に少し時間を取られたけれど、思ったよりも早めにフロアボスの部屋へとたどり着いたのだった。

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