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異世界のんびり漫遊記  作者: カイ
第6章 王都近くのダンジョン編〜

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219、どうしたら良いんだろうね?

この休憩所にいる全てのテントへ知らせに行って帰ってきたリッキーが、開口一番に深い溜息をついた。


「どうしたんだ、リッキー?深い溜息なんかついて。」

「……どうしたもこうしたもねぇよ。この休憩所にいる奴らに『変換期』が来たかもしれないって伝えに回ったんだが、奴ら揃って『そんな訳ない。お前らだけがこのダンジョンを独り占めするためにそんなこと言っているんだろう?』なんて言いやがる。それをまともに受け取ってくれた奴らは2組しかいなかった。1組は隣のテントの奴ら。もう1組は俺等と同じ馬車に乗ってきていた奴らだ。あ、そいつら、シエルをジロジロ見ていた奴らじゃない方な!」


スコットさんが訝しげな表情でリッキーに問うと、リッキーは少し自棄になっているかのようにおどけてみせた。


そっかぁ……信じてもらえなかったか。

そりゃあまだ変化は少ししかないのかもしれない。

でも酷くなってからじゃ間に合わないと思うんだけど。


俺はこの休憩所にいる他の皆の対応がとても残念だった。

でもまぁ、しょうがない。

でも俺達や信じてくれた人達まで魔物の大群に巻き込まれて死んでしまうのは無しだ。


「それで、その人たちはこの後どうするって?」

「もちろんここのボスを倒して転移石を手に入れたら外に出るってさ。俺たちはどうする?上の方も伝えに行くか?」


リッキーは俺の問いに答えると、スコットさんに聞いた。

そうだよねぇ……そっちをどうするか、だよねぇ。


「俺としては伝えに行ったほうが良いとは思うが……うっかりしてたなぁ、今1番進んでいるやつがどの階にいるのかギルドで聞いてこなかった。」

「まさかこんなことになるとは思わなかったんだからしょうがないじゃない?」

「そうよ、私たちは大きな魔石を手に入れるだけが目的で来ただけだもの。別に攻略目的じゃなかったんだからしょうがないわよ。」


少ししょんぼりしていたスコットさんに、エミリーさんとリリーさんが慰めの言葉をかける。


そうだよ、魔石!

まだ全然手に入れてないじゃん!


「元々の目的の魔石ってどの魔物を狙っていたの?今のところまだ魔石は一つも手に入ってないけど?」

「あぁ、大きな魔石はフロアボスかもっと上の階の高ランクしか落とさないんだよ。ほら、地上でだって高ランクしか魔石無いだろ?それと同じなんだよ。」


俺はリッキーの言葉に納得する。

そうだよね、確か地上でもCランクからしか魔石でなかったんだっけ?

大きな魔石ともなるとB……いや、Aランクの魔物を狙わなきゃならないのかな?

う〜ん……今から思うと、あのスノービークを襲ってきた大量の魔物の中には大きな魔石を持った魔物もいたんじゃないかと悔やまれる。

俺、なんであの時気絶していたんだよ!もったいなかった……。


「あのな、シエル、あの時のあの魔物たちは大量すぎて俺達には対処不可能だったんだ。諦めてくれ。」


肩を竦めたリッキーにそう言われてしまった。

うぅ……そうだよね、しょうがないよね。

なら、ここのフロアボスを倒して魔石を手に入れなきゃ!


俺はそう意気込んで頷いたところで気がついた。

そうだ、夜の間は結界で守られるって聞いたけど、日が昇ってきたら結界って消えちゃうのかな?


「ねぇ、今思ったんだけど、ここの結界って朝になったら消えちゃうんでしょ?いつになったら消えるの?」

「多分でしか言えないが、日の出じゃないか?人は出入り自由だから全く感じないからよく分からないが。」


スコットさんが首をひねりながらそう言った。


やっぱりか。

それなら日の出と同時に行動開始するか、それとも俺もこの休憩所全体に同じような結界を張ってから寝るかしたほうが安全を確保できるよね?


俺はその事をみんなに相談すると、朝の弱いリリーさんに「なら、結界を張って欲しいわ。」って言われたので、結界を張る方向性でいくことになった。



とりあえず結界を張るにしても位置がわからないと困るなと思い、柵に沿って歩くことにした。

できればそこに目印となる何かを置いて、結界を張る目安を作れればなと思ったんだ。


俺が1人で出かけようとしたら、スコットさんが黙ってついてきた。……なんか怒ってるっぽい?


どうしたの?と聞くと、「狙われているかもしれないのに、1人で行くやつがいるか!」と怒られてしまった。


そっか、そういえばそうだったね!

あまりにも何にもなさすぎてすっかり忘れていたよ。


それから2人で自分達のテントから一番近い柵から時計回りに歩き出す。

俺は途中で地面に、俺の魔力を少しだけ込めたただの石ころを置いていく。これが後で目印になるんだよ!


半分くらい回ったところでスコットさんが小声で話しかけてきた。


「なぁ、シエル、お前気づいていたか?少し前あたりから俺達の後をコソコソつけているやつがいるんだが?」


俺は前屈みになって石を置くタイミングで、スコットさんに微かに頷く。

それでスコットさんも分かったみたいだ。


そう、ほんの少し前から俺たちと同じ速さで歩いている人がいるんだ。

それも、テントに隠れるようにして。


俺やスコットさんは剣術の訓練の一環で、周りの気配を感じやすくなっている。

あんな風に気配を消さずにいれば、嫌でも分かってしまう。


「でもこっちに接触してくる気配無いよね?そんな感じじゃないもん。」

「……まぁな。ただ、何をしてくるかわからないから用心するに越したことはない。」


俺はそう言ったスコットさんに軽く頷く。


それからしばらく同じ事を繰り返しながら、俺たちのテントへと柵を伝って向かう。

結局、何事もなくテントへと帰ってこれた。一体何だったんだ?


とりあえず俺は索敵魔法を使い、見安として自分の魔力を込めた石を探す。

最近気づいたんだけど、この魔法、調べたいものを頭に浮かべると調べることができるんだよね!とっても便利だ。


そして石に目標を定めて俺は結界を張った。

石が結界の要になるけど、まぁ何かの拍子で多少動いたとしても問題はない……はずだ。

この結界魔法、「石を要に結界を張る」という練習にもなるのでちょうど良かったよ。


でもなんか少しだけ不安に感じたので、せめてもと俺たちのテントと隣のテントには更に結界を張って寝ることにした。

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