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異世界のんびり漫遊記  作者: カイ
第6章 王都近くのダンジョン編〜

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220、とりあえず……殲滅する?

翌日の朝、なんだか外が騒がしいなと思って起き出すと、テントにいる仲間もちょうど起き出したところだったようだ。……リリーさん、こんな騒がしいのに起きないんだね?


「なんだか外が騒がしくないか?」

「ああ。どうしたんだろうな?」


スコットさんとリッキーが口々にそう言う。

……やっぱり嫌な予感が的中したのか?


とりあえずリリーさんとエミリーさん、ユーリとセバスをここに残して、俺達3人はテントの外に出た。

すると、そこには『あり得ない光景』が広がっている。


そう、昨日の夜寝る前に俺がかけた結界が歪な形に張られていたせいで休憩所の中にまで大量の魔物が侵入してきていたのだ。

もちろん問題があったのは、柵の所に石を置いて張った結界の方だ。


一応索敵魔法でも調べてみると、昨日は綺麗に円形になっていた結界が途中から大幅にズレて歪な形になっている。

これは明らかに誰かが移動したのだろうと思われる。

その結界は、綺麗に俺達2つのテントを外して張られていたのだ。

おかげで朝になって休憩所の元からの結界が消えたと同時に、結界の外に溜まっていた魔物の群れがなだれ込んできたのかもしれない。


俺達は別枠で張った結界があるので問題はないし、他の人達のテントも柵の所に張った結界によって守られているから問題はない。

だが、問題は結界の外に溢れかえっている魔物をどうするのか、という点だ。

大きな結界の方にはたくさんの人がいるせいか取り囲んでいる魔物の数が多く、もはや人の姿が見えないほどだ。

かたや俺たちの方は多少の魔物はいるが、あちらとは比べ物にならない。

もしかするとユーリのような強大な力を持つ存在がいる事で牽制になっていたのかもしれない。


「これ……どうする?」

「……まるでスノービークの再来、だな……。」


朝起きたばかりだというのに2人とも疲れてうんざりした顔をしている。……うん、多分俺も同じ顔している気がする。


すると隣のテントから出てきていた5人が俺たちに挨拶しようとしたところで、目の前の光景を眺めて唖然とした顔になった。


いち早く正気に戻ったマックスさんが、まるで普通に話すと気づかれると思っているかのように、俺たちに恐る恐る小さな声で聞いてくる。


「あのぉ~……これ、一体どうしたんですか?」


マックスさんが俺たちに声をかけてくるが、俺達にもなんてこうなっているのかわからない。


「いや、俺たちも今起き出してきたばかりだ。昨日の夜にリッキーが話しに行ったのを覚えているか?魔物の数が増えそうだから危険だ……って。」

「ああ、確かに昨日聞いたな。」

「それで万が一も兼ねて、シエルが結界魔法を使えるからこの休憩所全体とその他に俺たちのテントにも結界を張ってもらったんだが……朝起きたらこの状態だ。」


マックスさんに答えていたスコットさんご肩を竦める。

そうだよねぇ、まさか昨日の今日でこんなことになるとは思わなかったよ。


「それにしても……なんでこんな形の結界にしたんだ?」

「いや、それは俺たちにもわからない。昨日俺達は結界を張るためにこの休憩所の柵をぐるっと回って歩いたんだ。その時に柵通りに結界の要になる石を置いてきたんだが……それを誰かが移動したってことなんだろうな。そうとしか思えないだろう、この感じは?」

「……まぁ、確かにな。」


スコットさんの話を聞いてマックスさんは苦虫を噛み潰したような顔をした。



「だがこんな事をされる覚えは無いんだが……。お前達の方はどうだ?」

「……あるような、ないような?実は昨日から変な視線があるんだ。多分昨日ここに来る時に一緒の馬車に乗っていた奴らの1組だと思うんだが、確定ではなくてね。まぁ、それだとしてもここまでされるとは思えなかったんだけどねぇ。」

そう聞いてきたマックスさんに答えるリッキー。


確かに、こんな事して何をしたかったんだろうね?

結界の外には先ほどより更に増えた魔物が、あちらの結界に群がっている。


とりあえず俺の結界でこの場は守られているので、一旦は俺とエミリーさん、セバスの3人で特大サイズの炎の魔法を使って今いる魔物を焼き払うことにした。

……この際、結界の中に無い柵とかの設備は諦めてもらおう。



スコットさんとリッキーにはテントに戻ってもらい、交代でセバスとエミリーさんに来てもらい、作戦を練る。


3人の合同魔法なら目立ちもせずに極大魔法を使えるので、魔法の使用に長けているセバスに俺とエミリーさんの魔力を集中させら事になった。


「では僭越ながら、私めがかの者たちに死への引導を渡しましょう。」


セバスはそう言うと上空に特大の炎の塊を作り出す。

それと同時に俺とエミリーさんはセバスに魔力を受け渡す。

セバスはその卓越した魔力操作で俺たちから譲渡された魔力を自分の魔力として上空の炎の塊へと注ぎ、それを小さな太陽の如き状態に昇華させる。


「あぁ、シエル様の魔力はなんて心地良いんでしょうか!……さて、そろそろ魔法も完成したようですので……いきましょうか!」


恍惚とした顔でセバスはそう言う。

そして天に向かって伸びしていた手を、一気に地面へと向けた。

するとその動きに連動して、上空に作られていた小さな太陽が地面へと落ちてきた。


「それ」が地面へと衝突すると一瞬で周りはものすごい高温に焼かれ、それの熱や光が落ち着いた後には、落ちた場所を中心に巨大なクレーターが出来上がっていた。

あんなに密集して周りにいた魔物はもう、一匹も見当たらない。


そして俺たち結界の中にいた人達には一切被害はなく、どれだけ結界が高性能だったのかがよくわかった。

俺たちの方の結界の中では、マックスさん達が驚きのあまり腰を抜かして座り込んでいる。


もう一つの結界の中も、同様の状態の人が大多数だった。

そりゃあ、まあそうだろう。

空から太陽のように煮えたぎった巨大な炎の塊が落ちてくれば、何が起きているのかわからない人達にはものすごい恐怖でしかないはずだ。


まぁ……なんにせよ、これで結界を解除して地上に戻ることができるようになったね!

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