ようやく、一息
太陽が中天に差し掛かる頃になり、ようやくお客さん達は引いていった。今から気温もどんどん上がっていくため朝早くから並んで買っていったのだ。お客さんが引けたのを見計らいミライさんが声をかけてくる。
「お疲れさま、イシュー君」
「お疲れさまです、ミライさん」
「休憩にしましょ」
ミライさんはそう言い門の方にパタパタと走っていった。守護門番にお客さんを通さない様に言っているんだろう。その後ろ姿を見送り俺は会計をした小さな金庫を閉じて鍵を掛ける。
「お待たせー」
「いえ、大丈夫です」
「ま、とりあえず一杯どうぞ」
ミライさんはそう言い硝子のカップに氷を浮かべた梅ジュースを差し出してきた。
「ありがとうございます」
俺は受け取り口を付ける。口一杯に酸味が広がり肩を竦める。喉を通りすぎるときに梅の爽やかな香りが鼻を抜けスッキリする。
「はぁ、美味しかったです。ごちそうさまです」
「ふふ、今日も忙しかったもんね」
「そうですね」
「繁盛は嬉しいけど、飲み物飲めるくらいは休憩あげれたらいいんだけど…ごめんね?」
「気にしないで下さい。俺は大丈夫ですから」
「ありがとう、イシュー君。それじゃあ、ご飯にしようか」
ミライは鍵の掛かった金庫を持ち屋敷の中に入っていく。その後ろを俺も着いていく。はじめの頃には、屋敷の中にまで足を踏み入れることなんて出来なかったが、今では慣れたもので屋敷の中に普通に入れるようになった。
慣れってスゴい。ミライさんに出会う前の俺からじゃ考えられないな。ミライさんに出会わなかったら今でも最下層で泥水を啜って生きていただろうから。
俺はミライさんに感謝している。




