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「サツキ主催のハロウィンパーティ」の巻

これは、本編エンド後の物語です。


携帯ユーザー向けに書いてみました。


一文ずつ間隔あけています。


パソユザさん、マウスの真ん中ぐりぐり頑張ってください。


「ふふふふ~~ん」


その日は朝から、サツキはご機嫌だった。


そんなサツキにロブくんが口をはさむ。


「楽しそうですね。一体なにをしているんです?」


サツキは手にドゥイル(かぼちゃ)という野菜を膝の間に抱えている。


それを、サツキはナイフを使って器用に削っていた。


「え~だって、今月ハロウィンじゃん」


ロブは首を捻る。


「ハロ、ウィン、ですか?」


サツキはドゥイルを削っていた手を止め、ロブに言った。


「あれ? こっちって、もしかしてハロウィンないの?」


頷くロブくんに、サツキは言った。


「あ、そうなんだ。んー、ハロウィンっていうのは、10月31日に行うお祭りなんだよ」


「お祭りですか。一体どんなお祭りなんですか?」


「ん? どんな? えーとね、お菓子をくれないなら、イタズラするよっていうお祭り」


「・・・・・・よく分からないお祭りですね。秋の豊穣祭などの意味がこめられてそうには・・・ないですね」


「ん? ほーじょーさい? 子供たちがアメもらうのが目的と見せかけての、いたずらメインな仮装パーティー。それだけだよ。詳しいことは知らん! ググれ!」


サツキは手にしたナイフを、びしっとロブくんの目の前に突きつけながら、謎の言葉でしめくくった。


再び作業を開始するサツキに、ロブは首を傾げながらも、部屋の中を見渡す。


ロブの記憶が確かならば、確かここは、サツキ専用の衣装部屋のはずだった。


しかし、衣装と呼べるものはそこにはなく、かわりに、いくつものドゥイルが並べられている。


そのドゥイルは中身がくりぬかれ、みっつの穴が開いている。


「・・・まるで顔みたいですね」


ロブのその言葉にサツキは反応すると、満面の笑顔を返した。


「うん、そうだよ」


「・・・まさか、仮装って、これをかぶったりするのですか?」


サツキは笑った。


「違う違う。これは飾り。ランプにするの」


サツキは王宮内のランプにすべて被せるのだという。それを聞いてロブはうつろな目をした。


(・・・・・・一体、何個作る気なのでしょうか)




◆ ◆ ◆




ラフィーユ領にある城内の自室で、黒い招待状を手にしたサミエルは、その文面に表情を曇らせた。


『前略 いかがお過ごしでしょうか。来たる十月三十一日、シスル王宮本宮内バーミルの間にて、サツキ=アサギリ主催による「ハロウィンパーティー」を開催致します。皆様の奮ってのご参加、お待ちしております。ご参加の有無うむを、別紙封書に記載してご返送ください。当日の衣装はこちらでご用意いたします。』


ここまではいい。特に問題はない。しかしこのあとに続く文章が問題だ。


『追伸:生きて帰りたくば、お菓子をたんまりお持ちになることをお忘れなきよう』


生死に関わるパーティーとは、一体なんなのだろうか。


サミエルは、返送の魔法がかけられたもう一枚の紙を見た。


すでにサミエルの名が記載されており、その下に参加と不参加の欄がある。


思わず不参加に丸をしたくなった。


「・・・とりあえず、お菓子をたくさん用意しておきましょうか」


そう呟くと、サミエルは料理長に、お菓子を作るよう伝えることにした。




◆ ◆ ◆




フライは今日も食堂のメニューを見て、げんなりした。


そして食堂の店員に半目で尋ねる。


「なぁんで、今日のランチ定食、どれもこれも、ドゥイルが入ってんだよ」


フライはこの甘ったるい味が苦手だった。いや、大っ嫌いだった。


若い店員は、フライの剣幕に後ずさりながら答える。


「えっとですね。現在ドゥイルが、比較的安価な値段で手に入る状況でして・・・」


「だからって全部に入れるこたぁねぇだろ! A定食なんて、ドゥイルハンバーグにドゥイルの煮物、冷製ドゥイルスープとドゥイルパン。おまけにデザートがドゥイルパイだぁ? オレンジ一色じゃねぇか!」


そこへ新たに入店したサツキが現れた。


「あれ、フライ。どしたの、そんなに顔赤くして」


髪の色と同化してるよ。と笑顔のサツキをフライはきっと睨み付けた。


「あーん? うっせぇよ。お前にゃ関係ねぇ」


「何? 機嫌悪いねぇ。そんなに怒ってると、ハゲ散らかしちゃうよ」


とフライの黒いオーラを大して気にするでもなく、彼の背中をぽんぽんと叩く。


そしてサツキは、食堂の奥の厨房に声をかけた。


「トンタコスさ~ん! いつもの持ってきたよ~!」


すると、厨房の中から料理夫のトンタコスが出てきた。


「おぉ、いつも悪いね。いやぁ、食材費浮いちゃって助かるよ」


そして、サツキは「いいっていいって」と言うと、外から頭上に担いで大きな樽を運び込んでくる。


その光景を眺めていたフライは、その匂いに気付いた。


「・・・・・・お前、その中身まさか」


「ん? この中身? 気になっちゃう感じ?」


サツキはフライに向き直る。


「ドゥイルだよ。いやぁ、ちょっと処分に困っちゃってさぁ。トンタコスさんが引き取ってくれるって聞いた時は、ネ申! て思ったねぇ」


うふふと笑う陽気なサツキの姿に、フライは地面からチャクラを吸収し始めた。


ゴゴゴゴォという地響きが辺りに鳴り響く。


「オ、マ、エ、ガ、元、凶、カ」


地の底から響く声でフライは唸った。


「うわ、マジ機嫌わる! しょうがないなぁ、ほら、これあげる」


と、サツキは何やら小さな袋をフライに渡した。


手にした袋をじーとみつめるフライ。


「このサツキ様が、人様に物を上げようというのだ。ありがたく頂戴したまえ」


とサツキは胸を張ると、ああ忙し忙しと、主婦化しながら、その場を去った。


残されたフライは、手渡されたその袋を開けてみた。


中にはドゥイルチップスがぎっしり入っていた。


フライは呟いた。


「・・・・・・・・・・・・殺」




◆ ◆ ◆




近頃、サツキは大忙しであった。


もちろん王宮内すべてのランプに、ドゥイルを被せるのもその一つだったが、他にも、招待状を配ったり、その招待客の衣装を作ったりしたからだ。


ロブとモスリンドも巻き込まれ、連日、王宮内を走り回っている。


そして、ハロウィン前日の夜、なんとか作業を終わらせた面々にサツキは


「お疲れでござった!」


と言うと、彼女はまたどこかに行こうとしている。


ロブは、そんなサツキを呼び止めた。


「どちらへ?」


それに対してサツキは、


「ふふふん、内緒。モスくんもお疲れ。あとは一人で平気だから!」


と言い、ばたばたと走っていった。


彼女は疲れというものを知らないらしい。


「それでは、私たちは休みましょうか」


と、隣でぜぇはぁと息をついているモスリンドに声をかけた。


しかし翌日、ロブは後悔することとなった。


あの時、なぜサツキを止めなかったのだろうと。




◆ ◆ ◆




連日アルは不機嫌だった。


理由は明々白々。サツキがここのところ、アルの前に姿を現さないからだ。


その結果、面会に訪れた大臣や貴族たちが、その冷気にあてられ、体をガクブルさせていた。


そんなアルに臆することなく対応できる数少ない一人であるロベルトは、淡々と仕事をこなしていた。


そして、ふと顔をあげて言う。


「そろそろ時間ですね。例のパーティー」


アルはその声に、手にしていた書類にサインする手を止めた。




そう、今日は夜会のパーティーが開かれる。


サツキが考えたものだという。


今、王宮内は、なにやら怪しい雰囲気に包まれていた。


窓のカーテンはすべて黒に変えられ、ランプは日々、オレンジ色のドゥイルが被せられてゆく。


見渡す限り、黒と橙の色に染められていた。


夜になるとランプは、被せられたドゥイルによって光が遮られる。


その光はぼんやりと不安定に揺れながら、廊下を照らしている。


まるで魔女の住む城だ。


夜担当の巡回騎士がその雰囲気に、ありもしないものを見たと騒ぎ、日夜、七不思議なるものが生まれていく。


アルの元へも、嘆願書が何通か送られてきている。


ドゥイルをどうにかしてくれと。




ロベルトの言葉にアルは、内心はうきうきしながらも、それを隠しつつ立ち上がった。


そうだ今日、久しぶりにサツキに会える。


これが終われば彼女も時間が出来るだろう。


そうだ、しばらく、北の離宮で静養するのもいいかもしれない。


問題は彼女がじっと休んでいられるかは若干疑問が残るが、まあそれはそれでいい。


今の季節ならば、ノルディア湖で船に乗るのもいい。ナイエ山の紅葉の中、乗馬でも・・・。


とアルの脳内で様々な計画が高速で立てられていく。






そんなアルの様子を眺めていたロベルトは、ふっと笑いを浮かべた。


どうやら、彼の機嫌は上昇したらしい。


しかしすぐに表情を引き締めて、ロベルトは手元の書類を見た。




(周囲の警備は固めました。医療班も増員しました。念のために消火班も配備しましたし・・・)




『サツキ=アサギリ対抗本部作成』と書かれたその書類を、ロベルトは何度もチェックした。


あとは何をすれば、あのサツキを前にして、万全の体制となるのか。


どんなに考えても、不安の残るロベルトであった。







◆ ◆ ◆






さて、なんだかんだで始まったハロウィンパーティ。


招待された人々は、思い思いの衣装に包まれていた。




魔女。悪魔。天使。女神。ドラキュラ。オオカミ男。フランケンシュタイン。怪物くん。雪男。囚人服。騎士。ナイチンゲール。メイドさん。セーラー服。テニスウェア。ミイラ男。海賊。宇宙服。ダースベーダー。スパイダーマン。




何人かは普段どおりだったり、自分の扮装が何を指すのか分からなかったりするが、それはそれ。


皆、それぞれに楽しんでいるようだ。


給仕は統一して、すべてショッカーに扮しているのだが、サツキの指導どおり「ヒー」としかしゃべらないので、飲み物を受け取る人たちが若干困っている。




執事服に身を包んだ、なんだかくるりと巻いたちょびヒゲをつけてはいるが、普段とあまり印象の変わらない格好のロベルトは、パーティの進行状況を確認していた。


会場の中には、そこかしこに、小さな子供たちが駆け回っている。


サツキの招待した、孤児院の子供たちなのだそうだ。


彼らもまた、何かしらの扮装をしている。


「とりっく、おあ、とりーと?」


と大人たちを捕まえては尋ね、お菓子をもらっている。


実に可愛らしいその様に、皆も楽しそうだ。


ロベルトはその様子を見て、警備云々はすべて杞憂だったと判断した。


彼女は純粋にこのパーティを成功させようとしている。




ロベルトは周囲のよく知る人たちを眺めた。


ロブを見る。彼は、黒いマントに紅と白のマフラーを巻いて短い杖を持っている。


サツキ曰く、「ポッターくん」なのだそうだ。


その隣にいる大柄の人物は、モスリンドだ。


あろうことか彼は、ヒラヒラした白いワンピースをはいて、片手にキラキラしたマイクを持っている。時々、モスリンドを視界に入れた人が、顔色を青くさせている。


サツキ曰く、「聖子ちゃんルック」だそうだ。


サミエルは、あごに彼の髪の色と同じ、銀色の床に届きそうなほど長いひげをつけている。


長い杖を持っているさまは、仙人といったところか。


自身のひげを踏みそうになるたびに、形の良い眉がしかめられ、辺りに黒いオーラが撒き散らされている。


その隣にいるフライは、そんなサミエルの様子にびくびくした態度をしているが、ホッケー選手のかぶるマスクをつけているため、その表情はうかがい知れない。


彼は手になぜか、血まみれの包丁を持っているのだが、一体なんの仮装なのだろうか。


そして、アルはというと・・・。




ロベルトは辺りを見回した。


アルの姿はどこだろうか。


そして、ようやく壁際に置かれているパイプ椅子に座っているアルを発見した。


ロベルトは彼のもとへ近づいて、声をかけた。


「・・・あの、一体、何をなさっているのですか?」


声をかけられたアルフレッドは、


「・・・・・・分からん。サツキに言われてこうしている」


と、顔を下に向けたまま、目だけを上に向けて、ロベルトに答えた。


アルは赤いトランクスを履き、黒いリングシューズをはいている。


他には、両手に赤いグローブをはめているのみで、何も身につけていない姿であった。


頭には黒いカツラをかぶっており、その変に長い前髪が、アルの顔を半分以上隠している。どうりで、なかなか見つからなかった訳である。


彼は両腕をだらりと下げて、ずっと下を向いている。


「時々、『燃え尽きた』と言えといわれているのだが・・・言わないとダメなのだろうか?」


ロベルトは答えた。


「・・・・・・お好きになさったら、よろしいかと」


「・・・そうか」


そういってアルは、くしゃんとクシャミをした。






◆ ◆ ◆






如意棒を背にして、サツキは孫悟空の格好をしている。


彼女は子供たちと同じように、お菓子集めに余念がない。


目につく人たちから、ウキキと手当たり次第にお菓子を強奪していた。


そこへ、きんきんした声がサツキを捕まえた。


「サツキさん! 一体これはどういうことですの!?」


サツキが振り返ると、そこには、頭にウサ耳、お尻にウサしっぽをつけて、黒い網タイツの完全バニー服に身を包んだマリアンヌと、その横には、マリアンヌと似てはいるが、ボンテージに身を包んだシャルルが鞭を持って立っていた。


「どういうことって、バニーちゃんと女王様?」


二人とも似合ってるよ、と笑顔のサツキに、怒り心頭のマリアンヌと、満更でもないシャルルは、とても対照的な顔をしていた。


「なぜ、わたくしが、このような格好をしなければなりませんの!?」


「なぜって・・・それがハロウィンだからですよ」


サツキはそこに山があるからだ、という登山家の思いの如く言い切った。


そしてサツキは、ふと手元の時計を見ると「あ、そろそろ時間だ」と言った。


「時間? なんのですの?」


マリアンヌが不思議そうに言うと、サツキは「お楽しみの時間ですよ、ふふふ」と含み笑いをもらす。






◆ ◆ ◆






突然、会場内の照明が落とされた。


軽い女性たちの叫び声と、男性たちのがやがやという声が聞こえる。


そして、会場の真ん中にあった、高く丸い舞台にのみ、スポットライトが当てられ、そこにサツキの姿があった。


「えー、レディ~ス&ジェントルマン!」


{技:マイクエコー}を使ったサツキの声が会場中に響き渡る。


「本日はようこそ、ハロウィンパーティにお越しくださいました! これより本日のメインイベントが始まります。どうぞみなさん、窓の外をご覧ください!」


サツキがそういい終えると、再び会場内は暗闇に包まれた。


そして外から、どーんと大砲のような音が聞こえた。


皆が慌てて外を見る。


そしてそこには――――。






夜空に色とりどりの花火が打ちあがっていた。


それが打ちあがるたびに、暗かった会場に、明かりが差しこむ。


花火というものを初めて見た、タスカニース世界の人々は、はじめは、おっかなびっくりしていたが、我さきにテラスへと赴き、その光景に感嘆の声を上げていく。


「きれいですねぇ」


「まるで夢の世界のようです」


しばしの時間、その光景に目を奪われた人たちは、背後の会場に明るい照明が灯されたことにより、その夢のような時間は終わったことを知った。


うっとりと余韻に浸されたまま、人々は明かりのついた会場内に戻り、――――そのまま固まった。


サツキが嬉々とした表情で、再び丸い舞台の上にいる。


・・・いや、それはいい。


彼女の隣にうず高く積まれている、黒い物体たちは何だろうか。


「さあ、みなさん! 今宵のパーティの締めくくりでございます! どうぞ、ひとつずつお選びくださいませ!」


そして、サツキの声は続いていく。


「中には幸運の品が隠されております! 指輪が入っていたあなたは、恋愛運が最高です! コインが入っていたあなた、金運が上昇中です!」


それからすべての中に紙が入っているので見ろと言う。


その中に運勢が書かれているらしい。


「外からは、まったく分からないようになっていますからね~」


と、楽しげに説明しているサツキだが、それは当たり前だと誰もが思った。


おそるおそるその黒い物体を手にしたロブくんは、サツキに聞いた。


「・・・サツキさん。一応、お伺いします。これは、何ですか?」


「それは、クッキーです。占いクッキーです」


ロブくんは思った。


いいえ、これは公園に時々落ちているものです、と。






◆ ◆ ◆






どよーんと部屋の隅で、体育座りの格好で落ち込んでいるサツキに向かって、アルは声をかける。


「・・・いい加減、機嫌を直せ」


「だって、誰も食べてくれなかった。回収BOXまで用意された・・・3Dメガネのように放ってった。これも用意したのに、使うタイミングがなかった」


と、クラッカー型ローション砲と、虫くるスプレーを玩んでいる。


アルは思った。


皆がお菓子をたくさん持ってきていて助かった、と。


まだうじうじとしているサツキに、アルは言った。


「ほら、ふたつ持ってきたから。俺とお前の分だ」


アルはサツキにそれをひとつ手渡した。


サツキはその黒いアレのようなクッキーを眺め、ひとくち口にした。


途端にガリっと音がする。


そのまま食べていく彼女を見ながら、アルはいつも思う。


サツキはどうして腹を壊さないのか。


アルは自分の腹に魔除札が貼られている事を確認すると、自身もそれを口にする。


「あれぇ?」


サツキが疑問符を頭に乗せて言った。


アルがどうしたと尋ねると、サツキは言った。


「何にも入ってないんだよね。おっかしいなぁ、占いくじが入っているはずなんだけど・・・」


アルは、これだけ焼いたなら、中の紙など燃えてなくなってしまったからだろう、と思ったが、


「それだけ、入れ忘れたのかもな」


とありきたりな言葉で済ませる。


そっかぁ、わたしってばうっかりさん、てへっと言って納得した顔のサツキを眺めながら、アルは口の動きを止めた。


「ん?」


自身のクッキー(?)をみると、何か黒い色以外のものがみえた。


それを慎重に歯で掘り出してみた。


「・・・これは」


指輪だった。


なにやら固まった様子のアルに気付いたサツキは、


「どうしたの?」


と声をかけた。


そして、彼の手にしている指輪に気付き、声を上げた。


「わぁ、指輪! アル、それ当たりだよ! 一個しか入れなかったんだから!」


すごいねぇ、と笑うサツキに、アルも笑顔で頷く。


そして、サツキの手を取ると、その指輪をサツキの指にはめた。


「ん?」


と首を傾げるサツキに、アルは言った。


「俺はすでに、恋愛運は最高だからな。お前にやる」


サツキが、


「うん、ありがとう!」


と返すと、サツキの好きな蒼い瞳が、より一層の輝きを増した。


サツキは自分の指にはめられたその指輪を眺めながら、


(わたしも、すでに最高なんだけどね)


と、異次元の世界でめぐり合ったその人物を見上げて思った。





おしまい



以上、ハロウィン話でした。


読んでくださってありがとうございます。



作者、ハロウィンのことあまり知りません。


なので、占いクッキーネタは旧正月だろうが、ぐぐれかすとかいう苦情は受け付けません。


あしからず。


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