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第317話:理由

 今日はジムに行って麻雀部を休んだ和弥は、小百合からの電話を受け神妙な返事を返した。


『そういうこと。今日から私が新しい部長よ』


「決まった以上は従うさ。よろしくな、()()


『改めて呼ばれると。恥ずかしいものがあるわね』


「麻雀部の皆には?」


『以前と同じで構わない、と』


「小百合がそう思うならそれでいいだろ。俺も皆の前では変わらず委員長って呼ぶ」


『ええ、それで構わないわ』


「それにしても、先輩が……。何というか、あの人っぽいな」


『半分は同意するけど、どうして突然……』


「そりゃあ、麻雀を打つ人間全員が、小百合みたいに真っ直ぐな思いだけで麻雀をやってるワケじゃないさ」


 小百合はすぐには返答せず、考えてみたが、わからなかった。


『───どういうこと?』


「小百合はどうして麻雀をやってるんだ?」


 改まった様子で投げてきた和弥の質問に、小百合は少し戸惑ってしまう。


『どうしてって───えーと……』


「楽しいから?俺みたいに金が賭かってるから?もしかして、麻雀で相手を打ち負かすことが好きだとか?」


『……そのどれでもない気がするわ』


「じゃあ、ナゼ?」


 小百合は一番最初に心に浮かんだ答えを、そのまま言った。


『……貴方(あなた)のような方と、対等に打てるような麻雀打ちになりたいの』


「俺とか」


『ええ。貴方の麻雀を見てから、私の価値観というものが変わった気がするの』


「価値観?」


『なんていうか、私はただ麻雀を打ちたいだけじゃなくて、貴方のように強い───それもただ強いだけじゃなくて、見て納得できる強さを目指したいって思ったの』


「俺、そんな風に見えるのか」


 和弥の意外な返答であった。小百合は不安な気持ちになって訊き返す。


『……貴方は自分で自分を強いとは思わないの?』


「はは、訊いたのは俺だぞ。まぁとはいえ、小百合の言う強さってのがどんな姿勢を表すのかはわからないけど、少なくともそこらへんにいる麻雀をただの暇つぶしだと捉えてる連中よりは、強いって言えるんじゃねえかな」


 答えながらも和弥の頭には、龍子、麗美、麻雀部に入ったからこそ知り合えた強い打ち手の顔が思い浮かぶ。


『……そう』


「なんか今イチ納得出来ないような態度だな」


『ごめんなさい、そういう訳じゃ……』


「いや、こっちこそ。でも本心だぞ?」


『……もういいわ』


 意識せずとも赤面してしまっているであろう小百合を察したのか、和弥は笑っていた。

 それから、2人で色々なことを話し合った。

 今日の麻雀部から、それ以外にも麻雀の好きな手役や初めてアガった役満はなにかはたまた好きな食べ物の話など、実に脈絡のない会話であった。

 珍しく和弥も饒舌であった。改めて和弥のことを、高レートに出入りしている人間とは思えない小百合であった。

 ふと時計を見ると、既に23時をとっくに過ぎていることを知って驚く。


『もうこんな時間───そろそろ寝る?』


「だな。スマホのバッテリーも少なくなってきた」


『それじゃおやすみなさい』


 ああ、おやすみ───そう言って和弥はスマートフォンを切った。

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