第282話:膠着状態
※これから麻雀用語は出来る限りカタカタを使うようにします。私の作品なんて麻雀知らない人間は読まないと思うので笑
東3局、菱崎の親。ドラは東。
ガックリと牌勢が落ちた。まるで、前2局のアガれなかったのを麻雀の神に咎められているようだ。
上家の第一打が南であったが、この手でオタ風を仕掛けるワケもいくまい。菱崎はスルーして、第一ツモへ。
(せめてツモは良くなっててくれ…)
実際どんな配牌もツモ次第で化ける。菱崎は前向きな気持ちで字牌の整理から始めた。
バラけている字牌を整理し終えるのに8巡かかったが、手牌の進行具合は悪くなかった。
ここまで育ってくれれば、南を雀頭固定の平和狙いでいいだろう。
一方で、和弥も苦戦していた。九種九牌で流したのが悪かったのか、軽い手が全く入って来ない。
(手が重いな…この半荘ずっとだ)
菱崎が静かに五筒を切ってきた。
(ヤロー……ダマで張りやがったな……)
和弥は菱崎の捨て牌を睨んだ。
序盤から字牌、么九牌。そして中張牌がポロポロと出て五筒。典型的な平和である。
本線は五筒の裏筋、次に萬子の下と言ったところか。
菱崎のダマテンを受けての和弥の一発目のツモは、よりにもよって中張牌と同じくらい切りづらい牌であった。───初牌の東。しかもこれはドラだ。
いくらなんでもこれは切れない。七対子じゃないにしても、ダブ東・ドラ3に赤でもあれば親ッパネは確定する。
(駄目だ…こんなのを振ったらもう麻雀じゃない)
仕方なく和弥は雀頭を落とす。
ならダマに構え、東が重なり新しい雀頭になるのを狙ったほうが賢明なのではないか。
考えれば考えるほど、東は通らなさそうな気がする。
和弥の手は2,000点だが、この東さえ通せば押し勝てるだろう。しかし逆に言えば『2,000如きで親に立ち向かう気はない』のだ。平和が本線とはいえ、限りなく確信に近いものがある東であった。しかもここまで出ていないということは、脇のサラリーマン2人が対子で持っていることも十分考えられる。
(イヤな汗かかせやがる牌ばかりくるぜ…)
もうこの半荘はこうなんだ、と割り切るしかない。
「ツモ」
菱崎がカタリ、と牌を置いた。
「ピンヅモ・赤2で2,600の三本場で2,900オール」
全員菱崎に3,000点を渡し、100点をツリにもらう。
東3局四本場となった。
(クソ…ッ…アガったってのになんだこの配牌…)
ここまで何か既に私は手痛いエラーを重ねた訳ではない。現に菱崎は2,900オールをアガったのだ。
しかし、諦めるワケにはいかない。まずは南から切り出し、とにかく手を広げることに専念しようと考えた。
───だが、この悪手が捨て牌一列目を過ぎてもまったく変化しなかった。連荘狙いには最適な東や中といった役牌も重ならず、引いてくるのは二萬や九索といった手牌とは繋がらない牌ばかり。
さらにそうこうしているうちに、脇のサラリーマンがリーチをかけてきた。
こうなればもはや選択肢はひとつ。放銃だけはしないようオリるのみだ。菱崎は対子の北を切り出していった。
一方の和弥も手の悪さに苦戦していた。
(オリだな。リーチに歯向かう手じゃない)
静かに現物を切る和弥だった。




