ep 狸
「そうそう、ついでや。言っとくけどもうじき来るで? 武士が」
そう言われワタシは振り向く。カツカツと音が鳴る。ゆっくりと階段を上る音。それに応じて ≪吸血鬼≫ が血を出す。
「来たで」
全身に鎧を纏い左腰に刀を持ち、兜を被る。名の通りの姿だ。一つ違う点が在るとするならば、周りに青色の怪しげな炎が浮いていることだろう。人魂とか言うやつかな?
「様子が変ッスよ」
武士の歩き方が変なのだ。まるで、引きずっているような。
「今宵は満月だな、狸よ」
一言。その一言だけ言って、膝から落ちた。
「すまぬ、友よ。守れなかった」
そう言うと、武士の頭は落ちた。周りに浮いていた人魂は消え、体は燃える。残ったのは刀だけだった。
「どうして?」
「寿命やな。言うたやろ? 武士は ≪神≫ を殺すために居るんや。だから、殺した後は必要の無い存在になる。やから、死んだ。それだけの話。ただな ≪神≫ を殺せる程の力を持つ ≪怪≫ がこんな早くには死なへん。後百年は生きると思っとったけどなぁ。何でやと思う? ってアンタらに聞いても意味無いねんけどな。ハッハッ、一人になってもうたなぁ。もうこの神社に用はない。まぁ新しい ≪神≫ でも生まれたら帰ってこよっかな? ほな、またどっかで」
タヌキはそう言って鳥居を潜ろうとする。が、それを ≪吸血鬼≫ が止めた。
「何故、武士はさ迷っていた?」
「・・・黄泉返りって知ってるか? ああいう中途半端な ≪怪≫ は、死ぬと分かったら世話になった所や、生まれたら場所に帰る。そんで、死にたい所で死ぬんや。やから、その辺を歩き回っとった。それだけや」
≪吸血鬼≫ は静かに返事をした。ワタシも一つ聞いておきたい事がある。
「これからどうするの?」
友を失い、この神社から出るのなら、一体どこへ向かうのだろう
「ホンマ、可憐やなぁ。あの御方にそっくりや。まぁええ。質問に答えるとするならば、分からん。どっかに行くわ」
タヌキは刀を手に取り、鳥居を抜け階段を降りて行く。
あれから三日経った。今日は ≪吸血鬼≫ とワタシしか居ない。学生は昨日やって来て、感謝だけして帰っていった。夏休みも、後半月で終わる。
「 ≪吸血鬼≫ タヌキ、元気にしてるかな?」
ソファーに座る ≪吸血鬼≫ に聞いている。
「さぁな」
当たり障りもない返事をされた。
「まったく。依頼が無いからと言って堕落しすぎだぞ」
だってやることは無いし。黒笑でも呼ぼうかな?
「依頼が入った。行くぞ」
え? ワタシ用意もしてないんだけど。
「ちょっと待ってよ」
ワタシも急いで外に出る。が ≪吸血鬼≫ にぶつかる。
「ヤッホ~ ≪吸血鬼≫ 」
目の前には女性が、居た。
第五話 タヌキ
サボってました。




