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吸血鬼物語り  作者: kurokuro
第一幕
11/14

ep 狸

今週から復活頑張るぞ~!

「それにしても、古びた神社ッスね。鳥居にコケが生えてましたし、灯りの一つもないッス」

黒笑が言う。

「確かにな。この神社に入ってから ≪怪≫ の匂いがするな。それも格段と強くなっている」

匂い? 匂いなんてしないけど。いや、違う。きっと慣れてしまったのだろう。来すぎたのだ。居すぎたのだ。だから、何とも思わない、感じない、匂わない。

「気を付けろよ」

「分かったッス!」

それから、私たちは神社の中央にある本道に向かった。途中 ≪吸血鬼≫ が気にくわなそうな、嫌そうな顔をした。初めて見る表情だった。 ≪吸血鬼≫ 曰く、信仰や、崇められていない ≪怪≫ にとってはこのような神聖な場所は毒らしい。逆に言えば、信仰されたり崇められたりしているのは平気。むしろ、心地の良い住みかになるのだとか、つまり、神である。神もまた、 ≪怪≫ である。 ≪神≫ の裏は ≪怪≫ である。 ≪怪≫ の裏は ≪神≫ と言う事だ。表裏一体の関係。そのような話を聞いていると、本堂に着いた。

「何と言うか、汚なッ」

「言うな!」

ボカッと音がなった。否、聞こえた気がした。黒笑の頭を ≪吸血鬼≫ が殴った。無表情で。良く見れば違った。呆れた顔だった。

「良し、開けろ」

本堂の扉に指を差し、黒笑にいう。

「・・・」

口を開けポカンとしていた。そりゃそうか。

「口を開けるのではなく、扉を開けろと言っている」

「いやいやいや! 場違いじゃないッスか!」

確かに。

「場違いも何も、汚いって言いかけていただろう?」

うん! 正論! 試合終了! ≪吸血鬼≫ の勝利! ウィナー!

「分かりましたッス。呪われませんかね?」

 ≪吸血鬼≫ は反応しない。ソッと目をそらす。斜め二十五度位。

「エェイ! やってやりますよ! おりゃァァァ」

行き良いよく、開ける。が、中には何もなかった。

「何も、無いッスね」

「フム。あるぞ。急須が」

ポツンと本堂の中央に置いてあった、それとも、落ちてあった? まぁこの際それについてはどうでも良いが、なぜ? なぜこんなところに急須が?

「匂いの正体はアレか」

アレ? まさか、急須のこと? つまり、急須が ≪怪≫ って言いたいの? まさか。

「中は何も、入ってないッスね。裏はどうなってます?」

「ひっくり返すか」

淡々と作業を行っている、って待てェェェ!

「何をしてるの! 駄目でしょ勝手にしたら!」

「裏は何も無しッスね」

「その様だな」

「聞いてるの!」

この二人は、なぜ人の話を聞かない!

「・・・壊すか?」

「一旦壊しましょう」

「駄目ェェェ!」

この二人は、一体何を考えているの! 壊す? どうしたら、そうなった? そもそも、神社にしかも、本堂に在るものなんだから、もっと丁重に扱えってよ!

「ホンマやで。ありがとうな、嬢ちゃん。危うく死ぬとこやったわ」

ん? え? 急須が関西弁で喋り始めた、と。あっこれ ≪怪≫ だ。

「ヨット、危ないで」

一歩後にバク転する。すると、急須はタヌキに変身した。否、タヌキが急須に変身していたのだ。

「さてと、君らはアレか? あの。招かれざる客ってところか? ちゃうか? それとも、この神社を荒らしにきたアホ共か? どっちや?」

二足で立つタヌキ。黄色に光る鋭い眼、獣の匂い、そして、懐かしい匂い。

「アレ? 嬢ちゃんどこかで会おたか? どっかで見たことがあるで・・・アア! 思い出したわ! この神社で隠れてた子や。人間達の中では失踪したとか言われてた子どもや!」

笑顔でこちらに指を差し少し大きな声で言ってくる。ソッと二人の方を見る。

『・・・・・・』

無言! 無音! 沈黙! 二人の視線が刺さる!

「説明をしてもらおうか?」

「そうッスね」

不味い! 逃げられない! クソぅ、仕方ない説明するよ。ワタシは多少ヤレヤレ感を出しながら口を開いた。

第三話 急須はタヌキ

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