(本編5話)エルフの里編パート1
走る走る馬車は森を超え、野を越え、走っていた。
「なぁ、ハジメ、なんか魔物もいないしつまんねぇな。」
「そうだな。団長の言っていたことは嘘だったんだなー。」
二日前にミュベンを出てからは魔物を一匹たりとも見ていない。しかし、警戒はしっかりしないといけないので1回目の休憩で馬に噛まれたクラウスとハジメ以外はみんな馬車の外に張りついて魔物を待ち構えていた。そのせいで大して仲も深まらないし話相手がクラウスだけなので暇である。
「クラウス、ぼうずめくりでもしようぜ。」
「そうだなー。」
カードを探そうとした時、
「うわっ⁉︎」
急に馬車が止まった。
「な、なんだぁ?」
「わかんねーけど外に出るか。」
「外に出るな!」
馬車の外からドミニクが言ってくる。馬車から降りてないということは魔物が相手では無いのかもしれないがそれはそれで怖い。
バシュッッッウンッッ
急に風を切る音がした。その瞬間馬車の屋根ハリケーンに巻き込まれたように吹き飛んだ。
「うヤー⁈」
「クラウスゥゥゥゥゥゥ!」
ついでにクラウスまで飛んでいった。
もうこうなったら馬車は捨てるしかない。ハジメは99式を手にとり馬車から飛び降りる。
次の瞬間また風がきられる。
「なんなんだぁぁー!」「ぐえー」
ハジメを除くドミニク隊のメンバーが吹き飛んでいく。
だが、ハジメは冷静に99式を音のした方に向けていた。敵を照準に捉えたとき思いもよらないものらが見えた。
「おい、おい。エルフは味方じゃないのかよ。」
目の前に見えるのは誰がどう見てもエルフだった。そしてエルフは喋り出した。
「すまないなぁ、あんたはここじゃあ犯罪者なんだなぁ。」
犯罪者?身に覚えがない。
「いいがかりだァ!」
「いいがかりで同盟を破るヤツがいるかぁ?ま、弁解は長老の前でするんだな。復讐はその後にしといてやるよ。」
とりあえずこっちがやらなきゃ殺されるような感じではないが訳がわかんね。そう思っているとエルフがゾロゾロとやってきて俺たちを連行していった。
エルフに連れられ歩いていくと町が見えてきた。多分ミュベンよりも大きい。だが、それの見た目はまるで縄文時代の村が国のサイズで広がっているだけでとてもじゃないが国には見えない。しかし歩いて行くとやたらと大きな豪邸があった。この里の中で唯一近代建築物に近い建物。それが長老の家だった。そしてエルフに促され中に入っていった。
「やぁ、ようやくきたんだね。」
ハァ? 思わず声に出そうになる。
中にいたのはどうみても少女だった。
案外ドミニク隊のメンバーは普通そうな顔を
していやがる。というかさっきからずっと訳の分からないことばかりもういい加減限界だ。
「ちょっと待て!なんなんだ!ふざけるのも大概にしろよ!」
「うーん。なんかおかしいかな?」
長老?が不思議そうに言う。まわりの奴らも困惑した表情でこちらを見つめてる。
「いや、その、......まず、なんで俺が犯罪者扱いなんだ?なんでこんなに早く里についたんだ?なんで長老が少女なんだぁぁ!」
頼むから誰か説明してくれよ。そう思っていると長老が口を開いた。
「えっと、なんで君が犯罪者なのかなんだけど、外を歩いててわからなかった?」
「外......そういえばなんか体調の悪そうな人が多かったなな。風邪だろ?俺に何が関係あるんだ?」
「半分正解で、半分間違いだね。君がミュベンに作った工場からでた排気ガスがすごくてね、君もここまで言えばわかるだろ?人間より肺の弱い僕達にとっては死活問題なんだよ。」
言われてみれば排気ガス対策を大してしていなかった。でも、健康被害がでるレベルには至らないくらいに対策したんだ。となるとエルフは肺が弱すぎるな。
「そんな事知らなかったんだよ!大体エルフに会うのも今回が初めてだ!」
「知らなかったで済むとでも思っているの?。まあ、いいや。次はなんでこんなに短時間で里につけたかだね。」
長老?が少しためてから話す。
「君は縮地法って知ってるかな?」
縮地法。それはどこかの将軍が使っていたとされる地面を縮める事で高速移動したり包囲を抜け出したりできる技だ。
「知ってる!だけど、」
「空想だとでもいいたいようだね。でもあるんだよ。これがこの里の秘伝の魔法。そして、君たちを連れてくるのに使った魔法さ。」
無茶苦茶だが、筋が通っていやがる。これだからファンタジーは難しい。
「そして、最後の質問。僕は男だよ。そして年齢は273歳くらいかな。」
「マジかよ。」
なんと目の前の少女?いや、少年は自分の10倍以上も生きているらしい。確かにゲームとかにでてくるエルフは長生きだ。そして割と真面目にファンタジーなこの世界ではおかしなことはなさそうだ。だとしたらその喋り方はムカつく。
「お前らは知ってたのか?」
さっきから驚きをドミニク隊の連中は見せていない。
「いや、当たり前というか、」
「そもそもお前がここに来た理由が裁判の為だぞ!」
「ま、君には隠しといて欲しいと団長さんとリベル様からは言われてたけどね。」
「ば、馬車が壊されるとはお、思ってなかったんだけどね、」
「どいつもこいつも騙しやがってェェェ‼︎」
許せない。よく考えたら交渉くらいでリベルがあんなに心配がる訳がないし、レオンの奴からも具体的な指示があったはずだ。
「わかったかな?とりあえず明日のお昼から裁判するからそれまでに準備しといてねー。」
長老がそう告げると弁護人をするというエルフがやってきて家へと連れて行かれた。
「まず、私が本裁判であなたの弁護士を務めさせていただきますアインスです。よろしくお願いします。」
数字の1か、なんか雑な名前だな。
「アインスさんこちらこそよろしくお願いします。」
「それでは現状確認からですが__」
どうやら俺はこのままだと死刑になるらしい。環境汚染がひどく死人も出ているらしい。そして最初に襲ってきたエルフ達は家族が俺のせいで死んだらしく、それで復讐しようとしてたらしい。
「......」
「......」
「これは死刑だな。」
「...ですね。」
「ですねじゃねーだろ!弁護人なら少しは考えてくれよ!そもそもこうなる前に言ってくれればよかったじゃないか!」
「いや、止めようとにも銃がないとエルフも人間も困るじゃないですかー。」
「ふざけるなぁ!自業自得じゃないか!こうまで話が通じないんじゃ逃げるしか、」
「逃げた所で縮地で追いつかれますよ。」
「くっ!そもそもなんであんな強力な魔法を何回も使えるんだよぉ!」
そもそもこの世界の魔法は危ないらしいし、実際病院以外では使っている人を見た事がなかった。だが、ここはどうだ。襲ってきた奴らも平気そうに縮地を使っていた。これがエルフの力なら肺が弱すぎるという点を加味しても人間が不利すぎる。
「それはエルフが長生きだからです。」
「は?長生き?それが関係あるのかよ?」
「えぇ、魔法を使うのに消費するのは記憶、つまり知識だからです。そんなことも知らなかったんですか?」
「知りませんでした。なんせ魔法は危険だと思っていたもんで。」
「そうですね、普通の人だと使いすぎるとすぐ廃人になりますからね。」
「は、廃人⁉︎??」
思ってたより魔法は危険だった。
これは最初にミュベンに来た時に治療してくれた医者の人達には感謝してもやりきれない。
その後も結局話し合い続けたが何一つ解決策が思い浮かばなかった。何せ知らなかったで済む話ではなかったのだから。俺は考える事をやめ、眠りについた。
遅れてすみません。




