154/178
人すすみて、憎いことし出でつるは、
人すすみて、憎いことし出でつるは、悪ろきことを過ちたらむも、言ひ笑はむに、憚りなうおぼえはべり。いと心よからむ人は、われを憎むとも、われはなほ人を思ひ後ろむべけれど、いとさしもえあらず。
その人が自ら他人に対して悪意のある行為をしでかした時は当然で、(そのような他人に悪意ある攻撃をしかける人が)うっかりミスをしてしまった時は、あざ笑うことは、全くためらいは感じません。心根がすごく美しい人なら、私のことを憎らしいと思っていたとしても、私からは、その人を思いやり面倒を見る場合もあるかもしれませんが、まあ、なかなか、そういう事例はないと思われます。
特に後半は難しい文章で、(各注釈書の訳も様々で文意が通らないので)、少々意訳してみた。
他人に悪意を持ち、攻撃を仕掛けるタイプの人への考え方になる。
その人が、何らかの行為、うっかりミスでも、軽蔑する、嗤ってしまうは、ほぼ理解できる。
※「いと心よからむ人」(心根がすごく美しい人)が「われを憎む」は、(心根がすごく美しい人)が「誤解」により、われ(紫式部)を憎んでいると解釈した。
それだから、紫式部としては、あえて「その人を思いやり面倒を見る場合もある」と、訳した。
ただ、「いとさしもえあらず」(まあ、なかなか、そういう事例はない)が、実態なのだろう。




