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紫式部日記 舞夢訳  作者: 舞夢
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よろづのこと、人によりてことごとなり。

よろづのこと、人によりてことごとなり。誇りかにきらきらしく心地よげに見ゆる人あり。よろづつれづれなる人のまぎるることなきままに、古き反古ひきさがし、行なひがちに口ひひらかし、数珠の音高きなど、いと心づきなく見ゆるわざなりと思ひたまへて、心にまかせつべきことをさへ、ただわが使ふ人の目に憚り、心につつむ。


何事において、人は様々なのです。

自信に満ちて、輝いていて、気分が良さげに見える人がいます。

しかし、万事において、心が晴れることなど無い私が、(それでも今よりは良かったとでもと思うかのように)昔の手紙を引っ張り出して読んでみたり、御仏への信心に熱心になりました(と見せびらかすかのように)と、数珠を大きな音を立てて鳴らしてみたりした場合、他人から、今以上に、無神経な人と思われてしまう行為と思いますし(することはありません)、そんな自分の自由になる範囲のことでさえ、単なる私に仕える女房の目を気にしてしまって、心の中で制止してしまうのです。


自分の使用人に対しても、その気分を害さないようにと、何事も(紫式部が好きにしてもいいことまで)控えてしまう。

それを、「部下思い」の、神経細やかな態度と賞賛する学者もいるけれど、それも行き過ぎた「紫式部賞賛」のための評価と思う。

そんな遠慮を見せつけられている女房たちは、本心から気分良く、紫式部のお世話ができたかどうか、疑問に感じてしまうのである。

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