月光百合
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-----ぼこっ---ぼこっ-----
-----カシャッ---カシャッ---
草地の数ヶ所が動き、地面から少しずつソレが姿を現した。
月の光に照らされて、暗闇にぼぅっと白く浮かびあがる。
カシャッと音を鳴らし、地面から骸骨が這い出てきた。
「うわぁーースケルトンだ」
「ひゃあ~」
「何でスケルトン?」
「どういうことだ?誰かの差し金か?」
-----ボンッ-----
クリムゾンが獣人から元のケット・シーの姿へと戻ってしまった。
「驚いて元に戻っちまった」
そう言いながらも視線はスケルトンを見つめたままだ。
ロータスが身構える。
ティムとクリムゾンは抱き合って震えている。
私はロータスの後ろから眺めているせいか、それほどの恐怖は感じなかった。
-----カシャッ---カシャッ---
スケルトンが5体、ゆっくりと起き上がり、此方を見つめた。
「うげぇーーこっち見てる」
「どうしよう~僕達どうなるの?」
「大丈夫よ。お父様の結界の中よ」
「確かにそうですが、お気をつけください」
ティムとクリムゾンもロータスの後ろに隠れる。
‥‥‥‥‥クリムゾン、私の護衛騎士だったよね?何故ロータスの後ろに?
警戒している私達から視線?を逸らし、向きを変えてスケルトン達は歩き出した。
カシャッと音を鳴らしてゆっくりと二又の木に近づいていく。
「何をするのかしらね?」
「我々を攻撃する気は無いようですね」
スケルトン達は二又の木に辿り着くと屈んで、根元に生えている月光百合を抜いた。
数本抜くと立ち上がり私達の方へ歩いてくる。
そして、引き抜いた月光百合を私達の目の前に差し出した。
「コイツら、月光百合をくれるのかな?」
「そうみたいだよね」
「そうね、採ってきてくれたみたい」
「‥‥‥‥‥目的がわかりませんね」
差し出したまま動かないスケルトン達に声をかけてみた。
「あの‥‥‥スケルトンさん達、月光百合をくれるの?」
-----カタカタカタッ---
頭蓋骨が上下に揺れる。
「くれるみたいね。‥‥‥‥‥じゃあ、これは下に置いておいてくれる?今度は根が付いたまま採ってきてもらえるかしら?」
スケルトン達は月光百合を地面に置き、また二又の木に向かった。
そして、百合根が付いたままの月光百合を採ってきて、先程のと一緒に地面に置いた。
「これは間違いなく、採ってきてくれてるわね」
「だな」
「でも、何で?」
「わかりませんね」
「せっかくだから、あっちのも採ってきてもらおうかな」
そう言うと、スケルトン達は二又の木よりも遠くに生えている月光百合を採ってきてくれた。
結果、かなりたくさんの月光百合が集まった。
「たくさん集まったけど、取るには結界の外に出ないといけないわよね」
「そうだけど、不味いだろ?」
「ベリル様に怒られちゃうよ」
「‥‥‥‥‥ここは私が」
「待って、ロータス」
「どうしたんだい?」
後ろから声がかかり、振り向くとお父様が立っていた。
「何かあったのかな?」
「あの‥‥‥お父様、あれを‥‥‥」
結界の外を指差すとお父様も視線を向けた。
「‥‥‥‥‥何故スケルトンが居るんだい?それにこの大量の月光百合は?」
「何故スケルトンが居るのかはわかりません。月光百合はスケルトン達が採ってきてくれたんです」
「採ってきた?‥‥‥ローズ、もしかしてお願いしたの?」
「‥‥‥最初からお願いしたわけでは無いですよ。くれるみたいだから、お願いしてみたんです」
「そうか‥‥‥‥‥」
お父様は右手を顎にあてて考え込む。
「もしかしたら、スケルトン達は君の望みを感じて行動したのかもしれないね」
「私の望み?」
「ゴブリン達に襲われた時の事を思い出してごらん?」
「ゴブリンに?」
「確か、メルクリウスが森の中で、ゴブリンとスケルトンが戦っているのを見たと言っていたんだよね?」
「そう言えばそんな事を言っていましたね」
「助けを呼ぶ君に応えたのかもしれないよ」
「え?まさか‥‥‥でも何故でしょう」
「理由はハッキリとは分からないけれど、彼等に君の声が届いたんだろうね。闇の属性が強いからだと思うけど」
「闇の属性ですか‥‥‥」
「まぁ何にせよ、敵として見られていないのだから気にしなくていいんじゃないかな」
「そうですか?」
「深く考えても答えが出ないこともあるよ。それよりも、彼等をこのままにはしておけないから、元の場所に戻るように言いなさい」
「はい、わかりました」
私はロータスの後ろから出て、スケルトン達に近づいて声をかけた。
「たくさん月光百合を採ってきてくれてありがとう。助かったわ。もう充分だから、元の場所に戻っていいわよ?」
-----カタカタ、カタカタ---
-----カシャッ---カシャッ---カシャッ---
-----ズズッ---ズズッ---
スケルトン達は頷いた後、それぞれ歩いて行き地面の中へと沈んでいった。
「戻ったみたいですね」
「そうだね。結界を少し拡げるから、その月光百合を取ってきなさい。せっかく彼等が採ってきてくれたんだ、無駄にしてはいけないよ」
「そうですね」
少し拡がった結界の中、私はたくさんの月光百合を空間収納に仕舞った。
「そろそろ帰ろうか。メルクリウスやノトもたくさん薬草を集めたようだしね」
「わかりました」
私達は採集の成果を見せあった後、森の家へ帰るべく魔の森を後にした。
ティムとクリムゾンはロータスの背に、私はお父様の箒に乗せてもらい魔の森の上空を飛んでいく。
月明かりの中の空中散歩のようで、少しワクワクする。
‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥‥‥
‥‥‥ん? 何だろう? 何か匂う。 鉄のような錆びのような‥‥‥? もしかして血の匂い?
「この匂いは‥‥‥‥‥」
お父様も気が付いているみたい。
突然、ノトが大きな声を出した。
「旦那様。助けを求める声が聴こえます!!」
ノトの頭には、普段は隠している白い兎の耳が出ている。
メルクリウスさんが叫ぶ。
「行こう、ノト。この匂いは獣人の血だ」
「はい!!」
2人は素早い動きで箒に乗って飛んでいった。
「私達も行こう。ロータス、向こうに着いたら君たちは上空待機だよ。安全が確認出来るまで下に降りては駄目だ。ティムとクリムゾンを頼むよ」
「はい、ベリル様。畏まりました」
私達はメルクリウスさんとノトの後を追って、満月の魔の森の上空を飛んでいった。
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