獣人の親子
見つけてくださり、ありがとうございます✨
-----ウガァーーッ---
-----ギャオゥーーッ---
「くそっ、コイツら、こんな所まで来るとは。普段はもっと森の奥深くに居るのにっ。満月のせいか?」
魔の森と入口の森が接する処‥‥‥‥‥
普段ならば弱い魔物と小動物くらいしかいない場所。
だから、此処ならば大丈夫だろうと思い、薬草を採りに来た。
満月の光を浴び魔力が強くなった薬草を。
しかし、考えが甘かった。
その男-----大きな体躯の熊の獣人-----は、唸り声をあげる魔獣を前に後悔していた。
来るんじゃなかった。
自分だけならば仕方ないと諦められる。
だが娘はなんとしても護らなければならない。
目の前には大きな魔狼が2匹。
木の上に隠れている娘が見つかる前に此処から移動しなければ。
飛びかかってくる魔狼に剣を向けるが傷を負わせることが出来ない。
なのにこちらは魔狼の鋭い爪で傷だらけだ。
血の匂いで2匹の魔狼は興奮し口からは涎を垂らしている。
「不味い。血の匂いで他の魔獣や魔物が来ちまう」
男は少しずつ横に歩を進め、移動していく。
2体の魔狼が同時に飛びかかる。
もう駄目か‥‥‥。
男が諦めかけたその時。
「ロックスピア!」
-----ズシャ---ズシャ---
-----ギャオウ---ギャン---
地面から細く鋭い岩の塊が飛び出し、魔狼の身体を突き刺した。
串刺しにされた2体の魔狼は大きく痙攣すると、ぐたりと力無く四肢を垂らした。
「何だ?何が起きた?」
男は串刺しになった魔狼を呆然と見つめる。
「大丈夫ですか?怪我は?」
「え?」
男の前に、若い兎の獣人が立っていた。
何故か手に箒を握っている。
「結構血が出ていますね。今治療します」
若い獣人はそう言うと、男に近付き両手をかざした。
-----ふわぁ~~~---
温かく優しい光が男を包む。
魔狼につけられた傷が少しずつ治ってゆく。
「これは治癒魔法か?」
「えぇそうです。僕は軽い怪我しか治せませんが」
「軽い怪我を治すだけでもたいしたものだ。感謝する」
「ノト!森の奥から魔獣が来る!此処に結界を張るから血の匂いを消してくれ!」
「わかりました!」
「まっ、待ってくれ!結界を張るならあの木もお願いしたい!木の上に娘が居るんだ!」
「娘?わかった。あの木にも結界を張るから、匂いを消したらあの木まで移動してくれ」
「ありがとう!」
-----キィーーン---
メルクリウスは結界を張るとその場を離れた。
「さぁ治療しちゃいましょう」
ノトは治療を終えると男と男の周囲に洗浄魔法をかけた。
傷と血の跡は無くなったが、爪で引き裂かれた服はそのままだ。
「服はそのままです。すみません」
「何を謝るんだ。ここまでしてもらって感謝しかないよ。ありがとう」
「いえ、無事で良かったです。さぁあの木に移動しましょう」
二人は急いで木に駆け寄った。
男が木の上に向かって声をかける。
「ユゥナ‥‥‥無事か? 大丈夫か?」
「‥‥‥父さん? 父さん、無事なのね? 無事だったのよね?」
「あぁ無事だ。もう大丈夫だから降りておいで」
「‥‥‥‥‥無理。 力が抜けて動けない」
「え? あー待ってろ。今行く」
「僕が行きますよ。まだ無理はしないでください」
「いや、そこまでは」
「大丈夫。この魔法の箒を使いますから」
「‥‥‥魔法の箒? そうか、すまないな」
ノトは箒に跨がるとフワリと浮かび、木の枝に近づいた。
太い枝の上に、若い娘が幹にしがみついた姿勢でじっとしている。
娘の頭にある耳は丸くなく、ノトとよく似た細長い耳だった。
‥‥‥‥‥この娘、兎の獣人?あれ、父親は熊の獣人だよな。
「もう大丈夫だよ。手に掴まって。こっちに引っ張るから」
「‥‥‥はい‥‥」
ノトは娘を引き寄せると抱きとめ、そのままゆっくり下へと降りていった。
「着いたよ。降りられる?」
「はい、頑張ります」
娘はヨロヨロとよろけながらも、なんとか立ち上がる。
男がすぐさま近付き娘を抱きしめた。
「ユゥナ、無事で良かった」
「うん、父さんも無事で良かった。 駄目かと思った」
「この方が助けてくれた。それに治療まで」
「うん、見てた。‥‥‥‥‥あの、父を助けてくださりどうもありがとうございました。私はユゥナといいます」
「そう言えば、まだ名乗っていなかったな。俺はガイス、見ての通りの熊の獣人だ。ナズナ村の者だ。えっと、あんたは‥‥‥」
「僕はノトといいます。出身はナバナ村。住んでいるのは違う場所ですが、両親と姉はナバナ村にいます。ご覧の通り兎の獣人です」
「ナバナ村か。隣村だな。まぁ、距離はあるが。‥‥‥娘のユゥナも兎の獣人だ。仲良くしてやってくれ」
「はい、勿論」
「ノトさん、どうぞ宜しく‥‥‥」
「こちらこそ宜しく」
ユゥナは恥ずかしそうに小さな声で話した。
‥‥‥‥‥えーと、父親が熊の獣人で娘が兎の獣人で、ということは母親は兎の獣人なのかな? 個人的な事は質問しにくいよな。 触れないでおこう。
ノトがそう思っていると、メルクリウスが戻って来た。
「っはぁーーーーー疲れた。魔獣が何体もやって来たよ。全部仕留めたから安心して。匂いも消しておいたしね」
「メルクリウスさん、お疲れ様でした。ありがとうございます」
「どういたしまして。治療は済んだようだね。娘さんも無事のようだ」
「どうもありがとうございました。お二方にはなんてお礼を言ったらいいか、本当に感謝しかありません」
「そんなに気にしないでいいんだよ」
「はいそうです。気にしないでください」
「ノトーーー。大丈夫ー?」
上空から声が聴こえる。
「あの声はローズだな」
「ですね。 大丈夫だよーー」
「良かったーー」
ベリルとローズがゆっくりと地面に降り立った。
「メルクリウス、ノト、お疲れ様。怪我はないかい?」
「べ‥‥‥リルべ様、はい無事です」
「はい旦那様大丈夫です」
「そうか、それは良かった。もう周囲には魔獣や魔物はいないみたいだね」
「えぇなんとか」
「ティム達を呼ぶか‥‥‥」
「じゃあ私が呼ぶわ。‥‥‥‥‥ロータスーーー降りてきて良いわよーー」
上空からロータス、ティム、クリムゾンが降りてくる。
「凄かったな!魔獣が何体も!」
「びっくりしたよ~~。皆大丈夫?」
「メルクリウス殿とノト殿、お疲れ様でした」
「うん、ありがと、大丈夫だよ」
「皆無事ですよ」
一気に人数が増えて、ガイスとユゥナはびっくりして皆を眺めていた。
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:*(〃∇〃人)*:




