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王宮にて邂逅(3)


「えぇ、ぜひ。」


「ありがとうございます。と言っても、ご令嬢に何を話すべきなのかあまり分からないのですが…。」


「そうですね…。今回の会議でアステリオン公爵が提唱している事について、リシェード様がどう思っていらっしゃるのかお聞きしても?」


今回の会議の内容に研究の認可や援助に対しての議題も含まれていたから、研究所に勤めているアリア嬢としては気になることなのだろう。


「僕としては、認可や援助の条件が厳しくなるのも一理あるのではと思います。決して研究所を、アリア嬢を疑っていたりはしていないのですが、一部の研究者が偽装した書類を提出したり、禁術扱いになりそうな研究をしているという話は聞きますからね。」


偽装して不正に援助を受けたり、禁術に近しい研究を行う…、例えば死者蘇生や隷属、星に干渉する技術。それをそのまま放置するのは、あまりにも危険だろう。

特に星の祝福や星自体に干渉するなど、人間が成せる技ではない。たとえ成せたとしても、それは扱いきれる力ではないんだろう。


「なるほど。確かに一部の研究者のせいで、規則を守っている研究者が疑われるのは好ましくはないです。禁術に近しい研究をする方々が今更増えるなんて、不思議なこともあるのですね。」


「死者蘇生や隷属も許されることでは無いのですが、最近は星に関しての研究が多いとか。……僕としては、"星の祝福"という、規則が多い世界で許された自由が、干渉されるなどあまりいい気はしませんね。」


貴族社会はシビアだ。腹の探り合い、建前で話し、巧妙に口車に乗せる人々…。昔から自由に、興味のあることに突き動かされる僕とはどうしても合わない所もある。

けれど"星の祝福"は個人の生まれ持った能力で、それが何であろうと犯罪に使わなければ自由に使える。それが規則が多い世界で、貴族社会で許された自由、そう僕は考えている。


「…えぇ、本当に。時に世界は理不尽な事も多いですが、"星の祝福"は皆平等に授けられるものですのに、それに干渉するなんて、それこそ理不尽なんてものでは済まされないものなのでしょう。」


その理不尽のせいで…、とアリア嬢が小さく呟いていた気がするが、爵位が下の僕が下手に追及するのはハイリスクだろう。気のせいっていう選択肢もあるし。


「そうですね。…話は変わりますが、アリア嬢のお好きな物を聞いても?」


「私の好きな物、ですか。そうですね…、砂糖菓子はよく食べます。」


凄く突然に話の内容を変えたけれど、話すのはこれで2度目だし、少しくらいプレゼントとか贈ってもいいのではないかと思い、聞いてみた。

婚約者などではなくとも、関わりのある令嬢に物を贈る貴族は多い。逆に令嬢が関わりのある貴族に物を贈ることもある。


「砂糖菓子…。いいですね、僕も甘い物はよく食べます。」


「そうなのですね。リシェード様も甘党なのですか?」


「甘党と言えるほどか分かりませんが、おそらくそうなんでしょう。」


アリア嬢は甘党…。屋敷に帰ったら甘いお菓子を何個か見繕って贈ろう。

比較的日持ちのするものとなると、フィナンシェやフロランタンなどが良いだろうか。


「…もうこんなに時間が経ってしまいましたね。私はそろそろお暇させていただきます。」


「またお会いできるのを心よりお待ちしております。」


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