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理想郷  作者: Zero_One
一章
20/35

レンドにて 壱

 行先予定地はレッド・ベールと云われる、北東にある町らしい。

 ホリマインから街道を南下し、巨葉(きょよう)を採集した道と交わるところを北東に進んでいくと云うが、以前の俺はその時意識が無かった。この子がピーちゃんが覚えてる筈がない。


 しかし受けっぱなしになっているクエストが、ホリマインの配達を除き終わってないのだが大丈夫なんだろうか。期限も何も書かれていないから気にしないでおこう。



 本当はホリマインから途中にあるレンドの村を通過しレッド・ベールまで行ける定期便があるのだが、俺が韋駄天を上げたいと言う事で徒歩で行く事となった。


 韋駄天は歩くか走るかしなければ上がらないからだ。

 ここ数日の暇な時間殆ど歩き回り、ホリマインとその周辺も歩いた場所がない程歩き回った。勿論ヘイストやショートワープを併用しつつだ。なので関連スキルはこうなった。


<スキル>

 韋駄天22・MP消費減少13・MP回復力上昇15

<魔法>

 風15・時間12・空間9・音2・聖2・毒2


 音・聖・毒が上がってたのは、恐らく深夜の古月亭の一件の時だろう。


 そして旅道中の間は耳の件もあるので、基本的に変装を常時発動している。

 そしてその間は弄られないと思っていると誤算があった。


 ペア相手には変装していても効果が適応されないらしく、人目を(はばか)らず耳や尻尾をいじられる結果となってしまった。

 しかも他の人にはランダムで色々な女性に見える様で、誰彼構わず頭や尻や腰を撫で回すラピス=ラズリの目撃例が後を絶たず、遂にそっちに目覚めたかと囁かれたと後で風さんから聞かされた。


 そして何故俺は毎回女性に見られてたんだと聞くと、胸が大きく背が低いからシステムが女性と認識させたのではないかと云う。





 レンドまでは何事もなかった。ピーちゃんが暴走することも無く、夜な夜な触ってる程度で済んだ。

 しかしレンドの宿屋では危なかった。暴発寸前。俺がじゃない、ピーちゃんがだ。


 あまり騒ぐと宿屋やほかの宿泊客に迷惑だからやめなさいと(なだ)めても、宿屋は借りたら個人ルームと認識され完全防音施設となるから騒いでも問題ないと云う。


 だが俺が許可しないからいつもの触る程度で我慢しなさいと云えば、涙目になりながら駄目?駄目?と訴えかけて来る。ここで否定しないと今後も()(くず)しにされそうなので、キッパリと否定する。


 そうすると次は色仕掛けで誘ってきやがる。胸の谷間を強調しつつ、触っても良いんだよだから良いでしょとか云ってくる始末。

 やはり風さんの云うように、実際はビoチなんじゃないだろうか。


 そんな遣り取りを全て躱し切り、音毒魔法(ミュート)を使って横を向いて寝る。

 あれ以来どれほど暴発寸前でも、許可しなければ我慢はするようになった。


 今どんな顔してるのか気になったので、寝返って逆を向いたら膨れっ面でプンスコしていた。

 笑いそうになったのでもう一度寝返り元の向きに戻り、おやすみと声を掛け自分に聖時間魔法(スリープ)を掛けて寝た。



 翌朝

 分かってましたとも、不機嫌なピーちゃんになっている事くらい分かってましたとも。


「ねえウィーちゃん、私が誘っても見向きもしないって、そんなに魅力ない…?」


 そういう問題じゃない。あれからまだそれ程経ってない、と云う事を説明しても余り納得できてない様子だった。自分自身若干トラウマ気味なのだから、正直言って許可出来る筈もない。ヘタレと云われようともだ。





 朝食後から昼までは色々知らないことを教えて貰い。午後からは村を歩き回り知らないものは調べを繰り返していた。

 ピーちゃんが云うには、この周辺にも知らないものはいっぱいあるだろうからレンドにはあと二泊すると云う。その間に歩き回って色々調べると良いよと云われた。




 しかし俺はトラブル体質何だろうか。色々と見て回っていただけと云うのに。

 向こうからトラブルの種が走り寄って来て、怖いお姉さんに胸倉を掴まれて壁に押し当てられる。

 足が付かないほどに押し上げられていて若干苦しい。


 見たことも話した事も無い人達だった。

 名前は、レイラ=トルーニー・ミカ=リバー・マーコ=タールナス

 一人として知らない、そして紫色では無かった。



「お前誰よ、あたしらのお姉さまにベッタリし過ぎなんじゃねえのか。ルールってもんがあるんだよ新参者。」

「そうよ。何馴れ馴れしくしてるの。しかも宿まで一緒とかふざけてるわ。」

「結局お前誰なんだよ。ウィンス=キャビルソンって聞いた事ねえぞ。」


 何ですかね、ピーちゃん親衛隊とかそう云うのあるんですかね。


「いや、どうせ私が云っても信じないでしょう。」


「うるせーよ、黙ってろ。」


 喋れと云ったり黙れと云ったり、これは埒が明かない気がしてきた。ここはそのお姉さまとやらに登場してもらいましょうかね。と言う事でペアのヘルプをポチッっと。



 最初の時もこの速度で来て欲しかったものだよ。


「おい、どうした…って。お前ら私の大事なものに何してんだ。」


 うーんやっぱり(すご)むと、おっかないけど格好良いお姉さま。だから少し悪乗りしてみる。


「お姉さま助けて。」


「ぶふふふっ。やめっ、お姉さまって。ふふっ。頭大丈夫か。わはははははは。」


 ですよねー。分かってましたよ。でも乗って欲しかったかなー。


「んーーーで、お前らは何してんだー?レイ・ミラ・マコ。私に喧嘩でも売りに来たってことか?」


 違います、違いますとばかりに急に手を放すもんだから、俺はそのまま壁を伝って地面に向かって一直線。


 と思いきや何やら柔らかな感触と共に。ピーちゃんに抱き抱えられていた。



「お姉さま誰ですかそいつ。」

「またお姉さまにベタベタしてやがる。」

「キッーーー!」


「いやウィーちゃんがベタベタしてるんじゃなく、私がベタベタしてるんだよ。」


 いやそんな事じゃないから、ちゃんと説明してやってくれ。今後も狙われたらたまったもんじゃない。


「ウィーちゃんは俺の嫁。」


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