破門騒動
ドタドタと大きな音がするので目が覚めると、風さんが乗り込んできていた。
俺の事がどうにもならないと悟ったらしく、ピーちゃんが呼んだのだろう。
何があったか説明している様だ。
「てめー、初心者相手に本気出して無抵抗の奴に何やってんだよ。やっていい限度があるだろうが!そんな事もわかんねーのか!そこで大人しくしてろ!」
そう云われ部屋の隅近くにある椅子にチョコンと座ったピーちゃん、明らかにシュンとしている。
「ウィンスお前も服だけは着ちまえ、目のやり場に困る。」
そう云って服を投げ渡される。
一通り服を着るとお前もお前だ抵抗しろと云われたので、記憶のあった部分までを話すとすっと反転した風さんはピーちゃんの前まで行くとその頬を叩いた。
「ごめん…なさい。」
「それだけの行動をとられて、なぜ相手が本気で拒んでいると分からない。女だから男に何しても良いとでも思ってんのか。そんなことして他の男の様に、皆喜ぶとでも思ってんのか。」
「私は誰彼構わずこんな事しない。」
「そういう問題じゃない。」
ふぅーーーー。と風さんが長い溜息を吐くと、ゆっくりと口を開く。
「さて、今回の件だがこれは歴とした事件だ。現実で裁いて貰っても良い内容だがウィンスはどうする。」
俺はそこまでしなくていい。それに女性にされたとリアルでバレたくない。とそう答えた。
「それは俺にも良く分かる、俺も同じ立場ならそう思うだろう。ならゲーム内で片付けなきゃ駄目だな。
先に云っておくぞ。一番キツイ罰は[破門]だ。いくら仲が良かろうが長年つるんでようがケジメはケジメだ。」
「え…それだけは待って。謝るし何でもするし、破門は許して。ギルド抜けるなら脱退するから、それは許して。」
「俺に謝ってどうするよ。ウィンスが許さなきゃ決定だ。」
話の展開に付いて行けない俺は[破門]が何か聞いた。
要するに大きな問題を起こしたギルドメンバーが破門されると、今後どこのギルドにも加入が出来ない。
自分でギルドを新設するしかない。そして破門者はプレイヤーネームが紫色で表示される様になると云う。
そういった意味があるようで、特に何も云ってないのにピーちゃんが俺に土下座をして謝っていた。
この破門勧告もある意味間接的な暴力だなと感じた。
そういえばピーちゃんが助けれくれた時、絡んできた四人も名前が紫色だったな。そういう事か。
立ち上がった俺の顔をピーちゃんが見上げて来る、と云うかあの気の強い子が涙目になってるじゃないか。
「いいよ。もう、いいよ。」
「いいってどっちのいいだ。破門にしていいのか。今回の件を許すという、いいなのか。」
「…風さん怖いんだけど。…許すという意味でのいいだよ。もうさっきまでの何とも言えない気持ちはどこかに吹き飛んだし。」
「さーてお許しがでたぞ。で、お前はウィンスに何をするんだ。何でもするんだろ。」
「え…あ…ちょっ…。」
「言う事は?」
「ごめんなさい、そして有り難う。」
よく出来ましたと肩の力を抜く風さん、そして鼻をズズっと鳴らすピーちゃん。
「そういえば何でも好きな物買ってくれるって。」
結構前の話を思い出したので云ってみた。
「ほうそんな事云ってたのか。じゃあ俺がウィンスのステータスやスキルに合いそうなアクセサリ見繕うから、それでも買って貰えば良いんじゃないか。」
「へっ…。えええ!」
「問題あるのかー。文句ないよなぁ。」
「か、買わせて頂き『ガタッ』買わせて下さい!!!」
(ぷふっ、はは…はははははは。)
「「はあぁぁぁぁっ」」
「つっかれたーーーー。ガラにもない事すると疲れるわ。このビoチのせいでよ。」
「誰がビoチよ。他にはしてないわよ。」
「しかしまあここまでとは。ケモ耳でも付いてたらどうなったのか想像したくないわ。」
(ケモ…ケモ…ケモミミ…ハァハァハァハァ…)
あっ、そういうご趣味の人だったんだ、と今になって気付いた。ただの尻尾好きじゃなかったんだな。
「一応確認だが買ってもらうだけでいいのか。何でも言うこと聞いてくれるらしいぞ。」
それに気付いたピーちゃんが、目を見開いて風さんを見ている。
「しかし何でもってねー、本当に何でもしたら風さんに殺されそうだしなー。」
と何も考えずに呟いてしまった。
「おまっちょっ何いってんだよ。」
「あっれー風ちゃんもしかして私に気が有るのー。なーんてねー。」
少し耳を赤らめながらお前は反省しろと言い放つ風さんが居たが、間違いない確定だ。
ピーちゃんも勿論気付いた様で、そのあと体を寄せたり胸を押し付けてからかった。
風さんは顔を赤らめながら
「そ…そんなことねーよ。」
「ふーんじゃあ、尻尾触るのも今後許可する代わりに、私もピーちゃんを触らせてもらおうかなー。」
とここぞとばかりに私と云いながら云ってみた。
「私はいいよー。尻尾触れるなら安いもんだよ。」
「やっすいなーお前の体。」『ごふっ』
と云った瞬間風さんは殴られていた。




