宿泊とモフモフ
本日ラストで御座います。
気が付くと夕方だった。あの時はまだ昼過ぎだったというのに、随分と長い転寝をしてしまった。
「やっと起きたねー。」
と、下の方からピーちゃんらしき声がすると思ったら、俺の尻尾に巻き付いている。ずっとこんな事してたのか。
俺も尻尾欲しいなとかブツブツいってる風さんが居る。大丈夫かこのギルド。
「尻尾のある中性の人くらい他に居るでしょう。」
顔を見合わせる二人。
「じゃあウィーちゃんさ、ガートンで尻尾ある人見掛けた?」
そう云えば見掛けなかった、繰返し採集してる間も見なかった。
「中性にするとリアルにない物が増えて、バランスがすごく悪いんだよ。しかも盾が持てない。自分の身を守り辛い。そして殆どがキャラクター削除となる。そんな中性をもう殆ど使いこなすかの様に、あの速度で移動できるウィーちゃんが異常なの。分かった?」
「この辺はもう電脳の処理能力の高さで、自然とカバーしてるんだろうな。見ててマジでスゲーって思うわ。」
「そんな訳で尻尾のある人はレアなの。レアキャラなの。って事で心行くまでモフらせて貰うからね。」
まだ足りないのかよこの人はと。
だがそろそろ進みたいので尻尾を振ってっ払い除ける。
最近では結構自由に尻尾を振り回せるようになってきている。
「あああーん、待ってえぇぇ。」
「おおおおお。尻尾を操ってやがる。」
しかしこの二人相当暇人なのだろうか。俺に付き添っていても何も得る物なんてないだろうに。
「じゃあ出発するかー。先頭はピーちゃんな。それに合わせて俺達が速度合わせるから。」
「何それ私雑魚みたいじゃない。」
「今回に限っては、強ち間違っ…ぶほっ。グーはヤメ、ダメ、ちょっ…。」
『ズゴッ バキッ ズドーン ズドーン ズドーーーン バシッ』
(ふぅーーふぅーー。)「ふふふふふふ、お分かり、どちらが強いかを。」
「ずみまぜんでじだ。」
何か一方的な喧嘩?を見た。いつもこうなのかな、そんな感じがした。
(ピ、ピーちゃんを怒らせちゃダメだぞ。こうなるから。しかもどこに地雷が埋まってるか分からん。)
と個人念話をしてきた。
まあ今のは風さんが確り踏み抜いたのは分かった。
「もうすぐ巨葉の採集地よ。行くわよ。それが終わったらホリマインまで一気に行くよ。」
特におかしな事も一方的な暴力も無く、ホリマインに到着したのは22:10だった。
クエスト品の巨葉は葉っぱ自体それほど大きくなかったが、花や茎と比べると葉が巨大過ぎた。由来は見たままだったが、アレを見た人にしかこの衝撃は伝わらないだろうな。
「とうちゃーーーく。こんなに自分の足で走ったの久しぶりかもー。そうだ宿取ろう。みんなで騒ごう。でもその前に夕飯食べて来るよ。行くなら今のうちに行っといで。」
ピーちゃんのこの底抜けの体力は、一体どこから来るんだろうか。
俺も便乗してご飯を食べに行こう。
「そうしたいのは山々だが夜中から予定あんだわ。ロビン達と約束がある。」
「じゃあ仕方ないね。こっちは二人で泊まるよ。」
(変な事すんじゃねーぞ。)
と、風さんからまた個人念話が飛んできた。
あの一方的なまでの暴力を見た後で、何をすると…出来ると云うのか。
「風さんまたなー。」
「風ちゃんオツカレー。」
「一応安全の為と登録の為に、ギルド・タワーでログアウトしよう。」
云われた通りホリマインのギルド・タワーへ向かう。
途中でピーちゃんが体を寄せながら、腰あたりに腕を回しその手の辺りに持ってきた尻尾を、ずっと撫で回していた。
アレを見た後で無理やり払い除けるのも怖く、されるがままである。
ギルド・タワーへ行くと自動的に登録され、二つ以上の町で登録されると地図に移動という項目が追加される。
町のギルド・タワー内で地図を開き移動を押すと、目的地のギルド・タワーへ瞬間移動されるとピーちゃんが教えてくれた。
地図を確認してみると、確かに[移動]と云う項目が増えていた。
確認も終わったのでご飯を食べに行く。
夕食を食べ終えてログインすると、少し遅れてピーちゃんも戻って来た。
「おっまったっせー。じゃあ早速馴染みの宿屋に行くよっー。」
拒否権なんかないのだろう、左手を引っ張られながら古月亭という宿屋に到着した。
「いらっしゃ、あらーラピスちゃんじゃない。いつもの部屋でいいのかな。」
「流石分かってるねー。あっ鍵頂戴。」
何の鍵か内心冷や汗掻きながら、引っ張られていつもの部屋とやらへ入る。
『ガッチャッ』
「鍵は私のインベントリの中ねー。逃げようとしても力で私に敵わないのは知ってるよねー。と言う事で朝まで尻尾モフモフタイムだよ。ああ、ウィーちゃんは寝ててもいいからねー。」
そう云われ腕を引っ張られたと思うと、大きなベッドに押し込まれた。
「ふふふふふふ、モフモフだー。そうだある程度なら触っても良いんだよ。等価交換だよー。」
そう言いながら前の時の様に、その大きなお胸を押し付けて来た。




