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第100話 試験結果

Sクラスの廊下に人だかりができていた。


掲示板の前だった。


葵が近づくと、数人が振り返った。誰も何も言わなかったが、視線が少し増えた気がした。


ライラが胸元で小さく揺れた。


葵が掲示板を見た。


中間試験の順位表だった。


一番上にエリックの名前。その下にルシアンの名前。三番目に蒼嵐。


葵は自分の名前を探した。


上から数えていく。


なかなか見つからなかった。


もう少し下を見た。


小春葵


あった。


――10位。


ギリギリだった。


葵は静かに息を吐いた。ライラが温かく揺れた。


――――――――――――――――――――


「ギリギリ目標達成だな」


振り返るとエリックが立っていた。腕を組んで掲示板を見ていた。


「エリックさんが1位ですね」


「当然だ」


エリックが葵を一瞥した。


「次はもっと上を目指せ」


それだけ言って歩いていった。


葵が掲示板に視線を戻すと、斜め後ろに人の気配があった。


蒼嵐だった。


三番という結果を確認してから、葵の方をちらりと見た。


蒼龍伝に出ていた王鋒の息子らしい、と葵はぼんやり思った。


にやりとして、何も言わずに去った。


――――――――――――――――――――


「小春」


ルシアンが近づいてきた。


掲示板と葵を交互に見てから、短く言った。


「……やるじゃないか」


葵が少し驚いた。


「ありがとうございます」


ルシアンが何かを言いかけて、やめた。


それだけで去っていった。


蒼嵐がその背中を見送って、また小さくにやりとした。葵と目が合うと、今度は何でもない顔をして廊下の向こうへ消えた。


葵はしばらく掲示板の前に立っていた。


ライラが胸元でゆっくりと揺れた。


――――――――――――――――――――


昼休み、葵は商業研究部の部室に向かった。


扉を開けると、イレムが端末とにらめっこしながら何かを計算していた。葵の顔を見た瞬間、ぱっと表情が明るくなった。


「葵くん! どうだった?」


「なんとか10番に入れました」


イレムが立ち上がった。


「おめでとー! すごいよー!」


両手を上げて喜んでいた。葵が少し照れた。


「ギリギリでしたけど」


「ギリギリでも入ったんだからすごいよ。Sクラスだよ?」


イレムが椅子に戻って端末を開きながら続けた。


「ダンジョンは順調?」


「はい、現在50層です」


「いいねー」


イレムが数字を確認しながら頷いた。


「期限まで2週間あるから頑張ってねー。70層のボス素材が必要だから、そこが山場だよ」


「はい」


葵が少し間を置いた。


「あと、高位の神魔についてですが」


「うん?」


「ヴァルキリーはどうでしょうか」


イレムが手を止めた。


端末から顔を上げて葵を見た。


「……ヴァルキリー仲間にしたの?」


「はい。たまたま運が良くて」


「すごーい!」


イレムがまた立ち上がった。今度は端末を持ったままだった。


「えっとねー、ヴァルハラ•アームズは北欧の会社だからね。

ヴァルキリーは評価高いよー。向こうの審査員が喜ぶと思う。」


「よかったです」


「順調だねー」


イレムがにこにこしながら葵を見た。


「葵くんならできると思ってたけど、ちゃんと結果出してくれて安心したよー」


葵が少し間を置いた。


「ありがとうございます。70層を攻略したら、また相談させてください」


「任せてー」


イレムが親指を立てた。


「応援してるよ。絶対うまくいくから」


葵が頷いて部室を出た。


廊下に出ると、秋の光が窓から差し込んでいた。


ライラが胸元でゆっくりと、温かく揺れた。

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