60 三つ目
悩みの種は一旦置いておいて、一つ目は予想通り。二つ目は、可能性としてあるだろうなとさっきの様子を見て考えていたことではある。
うん。そう……。どうしたものかの大問題が残っている。
三つ目だ。
アクトとお兄ちゃんの間に何かあったこと。そんなの私は本当に全く欠片も知らない。ので、真剣な顔でこちらを見続けていたお父さんに聞いてみる。
「アクトとお兄ちゃんって、どうしたの?」
思いのほか、緊張している声が出て、本当にソンサはわかりやすいなぁと思った。自分なんだけど……。
お父さんは少し目を見張って驚いていた。声のトーンが少し落ちる。
「それは聞いてないか…。そうだなぁ。さっきの二つの僕の話は僕がお母さんのなまえから聞いた話と、僕自身が見ていて思った話だったけど、これはそのどちらもだ」
どちらも?
「アクトくんが……あ〜、素を見せてくれるように…なって」
ちょっと悩んで、口に出す。
「私は仮面って呼んでる」
「あ〜、的を得てるね。使わせてもらっても?」
シンプルに嬉しかったので、言ってみてよかった。お父さんマジで、私と話している時はずっと優しい。
「是非に」
「仮面を外してくれてから、僕たちは一週間しか一緒にいれなかったけど、その中でアクトくんとフェンドくんに間に確かな変化を感じたんだ」
「それは……わるい?」
「あぁ!ごめん。とてもいい変化だったよ」
……怖かったぁ。良かったぁ。めちゃくちゃ良かったよ…。肩の力が一気に抜けた。
「アクトくんとフェンドくんの様子が僕から見ても、ぐっと縮まったというか……」
お父さんの言葉が詰まる。言うか、悩んでいるようだった。大人が相手だし、お父さんなので、判断を大人しく待つことにした。
あくまで僕からの見え方だけど。と前置きして続いた言葉は。
「フェンドくんがアクトくんを避けなくなったというか…むしろ積極的に話しかけるようになったんだ」
なかなか……飲み込むのが難しい言葉だった。
その言葉だけ聞けば今が良い状況ということは間違いないのだけれど。
「アクトが仮面を被っていた時は、フェ、おに、あ〜。お兄ちゃんはアクトを避けていたってこと?」
呼び方むずいなぁ。本人のことよく知らないしなぁ。
「あくまで、僕は、そう感じたというだけだけど」
一つ息を吐いて、続ける。
「仕事場に向かう馬車の途中、お義母さんに言ったんだ。フェンドくんとアクトくん、本当に仲良くなりましたねって。そしたら、お義母さんは少し困ったような顔で言ったんだ。昔に戻ったようってね」
「なるほど……」
「勝手に解釈するのも違うと思って、今日ここに来る途中の馬車で聞いたんだ。アクトくんの話に関係あるかもとも思ってね。昔と今が同じくらい仲がいいんですか?ってそしたら、少しぎこちないけど、今の方が仲がいいかもって。それと…」
「それと?」
「関係が変わったのは、お父さん…僕じゃないお父さんと別れた後、少ししてだったらしい」
アクトが仮面を被りはじめた頃だろうか……。なかなか難しいはなしだ。そもそもお兄ちゃんのことも全然分からないし、解釈のしようがありすぎる。
「話すか迷ったけど、ソンサが記憶喪失じゃなかったら、自分で気づいたことだろうし、言っておこうかと思って」
言葉の裏に信用を感じて嬉しくなる。
「ありがとう。お父さん」
「こちらこそ。ソンサ」




