59 知っていたのは
お父さんの話はなかなか細々としたところまで詳しく話してくれて、ボリュームのある話だったのでまとめると。大きな事柄は三つで。
・アクトのお母さんは、アクトの実の父親がやってはいけない事をしているのを知り、警察に突き出して離婚することにした。
・アクトのお母さんは、アクトが自分が愛情を充分に与えられなかったせいで変わったのだと思っていて、自分のことを責めている。
・アクトとアクトのお兄ちゃんのフェンドさんにも何かあったらしい。
「どうかな?」
話し終わったお父さんにどうかなと聞かれた時、どうしたものかという感情が頭に浮かんだ。
まず一つ目、これは本当に良かった。
予想してはいたけど、アクトの父親の事をお母さんが知っていて、なんならそれが理由で離婚していたので、アクトは、お母さんが傷つくことを考えなくて話しにくくならいし。父親もちゃんと罪を償っていることだろう。まぁ、アクトへの心の傷への対処もして欲しいけど……。
次に二つ目。これが絶妙に難しい。
アクトが変わったのは父親のせいだろう。父親に酷いことを言われたからだ。本人もそう言っていた。
ならば、アクトが今の今まで変わって、無理をし続けていたのは、お父さんのせいだけなのかというと…少し悩む所がある。
そう。お兄ちゃんとお母さんが何も…言わなかったのかな、なんて。
その時の状況か事細かにわかるわけでも、アクトの家族がどんな感じだったかも分からないけど。でもアクトが変わった時点で、話を聞いたりはできなかったのかな?と、思わないではないのだ。
離婚の手続きとか、お仕事とかお兄ちゃんもお父さんと離れ離れが辛かったとか。理由はいくらでも思いつくけれど、愛情が足りなかったから変わった……のでは無いと思うんだけど。
それでも、どうにか寄り添ってあげられなかったのかなという気持ちと。
いやでもやっぱり、お母さんとお兄ちゃんだって辛くて、自分のことで精一杯だったのかもという気持ちと。
でもやっぱりアクト辛かったんじゃないかという気持ちと。
それはそれとして、全部お母さんのせいというわけでは絶対にないし、自分を責めないで欲しいという気持ちと、でもやっぱり愛は沢山与えて欲しいという気持ちと……。
やっぱりたくさん、悩んでしまう。




