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56 ほんとうは


 アクトの顔を見た瞬間、アクトの心が心配でたまらなくなった。固まってしまっている。横から見ているのに、呼吸をしているかどうかも見えない。

 少し焦って、お義母さんを見る。お義母さんの目はしっかりアクトの目を見つめていた。


 アクトのお母さんが、深呼吸する音が聞こえた。

「これはずっと言えなかったこと。心の中でずっとずっと言い続けてきたこと」


 アクトのお母さんが、今までで1番大きな声で言った。

「私はアクトもフェンドも全く同じ熱量で、世界で一番愛してるわ!!


 お義母さんの顔はさっきからあまり変わらなかったのに、突然りんごのように真っ赤になった。お義母さんは多分顔に出にくい人なんだと思う。だから尚更感情が伝わりにくかったのかもしれない。


「フェンドの言葉に嬉しくなったわ!アクトの言葉に、励まされたの!あなた達がいるから、私とあなたたちを切り裂く、楽しくない、にっくき仕事も頑張れるの!!」

 感情が伝わってきた。自分に言われているわけでもないのに、胸があたたかくて苦しくなる。

「二人のことがとっても好きよ。大好き!二人が生きているならば、他の何もいらないと思えるの。私の元に生まれてきてくれてありがとう!生きていてくれてありがとう!!」


 アクトはただただアクトのお母さんのことを、見つめていた。

 


 私は、何を言うべきか…迷った。あともう一押しだと思った。


 

「アクト」

「アクトの言葉に、励まされたんだって。アクトの言葉がお義母さんを救っていたんだよ」

 アクトの背中を強めに押した。アクトのお母さんの方へ。

 アクトの体は抵抗することなく、お母さんのお腹のあたりへ。

 アクトのお母さんに困ったようにこちらを見られる。マジか……。抱きしめるジェスチャーと頭を撫でるジェスチャーをした。

 覚悟を決めた顔でアクトのお母さんはアクトを抱きしめ、頭を撫でた。瞬間。


 アクトの泣き声が響き渡った。

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